携帯電話業界ブログ

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アジア勢、スマートフォンで日本市場に攻勢 巻き返し図る国内メーカー

2010-11-25 | 端末メーカー/世界



 アジアの携帯電話メーカーが廉価版スマートフォンで日本市場に攻勢をかけている。

 2010年冬~11年春モデルで、韓国LG電子や中国の中興通訊(ZTE)、華為技術(ファーウエイ)などがアンドロイドを活用して安価に製造することを強みに、国内事業者に次々に供給。 

 出遅れた国内メーカーは巻き返しを図れるのか。


●製品化急ぐアンドロイド端末

 「アンドロイドの市場でもナンバーワンを目指す」。

 4日に開いた新製品発表会で、ソフトバンクの孫正義社長は米アップルの「iPhone」に加え、グーグルのOS「アンドロイド」搭載モデルの大幅拡充を発表した。

 3D液晶搭載機種のシャープなど国内メーカーだけでなく、台湾HTCなどアジア勢のモデルが並んだ。中でも華為やZTEの製品は実勢価格で1万円以下と、国内メーカー製が2万-3万円なのに対し割安。

 NTTドコモも韓国サムスン電子の看板モデル「ギャラクシーS」に加え、LGの廉価版モデル「オプティマスチャット」を発売。KDDI(au)もパンテックの「シリウス」を投入した。

 有機ELパネルの搭載などで高価なギャラクシーSを除けば、いずれも実勢価格は1万-2万円とみられる。

 これまで国内の携帯事業者は、ブランド認知度の低さなどから海外メーカーからの調達は少なかった。海外勢の大幅な参入を促したのは各社がアンドロイド対応機種に一斉にかじを切ったこと。

 iPhoneが立ち上げたスマートフォンの市場で、今後はアンドロイド端末が主流になるとみて製品化を急ぐ。

 KDDIは出遅れたスマートフォン戦略を挽回するために「アンドロイドau」と銘打ち端末数を増やしている。ドコモの山田隆持社長も「幅広い機種を揃えたい」と強調。


●国内メーカー反撃なるか

 日本勢のアンドロイドベースの製品開発が遅れ、各社のラインアップをアジア勢が下支えする形になった。

 海外メーカーの強みは製造コストの安さ。世界市場向けの端末をほぼそのまま日本市場に投入することで破格の値段を実現した。ある海外のメーカー幹部は「コスト競争力で日本勢には絶対負けない」と豪語する。

 国内勢が年間約3000万台の日本市場専用に開発しているのに対し、グローバル仕様の端末は約12億台の世界市場を念頭においており、生産コストは土台から違う。

 また、通信各社は一時期抑制していた販売奨励金をスマートフォン向けに増やす傾向にある。このため高機能なはずのスマートフォンの店頭価格が既存の携帯電話よりも安くなるという「逆転現象」が起きつつある。

 後手に回った日本メーカーは、「おサイフケータイ」など日本ならではの機能を加えた高機能なアンドロイド端末で巻き返しを図る。

 ただ、ユーザーが各種のアプリをダウンロードして自分仕様にできるアンドロイド端末では、メーカーごとに大きな差を出しにくいのも事実。

 サムスン製のギャラクシーSが人気を集めるなど、海外製端末への抵抗感も薄れつつある。価格面で不利な国内メーカーがどこまで反撃できるかは未知数。


●繰り返す低価格化の道

 来春からは「SIMロック」解除も本格化し、海外の携帯電話を国内の通信回線で使える環境が整う。国内外の端末融通の自由度はさらに増す。

 スマートフォン開発で遅れをとった日本勢が反攻に失敗すればスマートフォン市場でも汎用化が一気に進み、かつてパソコンが歩んだ低価格化の道を繰り返す可能性もある。




【記事引用】 「日経産業新聞/2010年11月18日(木)/4面」


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