中古携帯電話の市場が本格的に立ち上がりそうだ。
カメラ店のキタムラが販売に参入し、家電量販店では上新電機に続いて、ヨドバシカメラも中古品の買い取りを開始。携帯販売店が全国で中古品店をフランチャイズチェーン(FC)展開する動きも出てきた。
新品の半分以下という価格が消費者の支持を得て数年後には携帯販売台数の5%強を占めるとの予測もあり、低迷する携帯市場で存在感が増しそう。
●節約志向の消費者取り込む
不要になった携帯の多くは消費者が自宅に残したり、廃棄処分に回ったりしている。一部は店舗が消費者から買い取り、個人情報を消去、清掃したうえで再販している。
通常、中古携帯の店頭価格は1台5000-2万5000円程度で、新品(最新機種で6万円程度)と比べて大幅に安い。2007年ごろから携帯・中古品の小規模店の一部が扱うにとどまっていた。
ここにきて、節約志向の消費者を取り込むもうと大手小売りの参入が相次いでいる。キタムラは今月から7店で順次販売する。将来は全約1000店で扱う方針。
キタムラは中堅の携帯販売代理店である日本テレホンとFC加盟契約を結び、買い取り査定や店舗運営のノウハウ提供を受ける。
日本テレホンは直営20店で中古携帯を扱ってきたが、10年度に計2000店のFC展開を目指す。
家電量販店業界では昨年8月から買い取りを始めた上新電機が現在、関西の約100店(全店舗数は約170)に拠点を拡大。大阪府の4店で販売も手掛けている。
ヨドバシは全20店で買い取り、店舗のテナント企業がネット通販を始めた。ラオックスも早ければ月末から、都内の1店で販売する。
●13年には比率5%強
携帯電話端末は07年度に約4980万台だった販売台数が09年度は約3440万台まで落ち込む見通し。
端末を安くする代わりに通信料を高くしていた販売方法が07年末に見直されて端末価格が上昇し、買い替えサイクルが長期化。消費不振が深刻化する中、消費者の一部は割安な中古品を買い求めている。
小売り大手の中古品売買参入に伴って品揃えが豊富になれば顧客拡大に繋がり、企業側も利益を確保しやすくなる。
調査会社のMM総研の推計によると、09年度の中古携帯の販売台数は62万台と携帯全体の2%程度。13年度には184万台に増え、全体に占める比率も5%強に上昇すると予測している。
【記事引用】 「日本経済新聞/2010年4月17日(土)/9面」