ごっとさんのブログ

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「新出生前診断」の問題点

2017-01-29 10:36:15 | 健康・医療
妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる「新出生前診断」が色々な面で揺れているという記事を読みました。

この診断方法は2013年に開始して以来、受診者が3万人を超える一方、必須のカウンセリングをせずに認定施設外で検査が行われていたりするようです。「命の選別」につながるとされる検査だけに、それぞれの立場で慎重な対応が求められているとしています。

私はこの命の選別という言い方に抵抗があります。こういった出産前診断を何のためにやるのかというと、自分の赤ちゃんが遺伝子などの異常を持っているかを調べるためではないはずです。こういった先天的な障害を持つ子供を育てるという、大きな負担を減らすために、中絶するか否かを判断するための検査だと思います。

私の知人にも軽い知的障害や自閉症の子供を持った人がいますが、成人しても自立することはできていません。成人するまで育て上げること自体大変な苦労があるようですが、親が死んだあとどうなるかが心配の種のようです。

こういった障害があり自立できない人たちをうまく支えるシステムは、あるのかもしれませんが、あまりしっかり機能していないような気がします。こういった施策が確立していないのであれば、障害者を減らす工夫をするべきだと思っています。

また「どうなろうとも、どんな命にも意味がある」というような言葉は、この記事中にも出てきます。こういう感じで障害者を育てた人は本当に立派だとは思いますが、この言葉は他人に押し付けるものではないと考えています。

この新出生前診断には、認定した施設でのみ行うとか、遺伝カウンセリングをおこなう、出産時年齢が35歳以上などという条件が付いているようです。しかし都内の民間業者は、こういったルールを無視して、英国の検査会社と提携して斡旋しているようです。こういった流れはそれほど悪いものだとは思われません。

この本来の条件もあまり意味がないような気もします。特に35歳以上の限定している理由がわかりません。たぶん若い人でも検査を受けたい人はいるはずですので、こういった業者がでるのは当然のような気もします。この検査のように血液採取だけででき、精度も高くリスクが少ない技術なのですから、もっと広く実施すべきと思っています。

但し正確にはまだ臨床研究として導入されているようで、この3年間で3万615人が受診し、547人が陽性と判定されました。その後の羊水検査で染色体異常が確定した417人のうち、394人が妊娠中絶を選択したとされています。

こういった良い検査方法ですので、変な倫理観など気にせずに普及することを望んでいます。