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ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

有機野菜だから安心は間違い

2025-04-27 10:31:28 | 自然
多くの人が農薬など人間が作ったものは危険という考えを持っているようです。私は長年薬の研究をしていましたが、人工物は危険で天然物は安全という思い込みは危ないなような気がします。

ひとつには人工物であっても、ヒトに対する安全性などは徹底的に調べられており、むしろ天然物はそこまで安全性が確認されていません。当然ですが天然物にも人に害となるような物質は多数存在しています。

今年10月から、東京品川区が小中学校の給食で使う全野菜を有機(オーガニック)野菜に切り替える計画が発表され、話題になりました。安全のため、給食の質の向上がその理由としています。

農薬=身体に毒というイメージを持つ人もいますが、農薬は国の基準で健康被害がないとされる量が用いられています。有機農業とは、化学合成肥料や農薬、遺伝子組み換え技術を使用せず、環境への負担を抑えた方法で行う農業のことです。

約40種類の農薬は使えるため、完全無農薬とは異なるのです。通常使われる化学合成農薬についても、今と昔で種類が異なります。使用量も厳しく定められ、残留物もごくわずかで健康的な影響もありません。

むしろ適切に使用したほうが栽培中や保管中にカビが発生し、食中毒などの健康被害を及ぼすカビ毒などが食品に残ることを防げます。病害虫の多い日本で有機農業を大規模に行うのは難しいのが現状のようです。

イギリスや欧州でまとめられた報告書では、従来の方法で生産された食品と有機食品を比べ、違いがないとしています。農薬や肥料のせいで土が痩せ、今の野菜は栄養がないとする意見もありますが、それも根拠がありません。

たとえば昔の苦みの強いピーマンは消費者に好まれず、さらっとした食べやすいものを選ぶ傾向にあり、需要に合わせた品種が市場を占めています。

有機農作物を飼料として家畜に与えて育てた有機畜産物も徐々に増えていますが、日本で有機栽培の飼料を確保するのは難しく、輸入された飼料を用いざるを得ません。環境負荷をできるだけ低減するという有機農業の本来の目的とは齟齬が生じています。

大量生産が難しい有機食品は一般的な方法で育てた野菜や畜産物より価格が高めになります。それでも理念に共感し、地球にやさしいという観点で有機食品を選ぶのはいいことだと思われます。ただ一般的な農産物と比較して健康にいいとは言い切れないのです。

健康や美容にいいとされる食品の一つに、玄米や全粒粉、キビ砂糖といった未精製の茶色い食品があります。玄米に関しては、白米よりも血糖値が上がりにくいという科学的根拠があります。ただし玄米を消化しづらい体質の人もいて、摂取により下痢や腹痛を起こす人いるようです。

無農薬野菜が話題になっていますが、私の家では従来の野菜で十分満足しています。

生物には必要な睡眠時間が設定されている

2025-04-18 10:36:18 | 自然
私は2階の寝室の広いベッドで寝ていたのですが、現在は1階の私の部屋で寝ています。これは病院から退院後、かみさんが寝ている様子を見やすいようにと、介護ベッドを借りて設置したものです。

ここで寝ると黒猫が一緒に寝ていますし、私も何となくこのベッドが気に入り、もう昼に寝ることはないのですがこの習慣を続けています。

生物が歩む道は平たんではなく、いつも外部から加わるさまざまな変化に影響されています。庭のミカンの木にいた青虫も、猛暑で想定以上の高温にさらされることもあれば、雨が降って濡れてしまうこともあります。

台風が来てミカンの木の枝が折れてしまうことだってありそうです。それでも彼らは、様々な環境の変化に耐えながら、自身の状態を保ち命を全うしようとしています。生命は強靭で、そのたくましさは環境の変化に負けず、自らの状態を保とうとする力から生まれています。

生命がある一定の状態を保とうとする性質を、生物学ではホメオスタシスと呼んでいます。外部の環境が変化して生命に影響を及ぼしたとき、生命はそれにあらがう力を発揮して一定の状態に保とうとします。

一例としてヒトの体温調節を考えると、寒い環境に身を置くと体の表面から冷えていき、もしそのまま何もしなければ、深部体温も下がって命が危険になります。しかしそんな状況でヒトは寒さに抗って体温を保とうとする力を発揮します。

寒い環境ではまず褐色脂肪細胞と呼ばれる細胞が、脂肪を分解して熱を発生させます。この熱によって、体温がある程度維持されるのです。それでも足りずさらに熱が必要な際には、筋肉を震わせて熱を発生作用とする、いわゆる寒さによる震えです。

さらに体毛の濃い動物は、寒いときに立毛筋を収縮させ毛を立てます。すると断念効果が高まり、熱を逃がしにくくなります。ヒトの場合にはほとんど意味がないのですが、寒いときに鳥肌が立つのはこの仕組みの名残とされています。

逆に暑い状況では、汗をかくことで体の表面を濡らし、汗が蒸発する際の気化熱によって体をさまします。こういったことは意思とは関係なく、もともと体に備わっている仕組みによって、自動的に調整されています。

生命にはこうしたホメオスタシスの仕組みが、無数に備わっています。睡眠はホメオスタシスと関連しているのか、眠らないでいると全身に影響が生じます。ラットを断眠させると、皮膚に異常が出たり胃潰瘍になったりします。

組織や臓器の状態、さらに全身の状態が正常から逸脱するということです。睡眠の不足は、ホメオスタシスの乱れに繋がります。睡眠は生命のメンテナンスに、とても大切な役割を果たしているといえそうです。

睡眠の話はまだ続きますが、生命にとって非常に重要ということでここで終わりにします。

寝不足の日本人が知らない体内時計の仕組み

2025-04-17 10:36:29 | 自然
私は若いころは結構頻繁に海外に行っていました。当然ヨーロッパやアメリカにも行っていましたが、時差ぼけという経験がありませんでした。

どうも体内時計が壊れているのかもしれないなどと言っていましたが、確かなことはわかりませんでした。それでも時差ボケがないということで、気楽に海外に行っていたような気がします。

ヒトを含む地球上の生命は24時間のサイクルの中で生きています。人類は空を移動する太陽に基づいて、時間という概念を生み出しました。時計を開発し、時間を確認する習慣がつき、時間に基づいて行動するようになりました。

海外に行くと時差ボケを経験します。日本から欧米に向かうと、向こうのほうが日本より時間が遅れているため、夜は早い時間に眠くなって朝早く目覚めます。この時差ボケは、体の中の体内時計の時間がずれてしまって起こります。

体内時計の存在を示唆した最初の報告は、今から300年ほど前に、フランスの天文学者がオジギソウという植物でみられる興味深い現象を報告しました。オジギソウに触れるなどして、接触刺激が加わった時に葉を閉じるのです。

さらに夜暗くなると葉を閉じ、朝になって太陽が昇ると再び開くという変化を毎日繰り返します。オジギソウを日の当たらない箱の中に入れてみます。

すると面白いことに、太陽の光が当たっていないにもかかわらず、夜になると葉を閉じ、夜が開けると開くという葉の開閉のリズムを繰り返しました。単に太陽の光に反応して葉を開閉させているのではありません。

オジギソウが持つ時間をカウントする仕組み、つまり体内時計によって葉を開閉させているのです。1960年代になり、ドイツのマックス・プランク研究所では、防空壕の中に作った隔離実験室で人を対象にした実験を行いました。

外が昼なのか夜なのかわからない環境で、ヒトはどのような行動パターンを示すのか観察しました。そんな環境でも、被験者は内在する体内時計に基づいて、概ね24時間のサイクルで生活しました。

こうした体に宿る時計の仕組みは、シアノバクテリアという光合成を行う細菌の一種からヒトに至るまで、実にさまざまな生き物に存在することがわかっています。1971年アメリカのカリフォルニア工科大学の研究者は、体内時計の仕組みに関するとても重要な発見をしました。

体内時計が24時間を測る仕組みが、遺伝子によることを見出しました。キイロショウジョウバエの遺伝子を変異させたところ、24時間の周期が19時間に短くなったり、28時間に長くなったり、あるいはまったく周期性が見られなくなりました。

ここからは専門的になりますので省略しますが、体内時計が遺伝子によって制御されているということは面白い感じがします。

知的生命体が地球に似た惑星に広く存在する可能性

2025-04-13 10:31:27 | 自然
私は生命誕生の謎が好きで色々調べていますが、まだ研究者のいろいろな意見が出ているに過ぎないような気がします。

その中でも生命誕生は必然的なこととする意見が多い気がします。私は非常に稀な偶然が積み重なって生命になったとする意見に賛同していますが、これは少数派かもしれません。

銀河系には地球サイズの惑星が400億個ある可能性がありますが、知的生命体はほぼゼロに近いほど稀な存在だと、進化学者の多くが考えているようです。ところがこの考えを覆す最新の研究論文が発表されました。

論文では、人類の進化は惑星の自然な過程にほかならず、他の地球類似惑星でも起きている可能性が高いとする説を提唱しています。人類のような知的生命体が出現したのは、地球の生命進化史において極めてまれな出来事が重なったおかげだというのが、科学者の間で通説になっています。

オーストラリアの理論物理学者が開発した難しい段階モデルは、太陽類似の恒星の寿命が約90億年であるという事実に基づいています。

ペンシルベニア州立大学の天体物理学者と地球生物学者のチームが開発した今回の最新モデルは、地球の知的生命体の出現が、それほど難しいことではなかったと示唆しています。

複雑な生命を支えるのに十分な酸素が地球の大気中に出現したことについて、今回のモデルでは地球の自然な進化の一段階と位置付けています。人類の進化は、地球の歴史の中で早くや遅くではなく、条件が整ったタイミングで予定通りに起きたのだと説明しています。

今回の研究では太陽の寿命ではなくて地質学的な時間スケールを用いたのは、それが大気や地形が変化するのに要する時間の長さだからとして、これが地球上での標準的な時間スケールです。

生命が惑星とともに進化するならば、生命の進化は惑星の時間スケールで、惑星のペースで進むだろうとコメントしています。また今回の論文では、地球史にわたって生命存在の機会がどのようにもたらせれたかを詳しく調査しています。

カギとなる要因としては、海面温度や海水塩分濃度や大気中酸素濃度の変化が挙げられています。すなわち地球が人類にとって快適な環境になったのはここ20万年のことだが、それは諸条件の自然な帰結としてそうなったわけです。

今回の最新研究の要点は、地球さらにはあらゆる地球類似惑星では、知的生命体は必然的なものである可能性が高いことです。こういったことから人類と同類の生命体が他の惑星に存在するかもしれない可能性を高めているとしています。

ただ私としては生命の発生は非常に偶然的なものであり、他の惑星では生命自体が発生していないだろうと考えています。

甘いものは別腹という別腹スイッチ

2025-04-11 10:34:28 | 自然
私はお腹がいっぱいになると食べる気がしなくなり、甘いものでも無理になってしまいます。

若いころは果物は別腹的な感じがありましたが、歳を取ってからはそれすらなくなったようです。食後でも甘いものは歓迎するといった、いわゆるデザートは別腹を経験する人は多いようです。

お腹一杯食べたはずなのに、なぜか甘いものだけはまだ食べられる現象が起こります。ドイツのマックス・ブランク代謝研究所のチームが、この「別腹」問題にメスを入れました。

ポイントは、食後の満腹感を伝える神経細胞が甘いものを求めるスイッチまで押してしまうことのようです。

研究チームがマウスと人間の両方で実験したところ、甘いものを認識しただけで脳内の経路が活性化し、鎮痛・陶酔などの作用を持つβ‐エンドルフィンというオピオイド物質を放出することが確認されました。

糖分は短時間でエネルギーを補給する手段となるため、自然界では非常に貴重な存在です。研究者曰く、進化論的には糖分と認識したら積極的に摂取するよう脳がプログラムされているようです。研究結果によると、マウスは満腹になったあとも甘いものを食べ続けたそうです。

POMCニューロンと呼ばれる神経細胞群がカギを握っているらしく、糖分を口にしたマウスの脳内では、この神経細胞群が素早く活性化し、満腹状態であっても食欲を増進させる役割を果たしてしまうようです。

糖分を追加摂取するとβ‐エンドルフィンが放出され、他の神経細胞に報酬感を与えるため、マウスは満腹でも甘いものを摂取し続けたようです。しかし研究者がこのオピオイド経路を遮断すると、マウスは糖分の追加摂取を控えるようになったそうです。

またこのオピオイド経路は糖分を追加摂取した時だけ活性化し、通常の食事や脂肪分の多い食事では活性化しませんでした。さらにこの現象は満腹のマウスのみ顕著で、空腹のマウスでβ‐エンドルフィンの放出を抑制しても効果は見られなかったとしています。

満腹+甘いもの=正義と脳にプログラムされているのなら、食後のスイーツを食べてしまうのはやむを得ないのかもしれません。

おもしろいのは、マウスが実際に糖分を取る前に糖分を認識した時点、つまりこれは甘いものに違いないと感じた時点ですでにスイッチが入ってしまうところです。

一度も甘いものを食べた経験がないマウスでも、最初の糖分が口に入った瞬間からβ‐エンドルフィンの放出が始まり、その後の追加摂取でさらに反応が強まっていったそうです。

人間の脳にもこのようなスイッチがあり、満腹でも甘いものが欲しくなるのは当然なのかもしれません。