怪獣は日本人が「発明」した。
だが、その原初において、怪獣
を登場させる意味は、反戦非核
平和を希求する人の心だったと
いうことを、今となっては誰が
知る。
忘れてはならない事があるのだ。
最近、現住地方で飲んでいて、
飲み客で「もう一度戦争が起
こればいい」と言うゆとり世
代中年がいた。
「特攻のような事を今の若い
奴らはやろうとしない。愛国
心がひとつも無い」と。
相手せず黙って聞いていたが、
そうなんだ~、と。
「なら、戦時には自分から、
まず君から志願したまえ」と
思った。
千年以来の戦争屋の血が自分の
中に流れていて、実際に戦争と
は無縁ではなかった俺自身とし
ては。
誰が国を亡ぼす。
こういう自分は安全地帯にいな
がら国民を、国の若い人々を殺
そうとする奴らだ。
のらくら飲み屋で世迷言を言っ
てねえで、てめえで勝手に死ん
で来い。海外の戦地にでも行っ
て、弾丸と砲撃の中をくぐって
来てみろや。
砲撃の後、隣りの友軍兵士を助
けようと装備を引っ張ったら、
下半身が無くてドシャドシャッ
と赤黒い内臓が下に落ちるよう
な経験してから物を言え。この、
たぁけ。
国内でも石の一つ、瓶の一つも
投げた事がないくせに、何を寝
言をほざいているのか。
ただ、一つだけ、年長者として
釘は刺しておいた。たぶん心に
は響かないだろうが。
「戦争は戦闘行為だけではない。
国家間戦争を始める前と戦争中
には、ありとあらゆる人間の自
由と尊厳が権力により破壊され
る。
それは、無慈悲に容赦なく。
そして、戦争で苦しむのはいつ
も、女と子どもだ」
件の男は黙ったが、心には響いて
はいないだろう。