米携帯2位のAT&Tはデータ通信サービスの「定額使い放題」プラン契約者に対して、通信量が一定量を超えると通信速度を抑える利用制限を設けると発表した。
日本でも高速の新サービスを対象に月間の通信量に上限を設け、それを超えた際には追加料金の支払いや通信速度を制限する仕組みの導入が進む見通し。
●通信速度を制限
データ通信量の急増に対応する取り組みが本格化してきた。
米AT&Tが導入した制度は、高速携帯電話「LTE」に対応したスマートフォンの契約者は月間の通信量が5G内を超えた場合、その他のスマートフォン契約者は3Gを超えた場合に「減速」の対象となるというもの。
同社は2010年に使い放題プランを廃止する意向を発表。昨年から新規契約者に対してデータの利用量に応じた料金プランを販売しており、今回は既存の使い放題プラン契約者にもメスを入れた。
AT&Tによると、減速の対象はスマートフォン契約者全体の5%以下としている。
米国でAT&Tが既存の契約者にも従量制限の導入に踏み切ったのに対し、日本では「LTE」など高速の新サービスで、月間の通信量が一定限度を超えた利用者に対して追加料金や速度制限を課す動きが広がっている。
NTTドコモは「Xi(クロッシィ)」で月間の通信量を7Gバイトまでとする制限を設ける。
適用は10月以降となるが、7Gバイトを超えた場合は2Gバイトごとに2625円を追加で支払うか、通信速度が最大毎秒128キロビットに制限されることになる。
ソフトバンクモバイルもこのほどサービスを始めた「ソフトバンク4G」で月間の通信量を5Gバイトまでとする。適用は10月以降で、5Gバイトを超えた場合は追加料金の支払いまたは通信速度の制限を選ぶことになる。
イー・アクセスも15日に始める「イー・モバイルLTE」で月間通信量の制限を設ける。14年5月以降は、10Gバイトを超えると当月の通信速度が制限される。
●3G回線は対象外
日本の携帯各社はこれまで、利用者間の「公平性」を名目に一部のヘビーユーザーに対する速度制限を実施してきたが、追加料金が発生する仕組みについては新サービスに限って導入する。
既存の第3世代(3G)回線契約は対象としないことで、「定額制」の見直しにつながるといった利用者からの非難を緩和する狙いがあるとみられる。
【記事引用】 「日本経済新聞/2012年3月5日(月)/3面」