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認知症と悪玉腸内細菌

2019-05-05 10:23:22 | 健康・医療
アルツハイマー病の予防には、脳のトレーニングよりも腸や全身の体調を整える方が良いという説が出てきました。

腸の細菌叢や神経叢の変化が脳神経を死滅させ、アルツハイマー病やパーキンソン病を発症させている可能性があるようです。

認知症の7割を占めるアルツハイマー病の原因は、神経細胞外にたまる「アミロイドβ」と神経細胞内に蓄積する「タウ」タンパク質とされています。それぞれが作り出したアミロイド斑と神経原繊維変化が神経細胞死を引き起こし、記憶障害などの認知機能の低下をもたらします。

本来脳の免疫である「ミクログリア」は、これらのタンパク質を貪食することで脳内を正常に保っています。ところが、脳から遠く離れた腸内で悪玉細菌が増えて腸内細菌叢が変化すると状況が一変します。

悪玉腸内細菌叢が放出したサイトカインなどの毒物が、迷走神経などを通じて脳に届き、脳神経細胞を弱らせるとともにミクログリアを活性化します。暴走したミクログリアが、過剰なアミロイドやタウだけでなく正常な神経細胞まで攻撃して、認知機能低下に拍車をかけるという説です。

脳内の細胞は神経細胞(ニューロン)と神経膠細胞(グリア細胞)とに大別されます。情報処理を担うニューロンを支えるのがグリア細胞で、その中の一つがミクログリアとなっています。

これは脳の免疫細胞として神経組織がダメージを受けたときなどに活性化し、修復や排除を行うのが本来の仕事です。

ヒトの身体には酸素や栄養素を送る血管と組織から放出された毒素や老廃物を運び出すリンパ管が存在します。末梢免疫細胞はこのリンパ管を通じて脳や脊髄などの中枢神経系での異変を察知し、問題が起こるとサイトカインを分泌するなどして影響を与えています。

アルツハイマー病の大体の発症メカニズムは次のように推測されています。まず20歳ごろから大脳と脊髄をつなぎ、反射神経と呼吸など生命維持に関係する脳幹にタウがたまり始めます。

50歳ぐらいになると、タウは記憶を司る海馬周辺にたまるようになり、60歳ぐらいからアミロイドが大脳皮質に蓄積していきます。

これらは独立した動きなのですが、アミロイドの蓄積が一定量を超えると、異常な構造を持つタウが隣接するタウを異常なタウに変えていく活動が活発になり、大脳皮質に向けて神経細胞を殺していくと考えられています。

ここで腸内細菌叢の変化がこの動きに拍車をかけることが判明し、全身の状態がアルツハイマー病の病状に関わることが分かってきたといいます。

腸は第2の脳と呼ばれ、神経系にも重要な働きがあるとされていますが、この説を信頼するにはやや抵抗もあるような気がします。こういった腸と脳の関係はこれから研究が進む部分であり、どういった進展があるか注意したいと思っています。