HAYASHI-NO-KO

北岳と甲斐駒ヶ岳

オオイヌノフグリ

2010-01-13 | 【独り言】

5年前に刊行された『日本の絶滅危惧植物図譜』に続いて、
日本植物画倶楽部の会員による『日本の帰化植物図譜』が刊行された。
「ハマデラソウ、その後」にも書いた大冊、私にとっては、待ちに待った一冊。
とりもなおさずそれは、「誰も描かない花」が中の1ページに収まっている大事な一冊。



懐かしい木場公園も、もとはと言えばこの中に収まっている、ハマデラソウがきっかけで、
足しげく通う場所になったし、そのお陰で、小さきもの、野の花へ、
ますます傾倒してゆくきっかけになった。
大袈裟に言えば、このブログに綴っている「花」に対しての幾つかの知識の原点は、
間違いなく、「誰も描かない花、ハマデラソウ」にあると思っている。

木場に通っていた当時の画像は一度集大成した
残念ながら木場でその花を見ることは絶えているけれど、
今年はぜひ、今もその花を守り続けている最初の発見場所、堺市浜寺を訪れたい。

その図譜には、もう一枚、「オオイヌノフグリ」が描かれていた。
裏表紙にもその絵が使われている。
このオオイヌノフグリを書いた折の、画家のエッセイも愉快だ。







監修・解説されている大場秀章さんが採用されている植物学名では、従来のゴマノハグサ科ではなく、
オオバコ科に変更されていたので、ここでも新しい科名としてあげておこうと思う。






オオイヌノフグリ オオバコ科クワガタソウ属 Veronica persica



ゴマノハグサ科からオオバコ科への変更については、ここに詳しい。
従来のオオバコ科は3属しかない小さな所帯、それが90属にまで膨らんだ。
特にゴマノハグサ属の中での大所帯、Veronica(クワガタソウ)属が移されている。
植物分類体系は、従来、形態を基にした分類体系(新エングラー体系・クロンキスト体系)が主流だった。
現在では分子系統学に基づく分類体系である、
APG(Angiosperm Phylogeny Group/被子植物系統発生グループの略)
植物分類体系に移行されつつある。
マクロ形態的な、仮説からの演繹的分類体系から、
ミクロ手法によるゲノム解析からの実証的分類体系への移行は、解析手法の根本的な変更になる。
素人が趣味の世界で「花」とかかわる時に、どちらを採用するのかではなく、時代の流れで方法論も違ってくるし、
分類体系も変わりゆくのだと理解した方が賢明だということだ。
だから、慣れ親しんできた「ゴマノハグサ科」が間違っているのではなく、「オオバコ科」に変わってきたのだ…
程度のことで留めておくのが素人の範囲だと思っている。

いずれにしても、オオイヌノフグリの名前が変わったのではないから安心している。
今でも、私はこのエッセイがお気に入りだ。



2 コメント

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オオイヌノフグリ (こいも)
2020-04-27 15:45:23
林の子さん
色々と読ませていただきました。
オオイヌノフグリについてたくさんの事を知ることができました。
葉・果実・茎・花・その他・・・
知らなかったことがこんなにもたくさんあったとは
もっともっと理解してもっともっと撮りたくなりました。
『エッセイのお気に入り』
ヘクソカズラ・オオイヌノフグリ・ママコノシリヌグイ・・・
読ませていただきました。
大好きなお花ばかりです。
それぞれのお花への大切な想いが素敵ですね。
やっぱりお花って良いですね~💛❤💛
ありがとうございました。
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古い話です。 (林の子)
2020-04-27 15:56:05
ブログの利用もこのGoo以前にOCNを使っていましたから随分昔の話です。
写真に至るともう高校時代まで遡るので古すぎると思うのですが
お陰で当時は一度も話したことの無い人たちとこうして今では幾つもの事を
教わったりも出来るようになりました。
『なかたにくんの写真は、高校時代の子どもたちの写真が好きだけど、花を撮るなら基本も理解して撮ってね』と。
笹から入って、樹木の絵が得意なのでいろいろと教わる事は多いです。
やはり撮ってからでも一つ一つ理解出来るのは、こうした指導があったからだと今でも感謝しています。
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