お産・育児ママネットワーク パム

皆様の周産期医療・産科医療に関するご要望、ご意見をお聞かせください。合わせて私達の活動記録です。

信州大学医学部産婦人科 金井 誠医師よりメッセージをいただきました。

2006-09-28 09:11:31 | お知らせ
10月1日「どうする日本のお産in長野」開催決定
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どうする日本のお産にメッセージが寄せられました。ありがとうございます。
長野県 村井県知事より
・母袋上田市長より
信州大学医学部産婦人科 金井 誠医師より
上田市産院 廣瀬副院長より

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信州大学医学部産婦人科 金井 誠医師よりメッセージをいただきました。
掲載させていただきます。

どうする?日本のお産in長野 に参加される皆様
今後のお産に不安を抱える皆様
上田市民の皆様


まずはじめに、今回の大会を主催し、これだけのパワーを持っている上田の母の会のみなさんに対し本当に心から敬意を表します。

長野県や産科の現状を正しくご理解いただくために、今回のパンフレットに書いてある内容の一部の誤りというか誤解を指摘させてください。無論これは、医療や医療行政が専門家でない母の会の皆さんだけの責任ではなく、これまで説明を十分に行うことができていなかった私を含む医療関係者や行政担当者の責任が大きいのではないかと考えています。

今回のパンフレットに、『国の進める「センター化」とは、健診は自宅近くの医療施設で受け、お産は広範囲での一ヵ所の施設でという構想です。しかしこれでは、産む場所を選ぶことが難しくなります。』という文章がありますが、この考えを前提にこの会が開催されては、一般の方々の誤解が増大し、むしろ危機的な産科医療の現場をさらに混乱させるだけの気がしますので、なるべく正確な情報提供をいたします。

国や学会としては、診療所や1次医療病院でのローリスクなお産の場の提供を否定するものではなく、むしろ頑張っていただいた方がありがたいと考えています。特に長野県では他県と比較して診療所でのお産は非常に少なくわずか27%(国の平均の約半分)で、1次医療病院を入れても40%程度です。
つまり約6割は重症搬送も受け入れる2次病院でお産をしているわけです。したがって、診療所でのローリスクな分娩はむしろもっとたくさん行っていただく方が良いのです。しかし、例えば開業の先生には、お一人で年間500件くらいの分娩を扱う方もいらっしゃいますが、これはハイリスクな症例をあらかじめ2次病院に紹介してローリスクな分娩だけを扱い、救急車を受け入れるようなことはない生活だから可能です。
何かあったら受け入れてくれる2次病院があってこそ成り立つわけですが、この2次病院が、いままさに潰れかけています。理由は、簡単に言えば仕事が大変だからです。統計上は同じ1つの分娩でも、正常分娩と異常分娩では、スタッフの労力は何倍も大変です。異常分娩も診て、救急車の搬送受け入れもある病院では2人で年間500件の分娩でも本当に悲惨な労働環境です。こうした2次病院の医師達が、過重労働で現場を去っているわけです。そしてこの現状は、このまま何もしなければ、今後も加速度的に進行することが明らかで、2次医療が崩壊すると必然的に1次医療も崩壊しますから、なんらかの対策を緊急に行う必要があります。

現状で、大規模な医療崩壊を阻止するための緊急避難としては、大変な労働を小人数で行っている2次病院を集約化して大勢の人数により診療することで、2次病院勤務医の労働環境を改善するしかないであろうことは、産科医療の現場をわかっている者達にとっては共通の認識です。
2次医療を支える基幹病院をしっかり確保するという大前提があり、この対策こそ第1に行うべきことであるのは明白なのです。そしてこれは国や学会の方針でもありますが、長野県内で青息吐息で働いている2次病院の若手勤務医達の総意でもあります。またこういった2次医療にはお金も人手もかかるので、通常はこの役割を担う病院は公的病院が引き受けています。したがって、国や学会が考えているのは、公的病院の集約化で基幹病院をしっかりと確保することであり、1次医療の分娩を行っている開業の先生や民間の病院まで集約化してお産をさせなくするなどということは、全く表明したことがないと思います。

もちろん、集約化で問題が解決するという単純なものではなく、緊急避難の対症療法に過ぎないことも誰もがわかっていることでしょう。お産を扱う産科医が増えないことにはどうしようもありません。1日も早く、『近くに安心できるお産を扱う1次診療所があり、2次医療圏には完全24時間体制で母体も胎児も緊急搬送受け入れ可能な基幹病院が必ず存在し、そこでも当然いいお産がなされていて、どこで働く産婦人科医も、家族や自分の健康を犠牲にするような労働環境でない時代』がやってくるように努力したいと思います。

しかし現状では、1次医療の分娩を行っている開業医や病院が既に存在しない地域もあり、そこにもしも健診しか行わない状況でも医療施設があるのなら、しばらくの間、「健診は自宅近くの医療施設で受け、お産は通院可能な範囲での一ヵ所の施設で行わざるをえない」地域も存在するのは残念ながら仕方がないようにも思います。これは分娩を集約化させるための結果ではなく、放置すればその地域で一ヵ所の分娩施設もなくなるよりは、集約化してでも産科医療の提供体制が維持される方が、住民のみなさんの利益になるという考え方の結果です。将来的には、産婦人科医が増えて、その地域でお産をやりたいと思う医師が出てくるように誘導することが望まれます。
 
 上田市産院問題もいろいろと誤解を生んでいますが、簡単に問題点を整理してみましょう。ローリスクな分娩だけを扱い、救急車の受け入れもなく開業医と同じ診療形態の上田市産院が、個人の資金で経営されている民間病院であれば、大学としても何の介入もしなかったでしょう。いいお産を実践できるスタッフが十分確保され上田市からの財政援助を受け、本当に恵まれた病院であると思います。しかし、産科の危機的な現状と上田地区に2次医療が機能していない状況と医療の公共性という面を考慮すれば、信州大学から2次医療を担う医師の派遣のため上田市産院への医師派遣が困難になったことは上田市も納得していただけました。その上で、現在全く機能していない2次医療が提供されるように上田市は努力することも必要でした。
開業医と診療形態が同様である上田市産院へ今後も市民の税金を投入し続けることよりも、同じ税金を投入するなら、2次医療の提供体制を整備し、上田市産院と国立長野病院を集約化していいお産も国立長野病院で行えるように努力していくことが、長期的に見た上田市民の利益ではないかとの当初の上田市の判断は、妥当なものと考えましたが、今後も上田市産院を存続させるとの方針転換は上田市民の総意であるとのことですから、上田市産院を維持することに加えて、上田市に2次医療が提供可能となる努力を行っていただきたいと思いますし、2次医療の提供がない状態に関してどう考えるかにも関心を持っていただきたいと思っております。
 
 また、母の会のみなさんには、大きな病院でも「いいお産」は実践されていることを、ご理解いただければ嬉しいです。
 
 長文にお付き合いいただきまして、ありがとうございました。

信州大学医学部産婦人科 金井 誠
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長野県 村井県知事より応援メッセージをいただきました。

2006-09-27 14:40:41 | お知らせ
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◆長野県 村井県知事より応援メッセージをいただきました。

子を産み育てることは、多くの方にとって、人生の大きな部分を占めており、これに関わる意識や思いはそれぞれの皆様に複雑で重大なものがあると思います。
現在、地域で起きている産科医・小児科医の不足の問題は、限られた医師を県内にどのように配置していくか、どのような医療体制を構築していくかという県全体に関わる課題であり、さらには医師全体、医療全体に関わっていく問題でもあります。
医師の絶対的な不足の中、医師の皆さんの使命感だけに頼ることは限界にきており、県としましては、皆様のお知恵をお借りして関係機関と連携しながら、お母さんたちが安全で安心してお産ができる場を地域全体の力で確保してまいりたいと考えます。
熱心な御討議により、お一人お一人にとって良いお産ができる環境づくりのための御提言がいただけますよう、全国縦断ディスカッション大会長野大会が盛会のうちに開催されますことを御祈念いたします。
 
平成18年10月1日     長野県知事 村井 仁

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上田市長より応援メッセージをいただきました。

2006-09-26 06:57:15 | お知らせ
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◆上田市長より応援メッセージをいただきました。

全国的な産科医師数の不足の中で、昨年度、上田市産院においても、医師の継続確保が困難な状況となり、病院存続の問題に直面しましたが、産院でのお産経験のあるお母さんをはじめとする地域の皆様の懸命な取組みがあり、住民の熱い意思が各方面に届き、医師を確保することができ、今年度も引き続き、病院を存続することとなりました。
しかしながら、産科医療を取り巻く状況は変らず、医師、医療スタッフなどの人的な、そして、施設、設備などの物的な医療資源の集約化・重点化や、地域の実情に即した周産期医療体制の再構築の必要性、出産を扱う施設が減っていく中で、残された施設に集中する出産に対応するためのマンパワー不足の解消など多くの課題は残されています。
「地域で安心して出産し、子育てができる」という環境の整備のためには、地域医療に携わる皆様、地域住民の皆様、行政に携わる者が、まさに、大会の趣旨のとおり「立場を超えて共に知恵を出し合い」、役割分担をして、取組む必要があると考えています。
活発な議論を通じて、皆様の叡智が結集されることを期待するとともに、大会の成功をご祈念いたします。
上田市母袋 創一
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産科医療の現状知って 佐久穂と佐久で来月講座 地元医師会

2006-09-25 01:01:22 | 長野県の産科医不足 記事
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信濃毎日新聞 20060831 朝刊 東信版掲載記事

産科医療の現状知って 佐久穂と佐久で来月講座 地元医師会
佐久医師会(工藤猛会長〉は九月二日に佐久穂町で、二十二日に佐久市で、出産について地域住民と-緒に考えよう-と、公開講座「周産期医療を考える 佐久地域のお産、安心ですか?」を開く。
 工藤会長によると、産科医一人が年間で扱える出産はこ百件ほど。佐久地域では年間二千件近くある出産に対し産科医は十人で、ぎりぎりの状態という。「医師一人が休んでも産科医療が成り立たたない佐久地域の現状について、もっと多くの住民に関心を持ってもらいたい」と計画した。
 シンポジウムとディスカッションの二部構成。シンポジウムでは医師や助産師、保健師が労働環境や安全な出産のための取り組みを報告。佐久市の国保浅間総合病院が十月から始める助産師外来の紹介も
ある。
 ディスカッションは喫煙の影響や性感染症の危険性、子ども教育などのテーマを取り上げ、シンポジウムに参加した医師らと来場者が意見交換する。
 二日は佐久穂町生涯学習舘で午後二時から、二十二日は佐久市の県佐久勤労者福祉センターで午後七時から 入場無料。 
問い合わせは佐久医師会事務局(電話0267・62・0442)へ。

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うむうむネットのusikiさんがレポートをまとめてくれました


私達も2日間2班に分かれて参加してきました。
デュスカッション最初に上田をご紹介いただき、今の活動の報告と「上田地域の高次医療は佐久病院なしでは成り立たない 感謝しています」と伝えられました。
「医師が医師を守る」「住民が医者さまを守る」 すばらしい動きだと感じます。
10月1日は、この進行役を勤めてくださった、隅田医師が参加してくれます。ありがたいです。 kayomi
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社説=無資格内珍 助産師確保を急がねば

2006-09-25 00:32:48 | 助産師不足
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信濃毎日新聞 社説=無資格内珍 助産師確保を急がねば
20060828 朝刊社説より

 「出産数日本-」という神奈川県の産婦人科病院が、警察の家宅捜索を受けた。産道に指を入れて出産の進み具合を確認する内診を、准看護師に行わせていた疑いだ。
 内診などのお産の介助は医師か助産師しかできない。厚生労働省は2002年と04年に、看護師による内診は、保健師助産師看護師法に違反するとの見解を出している。
 神奈川県警が捜査している病院は、年間の出産が約三千件、一日当たり8人前後の赤ちゃんを取り上げている。その割には、産婦人科医、助産師が少ない。
 手が足りない分、看護師らが内診をしていたとみられる。違法であることを知りながら、指示していたことを院長が認めている。
 “違法”状態はこの病院だけでなく、一部の産婦人科施設でも続いているとされる。長野県も例外ではないようだ.背景には助産師の不足がある。
 産科医不足も深刻で、このままではお産の安全性が揺らぐ。早急に助産師確保に取り組み、産科医療全体を見直すべきだ。
 厚労省の○四年の調査だと、全国の医療施設で働く助産師は約二万六千人。数時間かかるお産の介助は医師か助産師というルールを守るためには、最低、倍以上の人数が必要との指摘がある。
 お産への取り組みや待遇面から、助産師は病院に集中する傾向で、診療所では人手不足は深刻だ。開業医の中には助産師の採用に積極的でなく、給与が安い准看護師らに内診などを任せるケースもあるとされる。
 昨年厚労省が開いた検討会で、産科の看護師の仕事内容が論議された。日本産婦人科医会は、陣痛が始まってから本格的な出産になるまでの内診は「診療の補助」と主張。助産師不足を背景に、医師の指示で看護師が内診を行うことは問題がないと、見直しを求めた。
 半面、内診は看護師が代行できるものではないという意見も根強い。助産師養成に国が積極的に取り組むべきだとの要望も出た。こうした声を受け、厚労省は助産師の職場復帰を支援する研修を始めるところだ。
 出産は危険を伴い、女性のデリケートな部分にかかわるものだ。無資格の看護師に委ねるのは、やはり問題を残す。
 医師の責任を問うだけでは問題は解決しない。働いていない助産師の復帰や若手の養成などに、行政や関係団体が真剣に取り組むべきだ。
 この間題をきっかけに、産院が廃業に追い込まれたり、産科不足に拍車がかかる事態が最も困る。

参考資料


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ナピ君のにゆうす解凍=お産の医師、足りない

2006-09-24 00:46:31 | 新聞記事
10月1日「どうする日本のお産in長野」開催決定
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2006年3月3日 信濃毎日新聞 朝刊 解説特集 
ナピ君のにゆうす解凍=お産の医師、足りない= より掲載記事
とてもとても分かりやすい解説で、お産の状況を解説しれているので、ご紹介します。

最近、県内でお産ができなくなる病院が増えている、というニュースをよく見ます.医師不足が原因だといいますが、産科の休止に反対するお母さんたちが署名運動で存続を訴えるケースもあります.少子化が大きな社会問題だとされながら、安心して赤ちゃんを産める場所が地域からどんどんなくなり、「もう1人産むのはあきらめるしかない」という声まで聞こえてきます. 
命の誕生という、個人にも社会にもとても重要な場面をサポートする産婦人科医はどうして減っているのでしょうか.対策はあるのでしょうか.
ナビ君と一緒に調べてみました. <1県内も5年で29人減少>
 
■県内でお産ができる場所が減っているんだってね.

そもそも、みんなどこで赤ちゃんを産んでいるの?
 
県内で二00四年に生まれた赤ちゃんく一万九千三百二十三人)のうち、68・5%は総合病院(二十床以上)、3.0・6%は診療所(二十床未満)で生まれた.お産は病気じゃないから助産師のいる助産所や自宅で産む人もいるけれど、大半は総合病院を中心とした医療機関が担っているんだ. 
ところが、ここ一年ぐらいの間で、県厚生連安曇総合病院(北安曇郡池田町)、辰野総合病院(上伊那郡辰野町)でお産ができなくなり、四月以降は下伊那赤十字病院(下伊那郡松川町)、豊科赤十字病院(安曇野市)でもお産の受け入れをやめる予定だ.診療所でも、産科をやめて子宮がん検診や不妊治療などの婦人科だけにするところが相次いでいる.県産科婦人科医会のまとめだと、県内でお産ができる病院・診療所は現在約五十カ所.この五年ほどで二十カ所近くが受け入れをやめている.
 
■どうして受け入れをやめるのかな.  

一言でいえば、お医者さんが足りないんだ.

厚労省の調査によると、○四年は医師の数が全国で二十五万六千人余りで、十年前より三万六千人近く増えている.でも、産婦人科・産科医は一万五百九十四人と、約∧百人減った.県産科婦人科医会によると、県内の産婦人科医は百六十七人(○五年四月、出産を扱わない医師も含む)で、五年前より二十九人少ない. 背景には産婦人科医の厳しい勤務がある.お産はいつ始まるか分からないから、病院では誰か一人が常に待機.多くの総合病院では産婦人科医が二日一三日に一回のベースで夜間当直し、徹夜明けで翌朝から外来の診察をすることもある.開業医も高齢化していて、体力の限界から引退するケースも少なくない. 母子の命を預かる責任も重いね.近年、産婦人科への訴訟が増えていることも、若手医師が敬遠する原因だと言われているよ.それに、最近は男性の産婦人科医が減り、女性医師が増えている.二十代では三分のこが女性、三十代前半で男女半々だ=イラストの左下グラフ参照.彼女たちが出産、育児の時期を迎えると働ける時間が減り、医師の不足感はさらに強まりそうなんだ.

<2 大学からの派遣難しく> 

■医師が足りないんじゃあ、受け入れできないよね.

 それだけじゃない.相次ぐ産院休止は、医師を病院へ派遣する仕組みが変化していることも大きいんだ. 

正式な制度があるわけではないが、病院へ医師を派遣しているのは一般的に大学の「医局」と呼ばれる組繊だ.医師免許を取得してから専門医になるには、研修医として何年も経験を積む必要がある.今までは新人医師はまず医局に所属し、医局が関係のある病院へ研修医らを送っていた. ところが、○四年度から始まった新研修制度では、最初は医局に所属せずに自分で研修先の病院を選び、二年間で内科や外科、産婦人科などの経験を幅広く積む形になった.そのため、医局に人がいなくなっている.これまでは病院で人員不足になると医局が代わりの医師を派遣できたが、人手不足でむしろ大学が派遣医を病院から引き揚げるケースも増えている. 県内もこの影響を大きく受けている.この二年間で県外の大学から派通されていた産婦人科医の引き揚げが相次ぎ、退職や個人開業も重なって、病院勤務の産婦人科医は二十人余も減っている. 近年、全国で毎年三百人ほどが産婦人科医を目指していたけど、この春に研修を終える人たちで産婦人科の医局に所属しようと考えている人は減っているとみられている.しかも、大都市の大学に希望が集中するから、地方で若い医師を確保するのはとても難しくなっているんだ.

■医師が足りなくても、お産はある.どうすればいいんだろう?

産婦人科医の不足は全国的な問題だ.

特に深刻な北海道や東北では、いくつかの病院にいる医師を一つの病院へ集め、そこで安全性の高いお産ができるような取り組みが始まっている.厚生労働省などのワーキンググループも昨年十二月、地域の実情に応じて産婦人科医・小児科医を集約させる方針を打ち出した.総合病院と診療所が連携し、妊娠中の健診は診療所で受けてもらい、難しいお産の時は医師が複数いて緊急時にも対応できる総合病院へ行く形のモデル事業も始まる. 昨年から産科休止が相次いでいる飯田・下伊那地方でも、飯田市立病院と診療所が連携.妊娠中の健診は主に診療所、お産は市立病院というシステムを始めたところだ. 県内医療機関に医師を送り出してきた信大(松本市)も、派達できる医師は限られてきている.一般のお産だけではなく、緊急手術や専門的な治療が必要なケースを受け入れる「二次医療」を担当する総合病院へ派遣し、地域医療の安全を高めようと考えている.
<3 母親と医療・行政、連携を> 
■でも、医師を集約すると、これまでみていた病院はやっぱり休止することになるね.そうだね.それで存続を求める運動が広がったのが上田市産院のケースだ.信大が二人の医師を派遣していた市産院は主に正常産を扱う一次医療機関.信大にとっては異例の対応だった.最近、一人が大学に戻ることになり、残る一人は「二次医療」を担う国立病院機構長野病院く上田市)へ集約し、地域のお産の安全性を高める態勢にしようと考え、市に提案したんだ. 市は廃止も検討したけれど、お母さんたちの反対は大きかった.市産院は母乳育児を推進するユニセフの「赤ちゃんにやさしい病院」の指定を県内で唯一受けていて、お母さんの評価も高い.申産直後から母子同室にしたり、母乳だけで育てられるよう指導するなど、子育てを応接する態勢を整えてきた.お産の安全も大事だが、お母さんたちの間で「いいお産をしたい」という要望も増えている.お産の満足感はその後の育児不安や虐待の防止につながるしね. 結局、市は医師を公募して市産院の存続を決めた.大学側も医師の効率的な配置に心を砕いているが、母親たちの声を抜きに配置を決めるのは難しい現実が浮かび上がってもいる.
 ■難しいね.医師不足という現実と、お母さんの要望をどう調和させればいいんだろう.

 医療技術の進歩で日本の周産期医療は世界トップレベルだ.

県内でも一九九三年に県立こども病院(安曇野市)ができてから、赤ちゃんの死亡率は大幅に低下した.お産の安全確保のため、数に限りのある医師を大きな病院に集めることは、取りあえず必要なことだ. 一方でお母さんが地域で安心で満足なお産ができるようにするには、妊娠中から相談に乗ったり、出産中もそばで付きそうことができる助産師を増やす方法がある.県内では現在約五百三十人が働いているが、もっと増えれば、医師の集約と安心なお産を両立できたり、医師の負担を軽くできるだろう.厚労省も○六年度、働いていない助産師の現場復帰を促すプログラムを始めるんだ. 母親たちも「いいお産」とは何かをしっかりと考えることが大事だ.安曇野市や下伊那地方では「お産を知ろう」という母親の会も発足している.そうした動きと医療、行政が連携し、現実的な手だてをみんなで考えていくのが望ましいね. 
 (井上裕子)
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安曇野赤十字 来年4月に出産受け入れ再開へ 助産師外来は12月より

2006-09-22 23:59:54 | 長野県の産科医不足 記事
信濃毎日新聞 0060921 朝刊 中信 記事より

安曇野赤十字の産婦人科医不足 来年4月に出産受け入れ再開へ
助産師外来は12月より


安曇野市の安曇野赤十字病院は二十日までに、産婦人科医師の不足を理由に四月から休止している出産の受け入れを、来年四月に再開すると決めた。
当面は正常分娩(ぶんべん)に限る。現在一人だけの常勤医師を増やす方針だが、増やせなくても出産に対応する。再開に向け、助産師が妊婦の相談に乗る「助産師外来」を十二月に始める。
荻原旭彦院長は「現状の常勤医師一人体制では、安全性などから出産は難しいと考えていた。だが、地域の病院としての責任を踏まえて始めることにした」と話している。
今後、来年四月下旬以降が出産予定日の妊婦を対象に予約を受け付ける・助産師外来は、助産師が診察によりかかわることで医師の負担軽減も狙う。四月までに、現在の助産師五人を十二人に増やす。閉鎖している産婦人科病棟を同月以降、再び使用する。
 同病院の産婦人科は、常勤医師三人全員が今年六月までに退職・五月から別の一人が勤務しているが、現在は外来診療だけをしている。
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経営・人手…悩む病院佐久の浅間総合 産科医1人減へ 出産予約制で制限

2006-09-20 00:55:34 | 長野県の産科医不足 記事
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信濃毎日新聞 20060913 朝刊 東北信

経営・人手…悩む病院佐久の浅間総合 産科医1人減へ 出産予約制で制限

佐久市立国保浅間総合病院が来年四月以降の出産を予約制にして、受け入れ制限を始めたことが十二日分かった。東京の大学の医局が来年三月で産科医一人を引き揚げ、二人態勢になる見通しのためだ。
同病院の昨年度の出産件数は五百五十五件。医師一人当たりは百八十五件で、理想とされる百五十件を超えている。現状の受け入れを続けると、医師二人態勢では、限度とされる二百件を超え、安全やサービスに支障が出る恐れがあるという。
出産予定日が来年四月になる人の妊娠は、早ければ8月の受診で確認できる。同病院は同月から、出産予約を月二十四人に制限し、予約できない場合は他の医療機関を紹介すると「お願い」を院内に掲示した。
四月は既に予約がいっぱいになったという。
同病院は「来年三月までに後任の医師を確保できるよう全力を挙げているが、産科医が減れば出産受け入れを制限せざるを得ない」としている。産科医が確保できた場合は制限を解除する。市内の医療機関では同病院と県厚生連佐久総合病院だけに産科がある。



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よいお産 考えるシンポ

2006-09-09 07:57:53 | 新聞記事
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2006年9月8日(金) 信濃毎日新聞 朝刊 第3社会面 掲載記事より

よいお産 考えるシンポ

産科医不足の深刻化を受け、全国リレーをするシンポジウムの長野大会「どうする?日本のお産in長野」は10月1日、上田市上野が丘公民館で開く。産科医を地域の基幹病院に集約する動きがある中、県内の医師や助産師の確保策、安全・安心なお産の5分科会で討論。来年2月、国の担当者を招いて東京で開く最終回での提言につなげる。
 首都圏の医師や助産師、母親たちでつくる実行委員会の呼びかけで5月以降、既に横浜、仙台、札幌など5都市で開催。今後、上田を含め4都市で開く。これまでは医療者団体が運営主体だったが、長野大会は上田市産院存続運動にかかわった母親らのグループ「パム」が主催する。
 午前10時半開会。午前は「ふれあい横浜ホスピタル」(横浜市)の早乙女智子医師が産科の現状を報告。午後の分科会は、ほかに「産み力を発揮できる心と体作り」「家族と地域の高かめる『お産と育児』」「日本のお産をよくしていく気持ちや行動を継続するのは」のテーマで話し合う。
 長野大会責任者で「パム」メンバーの斉藤加代美さん(40)=上田市上丸子=は「市民や医療関係者ら一人一人が何ができるか考え、言葉に出し合うことで、現状は少しずつ変わっていくのではないか」と話している。参加費は500円。託児あり。申し込みは(http://do-osan.socoda.net/)からか、電子メール(keep-s@goo.jp 携帯メールも可)、電話(0268-23-2505)で。

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