胃の病気とピロリ菌の関係とは
ピロリ菌とは、正式には「ヘリコバクター・ピロリ」という細菌で、人間の胃の中に生息しています。体長は約4㍈で、べん毛が生えています。胃の中には塩酸が存在するため、口から胃に入ってきた細菌はすべて殺菌されてしまい、胃には細菌が生息できないと考えられていました。
ところが、1979年オーストラリアのウォーレンとマーシャルは、胃粘膜標本から「らせん状の細菌」を染色することに成功しました。この菌の発見で、彼らは2005年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。なぜこの菌の発見が評価されたのかというと、近年、この菌が胃潰瘍や胃がんなどの原因となっていることが明らかになってきたからです。現在関連があるといわれているのは、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃MALTリンパ腫・特発性血小板減少性紫斑病などです。これらの病気の場合は、健康保険でピロリ菌を除菌することができます。
そして、2013年2月からは内視鏡検査において胃炎の確定診断をされた方も、除菌療法が健康保険適用となりました。
ピロリ菌が胃の粘膜に感染し、長期間炎症が続くと慢性胃炎となります。この慢性胃炎をヘリコバクター・ピロリ感染胃炎・萎縮性胃炎と呼びます。その胃炎の粘膜の一部から胃がんが発生するといわれており、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎に対する除菌療法の保険適応が待たれていましたが、健康保険で除菌療法が可能となりました。しかし、健康保険適応に対しては「内視鏡検査において胃炎の確定診断」必要となります。これは、内視鏡検査で既に胃がんがないかどうかを確認することが大事だからです。
ピロリ菌の感染や胃がんが心配な人は、ぜひピロリ菌検査と内視鏡検査をセット受けることをおすすめします。