風の声

想いつくまま

松本治一郎ら先人の偉業と日中国交50周年

2022年01月14日 | 日記

今年、日中国交正常化の50周年を迎える。

日本の首相として初めて訪中した田中角栄。滞在を引き延ばしてまで、周恩来と心を開いて対話し、国交正常化を勇断したのだった。

田中角栄の訪中への道筋をつけたのは、日中友好協会の初代会長で社会党の参議院副議長の松本治一郎だ。以来、日本の中国への支援や技術指導は4兆円を超える。その成果もあって中国はGDPで日本の3倍、世界2位の経済大国となった。

「井戸水を飲むとき井戸を掘った先人の苦労を忘れない」いまでも中国の訪中団は松本治一郎の墓参りを欠かさない。

だが、長い年月をかけて築いてきた日中国交の業績は、先人の苦労を踏みにじった安倍菅政権9年で水の泡となってしまった。

米中の対立と駆け引きも続く。片手にピストル、片手に花束を持って交渉するアメリカはしたたかな戦略で中国と向き合う。ところが、政治的な見通しを持たずに、感情的に中国嫌悪を煽りたてただけの安倍菅政権のせいで、両国の「反感」は戦後最悪の危険水域にある。

日本の貿易でダントツ1位は中国だ。全体の24%もの金額を占める。「政治は冷え切るも経済は熱い」そのちぐはぐさからも、いかに政治が無能かがわかる。

その無能さは与野党ともにそうだ。小粒の金太郎飴ばかりで、心を開いて率直に話し合おうとする度胸すらない。お隣りさんと仲良くできない国が世界をリードできるはずがない。

日中問題で勇ましいことを口にするのは簡単だ。だが、ほんとうの勇気は平和のために心を開いて相手国と向き合う人間力と外交力をいう。

いたずらに対立点ばかり強調して、憎悪を煽るだけの政治手法は危ういばかりか自滅する。お互いの共通できるものを模索し「小異を残して大同につく」ために寛容と胆力で応じるのが外交というもの。

だから、尖閣の領土問題は「棚上げにする」という寛容と知恵で、田中角栄と周恩来は合意した。

いまでも日本の政治家で人気NO1の田中角栄。光と影の人間性がにじむドラマ性が人々を惹きつける。小学校卒の田中角栄には東大卒の官僚さえも魅了する人間力があった。

松本治一郎は人間解放の政治理念を貫き「解放の父」と呼ばれた政治家。誰もを惹きつけた人間力は革新や保守を超えて親しまれた。

田中角栄や松本治一郎のような度量の広い政治家はもういない。

先人の教えるものは寛容さを失い漂流するこの国の危うさだ。









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