HAYASHI-NO-KO

北岳と甲斐駒ヶ岳

ヤマホタルブクロ(山蛍袋)

2020-07-01 | 夏 白色系

ヤマホタルブクロには、萼と萼の間に付属片が無く、
ホタルブクロには萼片の湾入部に反り返る付属片がある。
このような解説が両者の区別点として説明されている。
萼片に反り返る付属体…なのだけれど
時にはこの萼片が筒状の花に変化した「二重咲き」が報告されている。






▲ 「反り返る付属体」ではなく、少し膨れている程度だし、萼片には殆ど毛は無い。▼



▲ 花が下向きに咲いているのは、梅雨時にも花粉を出せるからだ。▼





▲ 萼片に反り返る付属体、ホタルブクロとヤマホタルブクロの区別点だそうだが
この付属体は少し膨れている程度。 ▼




▲ 花粉を飛ばしきったおしべは花筒基部にひれ伏す。▼

 

▲ 雌しべの花柱には花粉がびっしりと付いている。柱頭はまだ閉じている。
やがて少しずつ柱頭が開き始める。▼




▲ この一連の動きは、キキョウと同じ仕組みだ、
下向きに咲く花だけれど、花冠の中に細かな毛が密集して滑り止めの役目を果たしている。▼






ヤマホタルブクロ(山蛍袋) キキョウ科ホタルブクロ属 Campanula punctata var. hondoensis
ホタルブクロ(蛍袋)
 Campanula punctata
学名のCampanula punctata は 、「斑点のある小さな釣り鐘」の意味
(2020.06.29 明石西公園)

 
㊧ヤマホタルブクロ(山蛍袋) ㊨ホタルブクロ(蛍袋Campanula punctata)萼片に毛が多い。

【ホタル、ほたる、蛍】
この花を見ると必ず脳裏に浮かんでしまう一つの小説、野坂昭如の「火垂るの墓」。
戦争体験の無い私は、神戸・三ノ宮の高架下が登場するこの小説の、
映画化されたアニメの中でしか、戦時中の混乱期を知らない。

そこに描かれた、貧しさと差別の中で健気に生きた兄妹の切ない物語、
戦時体験の無い私には、切なさだけが残された。
野坂が敢えて「火垂」を使った理由は何だったのだろう。
蛍の語源も、火を下げるという意味の、提燈から来たと言う。
それぞれの思いが、戦中を生きた人たちにはあるのだろう。
蛍の灯りを「暖かい…」、そう言った主人公・節子の優しさを、
この花を見つけるたびに思い浮かべてしまう。
西宮・奥畑にあるニテコ池にも舞台のモデルがあることを知ったのは
学生時代のアルバイトの頃だったし、そこを教えてくれた人と夕暮れに歩いたことも遠いけれど
「火垂の墓」に描かれたのはもっともっと遠い。
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ホタルブクロ ヤマホタルブクロ オカトラノオ(丘虎の尾)



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