田園都市の風景から

筑後地方を中心とした情報や、昭和時代の生活の記憶、その時々に思うことなどを綴っていきます。

没後70年「南薫造展」を観る

2021年08月13日 | 美術館・博物館

 久留米市美術館で「南薫造展」が開催されています。この画家については今回初めて知りました。南薫造は、いまの広島県呉市の生まれ。1902年に東京美術学校に入って岡田三郎助に師事します。同じ時期に久留米市出身の青木繁も同校に在学していて、黒田清輝に学んでいます。

 卒業後に二人の歩んだ道は大きく異なりました。青木は失意のうちに放浪生活を送り、若くしてこの世を去ります。南は卒業後イギリスに留学し、欧米各地を巡歴。帰国後は順調に画業を重ねて母校の教授を務め、帝室技芸員に任命されるなど画壇に重きをなしました。

 後に天才画家と呼ばれるようになった青木の暗い色調に対し、南は伸びやかで明るい絵が多いように思います。ポストカードから何点か紹介します。

 「瀬戸内海」 1905年 

 南は生まれ故郷の瀬戸内海をよく描きました。この絵は初期のものです。

 

「夕日に祈る」 1908年 

 1907年~10年、イギリスに留学時代の絵です。

 

 「夏」 1919年

 夏の日に照らされた大木。よく見るとの老木の幹は裂けている。

 

 「水辺」

 この絵は水彩です。イギリス時代に描いた裏町風景など、南は水彩に味わいのある作品があります。

 

 「高原の村の朝」 1941年

 強調されているキャベツ畑。私が生まれる前の80年も昔の村の風景ですが、記憶の片隅に残っているような懐かしさを覚えます。

 

 「曝書」 1946年 

 晩年の作。孫たちはお手伝いの手を止めて本に見入っています。賑やかな画面が楽しい絵です。

 展示されている絵はみな初見でした。教科書によく載る青木繁と違って、南は世間にあまり知られていませんが、柔らかい色彩の絵を描く画家です。

 

 

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