<信濃毎日新聞 3月22日 朝刊記事より引用掲載>
「安心のお産を」 産科医不足 長野でシンポ
全国的な産科医不足問題を考えるシンポジウムが21日、長野市内で開かれた。厚生労働省は、医師確保が難しい地域で医師を中核病院に集約させる方針を示しており、参加者から「産む側の声に耳を傾けて」といった訴えが相次いだ。
シンポジウムは厚労省産婦人科医療提供体制の緊急的確保に関する研究班の主催。産科休止を巡る動きが広がっている県内で住民の声を聞こうと企画した。母親、医療、行政関係者ら約150人が参加した。
この日報告された県産婦人科医会の調査(昨年12月)によると、回答があった107施設のうち、20施設が過去5年間で産科を休止、53施設が現在、お産を受け入れている。県内では緊急手術などを受け入れる二次医療施設(地域の中核的な総合病院)で扱うお産が全体の53%を占めるが、そこに常勤する医師86人のうち、今春開業や県外への異動で7人が退職予定。15施設は産科休止や医師減少の可能性が「ある」と回答し、産科医不足が進む見通しになっている。
調査をまとめた信大医学部の金井誠講師は「医師の補充は難しく、産科医療体制が崩壊する地域が出てしまう。医療関係者や住民による地域ごとの対策会議を設け、具体案を考えていくべきだ」と提案。
上田市産院の存続運動に取り組んだ桐島真希子さんは「大病院でのお産は流れ作業のイメージがある。医師の集約が避けられないならば、母親の声を聞いて安心してお産できるよう考えてほしい」と訴えた。
参加者からは「妊娠、出産、育児を支える助産師の力をもっと活用し、母親も医療に頼らないお産を目指そう」「出産には避けられない危険がある。そのために、子どもに障害がある場合でも安心して子育てできる支援を」といった声が出た。病院勤務の助産師は産科で働いていない場合もあり、「熟練した助産師が育つような仕組みを考えて」という提案もあった。