画像処理ソフト開発のモルフォは、携帯電話の単眼カメラで3次元(3D)写真を撮影できるソフトを開発した。
撮影時にカメラを平行移動させながら被写体を速写し、左目用と右目用で視差の付いた2枚の画像を作成する。3D写真の撮影機能を簡単に付加できる手段として国内外のメーカーに売り込む。
●アプリの外販も検討
携帯向け組み込みソフトとして「モルフォスライド3D」の名称で販売を始めた。
同社がすでに商品化済みの動き検出や手ぶれ補正などの技術を組み合わせて実現。一部携帯メーカーが年末商戦向けに採用を決めた。
携帯で連続撮影した個々の写真から移動量と角度を算出し、左右の視差に相当する2枚の画像を抽出。撮影時の手ぶれで被写体が上下方向にずれるため位置補正も施す。
2枚の画像は「マルチピクチャー」や「サイドバイサイド」などの方式でファイルに保存可能。携帯で3Dのパノラマ写真を撮影できるソフト「モルフォパノラマ3D」も同時に発売した。
仕組みはスライド3Dと同じで、撮影したい範囲にカメラを動かすだけで作れる。パノラマは画角が広く、より遠近感のある画像になるという。
3D写真の撮影は、左自用と右自用で別の写真を撮影する2眼カメラを利用することが一般的。
ただ、携帯に2眼カメラを搭載すると端末サイズが大きくなる課題があった。新開発のソフトを使えばレンズや画像処理プロセッサーの搭載費用を減らせ、省スペース化にもつながる。
価格は個別に見積もるという。当面は組み込み用途を想定するが、今後は米グーグルの携帯向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」向けの応用ソフト(アプリ)として外販も検討する。
【記事引用】 「日経産業新聞/2010年11月2日(火)/1面」