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Kenshunブログ Swingin' Cafe♪

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『太平洋の奇跡 - フォックスと呼ばれた男 -』

2011年05月10日 | Cinema Talk

Tジョイ稚内で『太平洋の奇跡 - フォックスと呼ばれた男 -』を観ました

正直、日本にここまでの戦争映画を作れるとは思っていませんでした

冒頭の戦闘シーンは「プライベートライアン」を彷彿とさせるような臨場感と迫力があったし

日本軍と米軍のそれぞれの立場で日本人の考え方や文化を捉えたところ

そして、後半の大場栄大尉を中心とした登場人物を丁寧に描いているところが素晴らしい

実はもともと個人的にはあまり日本の戦争映画を好んで観ません

日本は歴史的に(考え方はどうあれ)敗戦国です

民間人までもが焼き尽くされ、街が灰にされるシーンというのはあまりに痛々しく

その一方で万歳攻撃や神風特攻隊が、時に美化されたように描かれていることが多いからです

そこにはDNAの片隅に残る、日本人としてのアイデンティティーを感じなくもないのですが

自決や体当たり攻撃というのは、当時の教育方針や戦地での極限状態によるものとはいえ

あまりにも現代の日本人とかけ離れた所にある気がして

どこか時代劇を観ているような感覚さえ覚えてしまうのです

それは僕が『戦争を知らない子供たち』だからなのでしょうか

戦争を体験した人達には、誤解をしないで頂きたいのですが

物事の正悪も分からないようなうちから戦地へ行かされ

正しい戦況を知らされることもなく

ただただ、大日本帝国を信じ、天皇陛下のために戦い

最後は天皇陛下万歳と自決、玉砕していった日本人は

ある意味『戦争を知らなかった』のではないでしょうか

「生きて捕虜の辱めを受けず」「生き恥をさらす」などと、当たり前のように言われていた時代

死ぬことが名誉とされた当時の教育では『戦争の真実を知っていた』とは言い難いと思います

勿論、火につつまれた戦場、灰と化した街、目の前で多くの仲間や家族が死んでいく恐ろしさ

これらは戦争を体験した方でなければ決してわからないものでしょう

そういう意味では、やはり僕は『戦争を知らない』のでしょう

でも、歴史が語る戦争と、それがいかに不条理なものであるかという事は理解してるつもりです

前述したことと矛盾するようですが、戦争に勝ち負けはありません

政治的目標の達成か否かでは当然あるのでしょうが

勝っても負けても双方に死人は出ますし

仮に生きて帰っても体にも心にも一生分の傷を負ってしまう事も多いでしょう

戦争に完全な勝利はありえないのです

話がだいぶそれてしまったので話を戻しますが

この作品は冒頭で触れたような、単に玉砕日本軍を描いたものではなく

テーマとして『生き抜く』ということがあります

生きて帰ることを恥とする時代に『生きる』という選択がどんなに難しかったか・・・

軍人として一人でも多くの敵を倒すことを使命としていた大場大尉が

自らの死に直面した事がきっかけで、一人でも多くの命を守ろうと葛藤をはじめます

後半部分ではそんな大場大尉の心情が繊細に描き出されていました

軍人としての言動や行動と、時折見せる素顔の彼の人間的な部分は

現代人に非常に近いリアルな人物像を感じることが出来ました

また、同じくこの物語で生き残った人達はごくごく普通の人間です

死ぬことは怖いし、日本に残してきた家族にも会いたい

当たり前の感情を持った普通の人間です

そして、おそらくこの戦争で命を落としていった多くの人もそうだったのでしょう

それでもなお最後に大場大尉がアメリカ兵に向けて言った言葉

「私は、誇れるようなことは、何一つしていません」

この言葉が胸を打ちます











「太平洋の奇跡ーフォックスと呼ばれた男」予告

【作品について】
太平洋戦争の激戦地サイパン島で、わずか47人の兵力で4万5,000人ものアメリカ軍を翻弄し続け、敵軍から畏れられた実在の日本人兵士、大場栄大尉の実話をもとにした戦争ドラマ。その粘り強さと類まれな統率力から、アメリカ軍に“フォックス”と恐れられた大尉を、本作が3年ぶりの映画出演となった竹野内豊が演じているのが話題。
また、やくざ者の堀内一等兵を演じる唐沢寿明が、スキンヘッドに変身し新境地を拓いているのも見どころ。全編、タイのラヨーンとサイパン島にて撮影した迫力の戦闘シーンと、豪華キャストの熱演による男たちの友情ドラマも見逃せない。

【あらすじ】
太平洋戦争末期。1944年6月。陸軍歩兵第18連隊、大場栄大尉(竹野内豊)は、日本から2000キロ余り離れた北マリアナ諸島サイパン島へ送られる。当時日本の統治下にあったこの島は軍司拠点としても重要な位置を占めており、島を死守することが大場たち日本陸軍43師団守備隊に課せられた最大の使命だった。だが、この時点で既に日本の劣勢は明らかになりつつあり、サイパン島でも圧倒的な兵器・兵力差のもと、日本軍はアメリカ軍の上陸を簡単に許してしまう。サイパン守備隊幹部は日本軍玉砕命令の後自決。アメリカ軍の捕虜となることを恐れた民間人が次々と崖から飛び降り自殺する悲惨な事態へと発展する。そんな中、玉砕命令を受けた大場隊も突撃、次々と戦死を遂げていく。しかし、アメリカ軍に囲まれた大場は玉砕を覚悟していたにも拘らず、思わず死体の中にうずくまり隠れ、戦闘の中で自分の“生”への執着心を心ならずも知ることになる。そして、両親を殺され放り出されていた赤ん坊を救い、“生きる”ということを強く実感、もともとは地理の教師でもあった彼の人望を慕い、上官を失った兵士や民間人たちが次々と集ってくるのだった。その後、軍から離れ戦うやくざ者の一等兵、堀内(唐沢寿明)と共同戦線を張り、サイパン島中部にそびえる最高峰タッポーチョ山に潜み、アメリカ軍への抵抗を続けていく。一方、サイパン島占領宣言を行ったアメリカ海兵隊の中で、日本への留学経験のあるハーマン・ルイス(ショーン・マクゴーウァン)は、一抹の不安を感じていた。やがて彼らは、粘り強く戦い続けるたった一つの部隊に翻弄されていることを知り、その神出鬼没の部隊を統率する仕官を畏敬の念を込めて“フォックス”と呼ぶようになっていく。大場隊とアメリカ軍の戦いは続き、フォックスの存在に業を煮やした上層部が遂に大掃討作戦を敢行。アメリカ軍を翻弄し続けるフォックスに対し、ルイスは彼を死なせたくないと焦燥する……。

監督:平山秀幸
製作総指揮:宮崎洋
エグゼクティブプロデューサー:奥田誠治
脚本:西岡琢也、グレゴリー・マークェット、チェリン・グラック
原作:ドン・ジョーンズ
音楽:加古隆
出演:竹野内豊、ショーン・マッゴーワン、井上真央、山田孝之、
中嶋朋子、板尾創路、阿部サダヲ、唐沢寿明


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