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【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】3-07 侃侃諤諤 三人寄れば文殊の知恵 信ずることを遠慮せずに堂々と議論を闘わせる

2024-09-28 12:21:00 | 【心 de 経営】 経営四字熟語

  【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】3-07 侃侃諤諤 三人寄れば文殊の知恵 信ずることを遠慮せずに堂々と議論を闘わせる   


 
  四字熟語というのは、漢字四文字で構成された熟語であることはよく知られています。お恥ずかしいながら、その四字熟語というのは、すべてが中国の故事に基づくものとばかり思っていましたが、実はそうではないことを発見しました。
 経営コンサルタントという仕事をしていますが、その立場や経営という視点で四字熟語を”診る”と、今までとは異なった点で示唆を得られることが多のです。「目から鱗が落ちる」という言葉がありますが、四字熟語を講演や研修の場で用いたり、自分の仕事や日常会話に活かしたりするようにしましたら、他の人が私を尊敬といいますとオーバーですが、自分を見てくれる目が変わってきたように思えたことがあります。
 四字熟語の含蓄を、またそこから得られる意味合いを噛みしめますと、示唆が多いですので、企業経営に活かせるのではないかと考えるようにもなりました。これを「目鱗経営」と勝手に造語し、命名しました。
 以前にも四字熟語をご紹介していましたが、一般的な意味合いを中心にお話しました。このシリーズでは、四字熟語を経営の視点で診て、つぶやいてみます。以前の四字熟語ブログもよろしくお願いします。

  第3章 経営に戦略的企画力を
 日本の経営者・管理職は、非常によく勉強をしていますが、耳学問が進みすぎて、それらに振り回されすぎているように思えます。いろいろな経営理論を聞きかじり、そのメリットのみが強調されたお話を聞き、消化不良を起こしていることに気がついていません。そのために「知っているつもり」「やっているつもり」という”つもり”が積もっていて、自社にとって最適な方法が提案されても「陳腐な理論」「古い経営手法」というような位置づけでかたづけてしまっている企業が多いです。
 四字熟語の中には、【心 de 経営】の精神に則る、経営者・管理職の心の糧になる発想が多数見つかります。前章の思考法を用いながら、それを企業経営に活かすことが、“戦略的”な経営に繋がります。企業経営で欠けている【心 de 経営】をいかに読み解いて、戦略経営を行うかを感じ取ってください。
 3-07 侃侃諤諤 三人寄れば文殊の知恵
       ~ 信ずることを遠慮せずに堂々と議論を闘わせる ~


 論理思考を行う方法の一環として、発散思考という方法があります。経験や知識・能力の異なる社員が集まって意見を交換することにより、新しい発想が生まれてくる可能性が高まります。会議が多すぎるのも問題ですが、企業における会議というのは、社員が持つ智恵を結集して、それを活用することで企業経営を円滑に、発展的に行う経営の基本です。
 それを四字熟語で表すと「侃侃諤諤(かんかんがくがく」となります。「侃(かん)」は、剛直なこととか気質が強くて心の正しいことを表します。「諤(がく)」は遠慮することなく、はっきり言うという意味です。すなわち「侃侃諤諤」というのは、「侃々諤々」とも書きますが、「正しいと信ずることを遠慮せずに堂々と発言し、議論を闘わせる」ということになります。
「喧喧囂囂(けんけんごうごう)」という同じ意味の言葉もあります。ときどき「喧喧諤諤」と、二つの四字熟語をクロスして誤用している人を見かけますが、注意してください。

 ところで何かトラブルが発生したりしたときに、その原因究明で議論を闘わせることはありませんか?
 そのようなときに、何が原因なのか、考えられる事項をすべて洗い出する手法として、ブレインストーミングに代表されます、発散思考がしばしば用いられます。発散思考というのは、「議論百出(ぎろんひゃくしゅつ)」、すなわち「様々な意見が出されて、議論が沸騰する」ということで、いろいろな意見やアイディア等を出していく方法です。「議論沸騰(ぎろんふっとう)」という類似四字熟語もあります。また「いろいろな意見や憶測が飛び交い、収拾がつかない」という意味で「諸説紛紛(しょせつふんぷん)」もあります。
「満場一致(まんじょういっち)」の方向に建設的な意見で沸騰し、会議がまとまる方向にあれば良いのですが、「甲論乙駁(こうろんおつばく)」では収拾がつきません。甲が意見を言いますと、乙が反駁(はんばく)するというように「お互いが意見を主張しあい、意見がまとまらない」ことを言います。
 ましてや「呉越同舟(ごえつどうしゅう)」、派閥間の争いとなりますと骨肉の争いが演じられることになります。孫子に出てきます四字熟語ですが、中国の春秋時代に呉と越が互いに争っていました。「呉と越は宿敵同士でしばしば戦いを繰り広げたが、その憎しみ合っている両国の人が、同じ舟に乗って川を渡るときに大風が吹いて舟が覆りそうになれば、普段の恨みも忘れて互いに助けあうだろう(新明解四字熟語辞典)」というたとえの故事に由来しています。
 このことから「仲の悪い者同士や敵味方が、同じ場所や境遇にいること。本来は、仲の悪い者同士でも同じ災難や利害が一致すれば、協力したり助け合ったりする(新明解四字熟語辞典)」ということです。

 いろいろな意見で沸騰するということでは、似たような状況を表すのに「百家争鳴(ひゃっかめいそう)」という言葉があります。「百家」の「家」は「逸物(いちもつ)ある人」、すなわち一般的には学者を指しますので、「百家」は、「たくさんの学者」という意味です。「争鳴(そうめい)」は、「争うように鳴く」ということから「議論を闘わせる」という意味で使われます。
 従いまして、「百家争鳴」は、「たくさんの学者や文化人が、何の縛りもなく自由に論争する」ことを指します。似たような表現の「百花繚乱(ひゃっかりょうらん)」は、「いろいろの花が咲き乱れる」ことをさしますが、転じて、「優秀な人材が多く出て、優秀な業績に至る」という意味で使われます。「百家争鳴」と同じような意味で用いられる四字熟語ですが、「千紫万紅(せんしばんこう)」「百花斉放(ひゃっかせいほう)」も類語と言えましょう。
 会議では、様々な立場の人達が、自説を自由に発言できることが好ましいことです。ところが、中小企業にときどき見られる会議というのは、社長などのお偉いさんの独演場で、参加者が意見を言うことはほとんどないのです。会議ではなく、演説の場になってしまっています。
 このような状況の時に「気炎万丈(きえんばんじょう)」という四字熟語が使われます。「気炎」は「さかんな炎」です。「万丈」の「万」は、多いことや大きいことを指します。「丈」は「たけ」すなわち高さですので「万丈」はすごい高さまでという意味になります。従いまして「気炎万丈」は、「さかんな炎が、たけ高く上がるほどの彷彿として議論」という意味です。
「気炎万丈」は、時にはよいのですが、会議の進行を妨げるのも困りものです。蛙や蝉ががやがや鳴くがごとく「蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)」ともいいますが、議長無視の会議でもいけません。
 因みに「気炎万丈」の「気炎」は「気焔」という漢字を当てることもあり、「他の人を圧倒するほど意気盛ん」な状態を表し、「活発に議論する」ことです。「蛙鳴蝉噪」は、「蛙鳴雀噪(あめいじゃくそう)」ともいいます。北総の詩人蘇軾の詩に出てくるのですが、蛙や蝉がやかましく鳴き騒ぐ様子から、百家争鳴のように素晴らしい議論で白熱するというよりは、むしろ議題とは無関係であったり、役に立たない議論が続いたり、発言があれやこれやと乱舞することを指します。時には、内容の薄い文章に例えることもあります。

 現実からかけ離れていて、役に立ちそうもない理論や考えであります「空理空論(くうりくうろん)」に振り回されてしまうこともしばしばあります。「空理」「空論」ともに実際には役に立たない理論や考えという意味で、同じ意味の言葉を重ねて意味を強めた用法です。
 同様に、時間の浪費に繋がる会議が「愚問愚答(ぐもんぐとう)」です。愚にも付かない質問が出されたり、馬鹿げた回答がなされたりという状況です。「空中楼閣(くうちゅうろうかく)」という、もともとは蜃気楼を指す言葉が転じて、根拠や現実性に乏しくむなしい事柄を指す四字熟語もあります。その類例として「空中楼台(くうちゅうろうだい)」「砂上楼閣(さじょうろうかく)」という言葉もあり、類似した意味で使われます。


 会議というのは「会して議する」ところです。会議は、議題により「決議事項」「討議事項」「報告事項」に分類し、できるかぎり「報告事項」は文書で済ませるようにしたいですね。「決議事項」は「討議事項」は、事前に関係者に議題を通知し、それに基づき準備をした上で会議に臨み、意見を戦わせます。決議事項の場合には、議事録に決議内容を記し、その後進捗管理をどの様にするかを明確にしておき、次回の会議の時までに、それを確認しておくことも必要です。
 会議の成功には、事前準備も必要ですし、議長のリーダーシップも成功には大きく影響します。蛙鳴蝉噪になって議題から外れてしまったら議論の方向修正が必要です。空理空論や愚問愚答が頻発するようでしたら、会議のあり方に関する教育も必要かもしれません。
 最近は、立ったまま会議を行うなど、会議のやり方も変化しつつあります。会議という簡単なことのように思えることでも、企業内で「自社の常識は他社の非常識」という状況にないかと言うことを振り返ることも必要ではないでしょうか。
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