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携帯端末向け新放送、NTTドコモ陣営に決定 他社の参入に注目

2010-09-10 | 携帯事業者/日本



 総務省は9日、2012年春にも始まる携帯端末向け新放送について、NTTドコモなどが出資する「マルチメディア放送」の事業計画を正式に認定した。

 同サービスを巡ってはKDDI陣営と1枠を争っていた。新サービスの立ち上がりに向けて、ソフトバンクやKDDIの動向に注自が集まる。


●独自な番組提供可能に

 9日午後4時45分、マルチメディア放送の二木治成社長が総務省の大臣室を訪れ、原口一博総務大臣から正式に認定を受けた。

 二木社長は、「普及には素早い事業の立ち上げが重要」と話した。携帯端末向け新放送の実用化で、そもそも携帯電話はどう変わるのか。

 ポイントは3つある。まず、これまで携帯端末向け地上デジタル放送「ワンセグ」は地域ごとのテレビ放送をそのまま転用する「サイマル放送」が主だった。

 これに対し、新放送は全国一律で携帯端末に独自な番組を提供することが可能になる。「ワンセグ」は名前の通り、使用する周波数帯域も1セグメントのみだったが、新放送はセグメント数も1-13に増える。

 これにより大容量データを使ったコンテンツも可能になるほか、画質も単純計算で約9倍に向上する。また、放送事業への新規参入も可能になる。

 これまで、放送事業は大規模な設備を持つ大手が中心だったが、マルチメディア放送から設備を借りる形で、ベンチャー企業なども放送波を使ったコンテンツ配信が増える見通し。


●待ち受ける競争

 マルチメディア放送の二木社長は同日、記者団に対し「KDDI側にも事業の協力を求めたい」と強調した。

 基地同などのインフラを運営する受託会社についてソフトバンクに出資を求める考えを明らかにしたが、KDDIの小野寺正社長は協力に難色を示しており、ドコモとの溝が埋まるかどうかは不透明だ。

 事業計画が認定されたとはいえ、新放送には通信系サービスとの競争が待ち構える。通信を使った動画配信サービスではユーチューブなど、有料・無料様々なサービスがインターネット上にあふれるからだ。

 既存の通信系の動画配信は1つの配信元から1つの端末へ情報を配信する「1対1」方式のものが主だったが、新放送は1つの放送事業者が多くの契約者に一斉放送する「1対n」の配信が基本。

 新放送がうまく差異化を図るためには、参入する放送事業者が多くの人の注目を集められるような番組編成の手腕が試されることになる。




【記事引用】 「日経産業新聞/2010年9月10日(金)/3面」


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