尿路結石症のお話
尿路結石症は、泌尿器科医が日常診療でしばいしば遭遇する、頻度の高い疾患といわれています。尿路結石の歴史は古く、約7000年前の古代エジプトのミイラからも見つかっている病気です。
日本では、年間に10万人中50人程度が尿路結石に悩まされており、100人中4人が生涯に一度は尿路結石症になると言われています。
結石の主な成分はカルシウムで、これにはシュウ酸カルシウムとリン酸カルシウムがあります。この2つの成分で尿路結石症の80%以上を占め、他には尿酸やある種のアミノ酸(シスチン)などもあります。
近年の医療技術の進歩により、さまざまな治療法を選択できるようになっています。腎結石や尿管結石に対する治療は「切る」手術から始まりその後「切らずに治せる」内視鏡的手術が脚光を浴びた時代がありました。しかし、1988年にESWL(対外衝撃波による尿路結石破砕術)が保険収載されたのを境にすっかり様変わりしました。ESWLが普及した後、開腹手術や内視鏡的手術は一時激変しました。ところが最近では、内視鏡の細径化や破石装置の進歩により、再び内視鏡手術が見直されるようになってきています。
尿路結石の予防法
尿路結石の予防法は、水分を多く摂取し尿量を増やすことが基本です。水分の補給源としては水道水・番茶・麦茶などがよく、清涼飲料水やシュウ酸が多く含まれる高級緑茶、紅茶・ビールはふさわしくありません。またバランスのとれた規則正しい食生活が大切で、ほうれん草やタケノコなどシュウ酸が多く含まれる食品の大量摂取は控えるようにしましょう。