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ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

40歳以上は気をつけたい緑内障

2025-07-03 10:36:25 | 健康・医療
私が勤務していた会社の大先輩は、緑内障から失明してしまいました。友人・知人にも緑内障と診断され、眼圧を下げる目薬で治療している人もいます。

現在は多くの情報が視覚から入ってきますので、目の健康は重要性が増しているといえそうです。眼球の内部の圧力(眼圧)が高くなって視神経が傷つく緑内障は日本人の失明原因の1位です。眼圧を下げて進行を抑えることが治療の基本です。

国内の患者は推定465万人に上り、加齢はこの病気になるリスクを高めます。目の中の前のほうは房水という透明な液体で満たされています。

白目と黒目の境目の裏側で作られた房水は目に栄養を与え、出口にあたる目の表面近くの隅角と、その奥にあるフィルター状の組織線維柱帯を通って排出されます。この房水の流れが滞ると眼圧が上昇し、視神経が傷ついて視野が欠けてきます。

この病気は、おおきくは開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障の二つのタイプに分類されます。開放型は隅角は開いているものの、線維柱帯が目詰まりしています。閉塞型は隅角そのものが閉じており、日本人の多くは開放型とされています。

緑内障の初期は自覚症状がありません。多少視野が欠けても、両目で補いあうからです。視力が低下して初めて気づくことも少なくありません。眼圧を下げることが治療の基本です。

正常範囲内の患者の眼圧を大きく下げることは難しいですが、無治療時から20~30%下げることが目標です。房水の排出を促す目薬や酸性を抑える目薬をまず投与します。その効果が十分でない場合、手術などを検討します。

レーザーで線維柱帯に刺激を与える治療や線維柱帯を切開して流出路を作る手術に加え、2022年に極細の管状の医療機器マイクロシャントを使った手術が新たに公的医療保険の対象になりました。

長さ8.5ミリ、外径0.35ミリ、内径0.07ミリの管を白目から眼内に差し込んで固定します。房水は管から排出され、眼圧が下がります。線維柱帯切除術と比べて体の負担が小さいうえに、手術時間は短く眼圧の過剰な低下といったリスクも比較的小さいです。

短期間で社会復帰したい人に向いていますが、適さないケースもあり、効果は切除術より少し劣るとされています。治療によって眼圧を下げることができても、一度傷ついた視神経を再生し、欠けた視野をもとに戻すことはできません。

早期発見や早期治療に向けて、40歳以上の人は定期的に検査を受けることが大切です。私は2年ほど前に眼科でかなり詳しい検査を受け、問題ありませんでしたがなかなか定期的に検査を受けるのは難しいような(面倒くさい)気がしています。

膝のMRI検査で何が分かる、レントゲンとの違い

2025-07-02 10:36:29 | 健康・医療
かみさんの友人にもう何年も前から膝が痛みいろいろ治療している人がいます。しかし根本的にはよくならず、膝の人工関節手術しかなく踏み切るか迷っているようです。

画像診断にはレントゲン撮影とMRI撮影がありますが、それぞれ得意な部分があります。・レントゲン撮影(単純X線検査) 放射線を使って撮影する検査です。主に骨の異常や関節の状態を観察するのに有効です。

例えば骨折やO脚、関節の隙間の消失などがわかります。しかしレントゲンでは骨の外見しか見ることができません。骨の内部や軟部組織の半月板や靭帯、軟骨などは見ることができません。・MRI撮影 強力な磁石と電波を使って体内の組織を詳細に映し出します。

骨だけでなく、半月板や軟骨、靭帯など、骨以外の組織まで見ることができるため、膝の痛みの原因を特定しやすくなります。たとえば半月板損傷や変形性膝関節症の進行具合などを、MRIで詳しく確認することができます。

ここでは78歳の女性の患者を紹介しますが、20年も前から両膝の痛みに悩んでいました。近所の病院で何回もヒアルロン酸注射を打ち続けましたが、痛みが改善することはありませんでした。

痛みは強くなるものの人工関節にはしたくないという思いの女性は、痛みの原因を知るためにMRI検査を受けました。右膝の内側に骨棘と呼ばれる、骨の異常を確認しました。これは骨がトゲのように変形する、変形性膝関節症の代表的な画像所見です。

MRIで検出された骨棘スコアは、人工関節手術が必要か判断するうえでひとつの重要な要素となりうるという研究報告もあります。また画像から本来なら半月板がみられるはずの関節の隙間が、完全に消失している状態を示していました。

この情報から、変形性膝関節症の末期という確定診断になりました。同時にO脚の度合いも測定しました。大腿骨と脛骨の外側の角度を測定することで、どれくらいO脚が進行しているか診断することができます。

骨や軟骨の表面がすり減っているだけでなく、骨の内部にもMRIで白く映る骨の炎症の骨髄浮腫が見られ、ダメージを受けていることがわかりました。さらにMRIで半月板を見やすい条件に設定して確認したところ、膝関節の外側にも異常が見られました。

レントゲンで変形性膝関節症の所見がみられる被験者にMRI検査を行ったところ、痛みやこわばりなどの症状がない群でも半月板断裂の有病率が60%だったという報告もあります。

このようにMRI検査の有効性は確認されていますが、多くの整形外科医はレントゲンはあるものの高価なMRIは設置していないという点が問題なのかもしれません。

パーキンソン病の原因となりやすい人の特徴

2025-06-30 10:34:26 | 健康・医療
もう50年も前ですが、パーキンソン病というと忘れられない思い出があります。当時私は会社の研究所でDOPAというクスリの研究をしていました。

このことを友人のお父さんの医師に話したところ、ぜひ持ってきてほしいと頼まれました。深く考えず精製DOPAを何グラムか持ってきたところ、この先生の重篤な患者に投与したようです。すると患者のかなり重い症状がよくなったと喜んでいました。

この時期はパーキンソン病の薬はなく、DOPAが効くかもしれないといわれていた時期ですので、この行為はかなりの法律違反になります。別に問題にもなりませんでしたが、この数年後にやっとDOPAが承認されました。

パーキンソン病は、1817年に初めて報告された病気で、脳の神経細胞の一部の働きが悪化し体をうまくコントロールできなくなる難病のひとつです。

有病率は1000人に1~2人程度ですが、加齢とともに増加し65歳以上では100人に1人といわれており、日本でも患者数が増加しています。

脳幹部という脳の深部にあり重要な機能を有する部分があるが、その内部の中脳の黒質にあるドーパミン神経細胞が減ってしまうことで発症することが知られています。ドーパミン細胞が減ると体が動きにくくなり、震えなどの症状が起こりやすくなります。

ドーパミン神経細胞が減る理由は解明されていませんが、現在はドーパミン神経細胞の中にα‐シヌクレインというタンパク質が集まってたまることで、ドーパミン神経細胞が減ってしまうと考えられています。

一般的には、パーキンソン病は孤発性(家族内で遺伝しない)疾患であるといわれています。しかしパーキンソン病の5~10%には家族内での発症があり、遺伝子による影響も知られています。

一卵性双生児の場合は発症確率が高く、特に50歳未満で発症する若年性パーキンソン病では、遺伝的な影響が大きいと考えられています。パーキンソン病の患者の多くに発症前から便秘症状がみられることから、消化管の慢性的な炎症がパーキンソン病に関連している可能性があります。

具体的には腸管の神経組織内のα‐シヌクレインの増加と、便秘の発症に関連があるといわれており、消化管の状態がパーキンソン病の発症に関与する原因の一つであると考えられています。

パーキンソン病は脳内にあるドーパミン神経細胞が減ると発症する病気ですが、健康な人でも20歳をピークにドーパミンは減っていく傾向がみられるため、加齢とともにパーキンソン病と同じような症状が出やすくなります。

このようなパーキンソン病ですが、現在はいい薬も開発されていますので、それほど恐れる病気ではないのかもしれません。

軽度の高血糖でもガンのリスクを高める

2025-06-28 09:30:42 | 健康・医療
最近かみさんはエコー検査やMRIなどガンの早期発見に努めていますが、私はもうあきらめようかと思っています。

私はもう手術はできませんし、副作用の多い抗がん剤などやりたくもないので、痛み止めなどの緩和療法だけにしようと思っています。

ガンには、生活習慣病によるものと感染症によるものとの2つのタイプがあります。感染症によるものといっても、ガンが直接うつったりはしません。たとえばC型やB型肝炎ウイルスの感染で慢性肝炎に罹患した場合、その一部が肝臓ガンを発症することがあるということです。

世界がん研究基金が2007年に、腎臓ガン、膵臓ガン、子宮体ガン、大腸ガン、乳ガンの6つとおそらく胆のうガンを加えた7つのガンには肥満がかかわっている、と報告しています。リスクを下げるには適正体重の維持が肝要であり。BMIを20~25未満に保つことを推奨しています。

肥満は生活習慣に起因しているため、これら7つのガンは生活習慣病によるガンと呼ばれており、日本を含めた先進諸国で増加しているタイプです。生活習慣病によるガンについて、元凶ではないかと疑われているのが高血糖であり、高インスリン血症です。

高インスリン血症も高血糖も、肥満になると起こりやすくなりますが、この2つに発ガンリスクがあることが明らかになっています。

生活習慣病が関わるガンについては、糖質制限食の中でも最も厳格に糖質を制限するスーパー糖質制限食が予防効果のある可能性が非常に高いと考えられます。

肥満や高インスリン血症、高血糖など生活習慣病によるガンにつながると疑われている要因のすべてについて、スーパー糖質制限食で防ぐことができるからです。

スーパー糖質制限食は、1)高インスリン血症がない、2)食後高血糖がない、3)肥満がない、4)HDLコレステロールが増加する、という4つの利点により予防できる可能性があります。感染症によるガンには、胃ガン、肝ガン、子宮頸ガンなどがあります。

これらは感染症が引き金になって起こるタイプのガンで、ガンの3割が感染症型のガンです。ガン細胞は、正常な細胞が増殖するときにDNAの複製に失敗して生まれてしまいます。細菌やウイルスに感染すると、炎症を起こし細胞が頻繁に壊れます。

それを修復するには細胞が増殖しなければなりませんが、この時DNAの複製にエラーが起こり、それが蓄積されるとガン細胞が発生します。持続炎症により細胞が頻繁に壊れると、細胞はそれだけ多くの増殖をしなければなりません。

DNAの複製を頻繁に繰り返すため、エラーが起こりやすくなりガン細胞の発生リスクが増すわけです。

胃ガンはピロリ菌という特殊な細菌の持続感染、肝臓ガンはB型やC型肝炎ウイルスの持続感染、子宮頸ガンの場合はヒトパピローマウイルスの持続感染が主な原因で、ガン化を起こします。

うつ病が及ぼす心臓への悪影響

2025-06-27 10:31:46 | 健康・医療
私はうつ病というのは、気分の問題程度のそれほど重篤ではない病気と思っていました。

ところが退職後務めた研究所で隣の実験室を使っている若手がうつ病を発症しました。その行動を見ていると私の認識は間違っており、非常に大変な病気であることがわかりました。

最近アメリカの大学が、うつ病と診断後における心不全のリスクの関連性について研究結果を発表したという記事を見ました。2025年5月にヴァンダービルト大学医療センターの研究員らが、うつ病とうつ病診断後の心不全リスクに関する研究結果を発表しました。

この研究はアメリカ退役軍人省(VA)のコホートデーターを用いて行われ、対象となったのは1945年~1965年に生まれ、2000~2015年の間にVA医療システムを利用した退役軍人284万人以上です。

研究の目的は、退役軍人におけるうつ病の有無が、将来的な心不全の発症にどう影響するかを明らかにすることでした。解析の結果、うつ病を抱える退役軍人は、そうでない人と比べて心不全を発症するリスクが14%高いことが判明しました。

このリスク上昇は、年齢や性別、既存の心血管リスクなどの要因を調整した後でも認められています。さらにほかの依存疾患がない比較的健康な退役軍人においては、うつ病による心不全リスクの増加率がさらに高くなる傾向が見られました。

心不全とは、心臓の働きが低下し全身に十分な血液を送り出せなくなることで、息切れやむくみなどの症状が表れる病気です。原因としては、心筋梗塞や狭心症といった冠動脈の病気、高血圧、弁膜症、心筋症、不整脈、先天性の心疾患などが挙げられます。

心不全になると、坂道や階段で息切れしやすくなったり、疲れやすくなったりします。また尿の量が減り、足のむくみや体重増加がみられることもあります。さらに進行すると、呼吸が苦しくなって横になれないといった症状が出ることもあります。

この研究は、うつ病が心不全の独立したリスク要因であることを示しており、従来の血圧などの管理に加え、うつ病の早期発見と治療の重要性を示唆しています。うつ病は生活習慣、自律神経、ホルモンバランス、血管機能、炎症など多方面から心臓に悪影響を及ぼします。

現在米国心臓病学会のガイドラインでも、心不全患者に対するうつ病評価の推奨がなされています。今後うつ病の治療が心不全の発症リスクにどのような影響を与えるかについての研究も必要であると考えられます。

ストレスや気分の落ち込みを軽く考えず、早めに専門家に相談することが将来の病気を防ぐことにもつながります。

あまり好きな言葉ではないのですが、心のケアを日々の生活に取り入れていきましょう。