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国内携帯電話事業者3社、中長期のモバイル戦略示す 新たなワイヤレス技術に注力

2011-05-26 | 携帯事業者/日本



 NTTドコモとKDDI、ソフトバンクモバイルの経営陣らが25日、東京ビッグサイトで開幕した「ワイヤレスジャパン2011」で中長期のモバイル戦略を示した。

 スマートフォンなどの需要が急拡大するに伴い、高速無線技術「WiMAX(ワイマックス)」や高速通信規格「LTE」など新たなワイヤレス技術に力を入れていく。


●スマートイノベーションへの挑戦

 NTTドコモの山田隆持社長はワイヤレス技術の展開について、昨年12月に投入したLTE「Xi(クロッシィ)」を普及させ、「12年3月期に100万件、15年3月期に1500万件の契約を目指したい」との目標値を掲げた。

 ネットワークの一段の進化については、クロッシイの10倍の通信速度を持つ第4世代(4G)の高速化無線システム「LTE-Advanced」の実用化を目指すとし、高速化対応に力を入れていく方針を示した。

 長期目標としては、企業ビジョン「スマートイノベーション」への挑戦に触れ、「これまでの10年はモバイルの探求だったが、これからの10年はモバイルを核とする総合サービス企業への進化が必要」と訴求。

 モバイルを核に、高度道路交通システム(ITS)との融合やスマートフォンによるカーエレクトロニニクスとの連携を図っていく。

 さらに健康・医療、金融。決済、環境などモバイルを軸にさまざまな分野の開発にも意欲を示した。また顧客満足度の向上も強調。

 iモードが使える携帯電話の機能をスマートフォンでも早期に使えるようにし、拡大するスマートフォン市場で「顧客満足度ナンバーワンを目指したい」と語った。

 技術開発の強化とともにモバイルを核とした新たなサービスを切り開く。


●多種端末で共通サービス

 KDDIの田中孝司社長はさまざまコンテンツを提供するマルチユース、どこでもつながるマルチネットワーク、複数端末によるマルチデバイスの「3M戦略」で顧客基盤を拡大する意向を示した。

 パソコン経由でのインターネットとモバイル経由でのインターネットサービスの継ぎ目のない(シームレス)統合を前提にした戦略で、モバイルの新たな可能性を吸収しながら移動通信事業の拡大を目指す。

 今後のモバイルの動向について「スマートフォンが中心となり、タブレット端末など多様な機器が普及する」と想定。

 アプリケーションが機器間でシームレスになり、第3世代携帯電話(3G)からWiMAXやLTEなどの第3.9世代携帯電話(3.9G)へと進化し「ネットワークの高速化がかなり進む」との見通しを示した。

 長期的には「ユーザーインターフェース(情報の開示様式やシステムの操作感)と携帯電話の処理能力、ネットワークの高速化がポイント」と指摘。

 これまでの10年では3Gの普及とともに携帯電話の契約数が増えたとし、「携帯電話でのインターネットサービスの拡大により、携帯電話(の技術開発など)が開花した」という認識を示した。


●ネットワークの増強進める

 ソフトバンクモバイルの松本徹三副社長は,、総務省が割り当てる700Mー900MHz周波数帯の獲得や12年-13年にサービス開始予定のLTEで「安定した通信環境を確保し、ネットワークの高速化を強化したい」との考えを示した。

 モバイルインターネットの可能性を模索しつつ高機能端末の提供、コンテンツ充実化、ネットワーク増強に力を入れる。

 国内のモバイル通信については、「米国同様にこれからは基本ソフト(OS)を搭載したスマートフォンが主流になる」と語り、同時にタブレット端末の普及にも期待感を示した。

 その上でデータ通信量の大幅拡大を今後の課題ととらえて、ネットワークの増強を進める。

 国内のモバイル環境について、ミクシィの事例を引き合いにミクシィ利用者がパソコンから携帯電話へシフトし、85%以上が携帯電話から接続していると指摘。

 「インターネットのアクセスはパソコンから携帯電話にシフトしている」という見方を示した。こうした状況の中で、「ソフトバンクモバイルはモバイルインターネットを進める世界最大企業」と自負。

 「ソフトバンクはインターネット事業から出発した携帯通信会社でこのような会社は、世界にはどこにもない」と述べ、モバイルインターネットへの強いこだわりをみせた。




【記事引用】 「日刊工業新聞/2011年5月26日(木)/10面」


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