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スマートフォン普及率、米欧5割に迫る 低価格化後押し、新興国へも浸透へ

2012-03-05 | 市場動向/欧米



 スマートフォンが「普通の携帯電話」になる時代が目前に迫ってきた。

 携帯電話の世界販売台数に占めるスマートフォンの比率は2011年10-12月期に初めて30%を超え、米欧では普及率5割が目前に迫る。低価格化により、今後は新興国でも浸透が進む見通し。

 インターネット業界でも、スマートフォンを通じて収益力を高める動きが強まりそう。


●70ドルも視野

 「来年にはスマートフォンの価格は従来型携帯と同水準になり、その後は70ドル(約5700円)も視野に入っている。市場は一気に拡大する」。

 1日までスペインのバルセロナで開かれた国際的な携帯電話見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)2012」で、米グーグルのエリック・シュミット会長はこんな見通しを示した。

 米調査会社ガートナーによると、11年10-12月期のスマートフォンの世界販売台数は前年同期比47%増の1億4904万台。携帯電話の販売台数に占める割合は31%になった。

 米ニールセンの直近の調査では、米国における普及率は46%。過去3カ月の携帯の購入者でスマートフォンを選んだ人は6割に達した。西欧でも普及率は4割を超え、従来型携帯との逆転が射程に入った。

 スマートフォンは低価格化が進んでおり、今後は新興国でも普及が加速する見通し。

 MWCでは、フィンランドのノキアが同社の従来品より約3割安い189ユーロ(約2万円)のスマートフォンを発表。半導体最大手の米インテルは、150ドル以下のスマートフォンヘの搭載を想定したMPU(超小型演算処理装置)を紹介した。

 新興国に強い中国の通信機器大手・中興通訊(ZTE)などもスマートフォンの品揃えを広げる。


●スマホを最優先

 携帯端末向け広告大手であるシンガポールのインモピの2月の報告書によると、英米では消費者がスマートフォンを使う時間はテレピやパソコンを上回り、1日のメディアの利用時間の中で最長になった。

 米国の場合、スマートフォンが142分、テレビが135分、パソコンが96分。

 MWCではネットに繋がるスマートフォンが従来型携帯並みに普及する時代の到来をにらみ、「スマートフォンを最優先に事業展開を進める」(米ネット大手幹部)との発言が相次いだ。

 交流サイト(SNS)最大手の米フェイスブックは、スマートフォンを通じた課金サービスを始める方針を説明した。

 米ベライゾン・ワイヤレスなど世界の通信大手と組み、アプリなどの代金を携帯電話の利用料と一緒に徴収する。「スマートフォンの爆発的な普及は、ネット発明以来の大きな変化」(テイラー最高技術責任者)とみて、取り組みを強化する。

 電子決済大手の米ペイパルも、スマートフォンを通じで購入した音楽などコンテンツの代金を携帯電話の料金とともに支払えるサービスを始めた。

 フェイスブックやペイパルはいずれもパソコン向けのサービスが主力だったが、スマートフォンを通じたネット利用が増えていることから、スマートフォンによる収益確保を強化する方針を示した。


●企業間の競争激化

 一方、インモビのナビーン・テワリ最高経営着任者(CEO)は「スマートフォンの利用時間は拡大しているが、ネット業界でスマートフォン経由の収入の割合はまだ小さい」と指摘する。

 スマートフォンを通じて課金や広告により収益を確保する動きはまだ緒に就いたばかりで、新しいビジネスモデルの先行きには不透明な部分もある。

 ただ、この分野で先んじた企業がネットの覇権を握る可能性もあり、勝ち残りを目指した企業間の競争が激化しそう。




【記事引用】 「日本経済新聞/2012年3月5日(月)/7面」


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