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皆様の周産期医療・産科医療に関するご要望、ご意見をお聞かせください。合わせて私達の活動記録です。

厳しい産科医療体制 信濃毎日新聞より

2007-06-25 06:21:30 | 新聞記事
信濃毎日新聞 2007年6月21日朝刊東信欄 掲載記事 
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上小の「医師不足」考える
関係19団体 対策協議会が初会合


 県上田保健所は20日、上田小県地域の病院や医師会、市町村など19団体による「上小地域医療対策協議会」を発足させ、上田市の上田消費生活センターで初会合を開いた。今後、「産科・小児科」「救急医療」の2分科会を設け、医師不足対策などを話し合っていく。
 上田保健所が、県内10医療圏ごとに「連携強化病院」を選び、医師を重点配置すべき-とした県産科・小児科医療対策検討会の提言を紹介。上小地域では、長野病院(上田市)に常勤麻酔科医がおらず、産婦人科の連携強化病院が選ばれなかった-と説明した。
 さらに、長野病院の常勤麻酔科医の不在などで、上小地域の2006年の救急搬送患者7499人のうち、前年より0・8ポイント多い16・9%、1266人が地域外に搬送された-と報告した。
 意見交換では「パート医師の所得が常勤医よりおおくなることが問題」(依田窪病院)などの発現があった。

◆関連記事
医療タイムス記事(ある産科医のひとりごとブログより)http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2007/06/post_d6f6_7.html
最近更新が滞っており大変申し訳ありません。
先生の記事を参考にさせてください。


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信濃毎日新聞 2007年6月21日朝刊 掲載記事 

出産受け入れ 佐久総合病院も一部制限 
扱い数増加「限界超えた」


 全国的な産科医不足の中、これまですべてのお産を受け入れてきた県厚生連佐久総合病院(佐久市)も、一部で制限を始めたことが分かった。医師1人当たり月間24件を扱い、「物理的に限界を超えた」状態。医療態勢が充実しているとされる佐久地方だが、主な病院が満杯になり、厳しい状況だ。

佐久地方 主な病院満杯

 佐久病院は、4月に87件、5月に98件の出産を扱い、ともに前年同月の1・3倍。入院ベッドが足りず、産科以外も使ってしのいでいる。今月と7月も80件を超える見通しだ。医療関係者の間では「医師1人年間200件(月17件)が限度」とされるが、産科医4人の同病院では1人当たり20件を超えている。
 このため月間予約70件を目安に、現場で状況判断しながら「県外から電話で申し込んでくる里帰り出産者はお断りしている」という。他病院からリスクの高い出産が転送されたり、婦人科の診療を兼ねていることもあり、夏川周介院長は「物理的に限界を超えている。1人倒れれば現状も維持できず、一病院の努力を超える」と説明している。
 出産を扱う医療機関が減り、昨年から増加傾向だったが、4月から佐久市立国保浅間総合病院が出産受け入れ制限を始めた影響が大きい。同病院は産科医が1人減って2人になり、月40~55件だった出産扱いが4、5月は20~30件になった。「従来通りでは安全を保てない。過重労働による事故を防ぐやむを得ない措置だ」(佐々木茂夫事務長)とする。
 小諸市の県厚生連小諸厚生総合病院も、今年になり、出産件数が月45~53件余の1・5倍以上だ。産科医は2人で、1人当たり25件前後になる。渡辺康幸事務長は「医師が休む時間がない。受け入れ制限を考えざるを得ない」と話す。
 8月に2人目を出産予定の佐久市内の主婦(36)は、佐久地方の病院をあきらめ、夫の実家がある松本市の医院に予約した。しばらくは義父母の送迎で通い、検診を受ける。「医師不足は分かるが、納得できない。少子化問題が論議されるが、産科医確保が最優先では」と訴えている。

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saito私見
昨年9月に開催された、佐久市医師会の主催の佐久市圏域で開催された医療シンポジウムに参加したことを思い出しました。シンポは、佐久・浅間・斉藤産科医・保健士・助産師の8名から発表があり、周産期に関わる健康・福祉の連携が感じられた。目的は、「佐久の産科医がこのままではつぶれてしまう。そのために現状周知と地域の理解を深めること」を目的で、南で行った理由としては、小海日赤から産科が引き上げがあった現地で、今の産科医不足の厳しい現状を地域に理解を深めてもらいたいという佐久医師会や佐久病院の強い願いがあったと伺いました。

その中で、「私達は、救急車を一回も断ったことがありません。すべて受け入れさせてもらってる」と、激務の中の良心的な受け入れ態勢の話をしてくださいました。私も貴重な発言の場をいただき、「産院存続の内容や、今進める予防医学の推進、消費者の意識の向上の努力をお話させてたいただき『上田地域は、佐久病院なしでは上田の周産期医療は成り立たない』を深くお礼を言えました。
大変厳しい状況の中、半年本当によくこの地域の周産期を支えてくださったことに感謝するとともに、とにかく医療圏ごとの対策を1日の早く構築しなければならない、急務だと深く思います。

私達医療消費者は、こういった現実を知ると、あせるばかり。悪循環です。
急いでといっても、麻酔科医・産科医の先生がどんどん増えるわけではありません。
今自分達ができる健康や、お産に関する自分自身の意識の向上や、予防医学の取り込みなどは、明日からも少しずつできるはず。
それを無理なく取り組めるような母達がいる地域だったらいいな~と思いますが、上田地域で、高次医療の充実が1日の早く実現することを強く願います。

コメント (1)
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助産所運営に波紋 信濃毎日新聞 生活レポート より

2007-06-24 06:00:22 | 新聞記事
信濃毎日新聞掲載記事   平成19年6月19日(火)くらし15面 生活レポートより
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改正医療法で義務付け
嘱託医・連携医療機関必要に


助産所運営に波紋
改正医療法が本年度から施行され、助産所が運営の見直しを迫られている。分(ぶんべん)を扱う助産所は、嘱託の産婦人科医に加え、緊急時に搬送する産婦人科と小児科を持つ医療機関を決めなくてばならないからだ。
母子の安全対策の強化が狙いだが、産婦人科医が減っている上、嘱託を受けたがらない医師もおり、助産師に戸惑いが広がる。助産所と医療の連携をどうするか、考えなくてはならない。      (小幡省策)

「妊娠中から出産後まで、助産師さんが一対一で見守ってくれる安心感があった」。伊那市内の女性(18)は五月下旬、長男を市内の助産所で出産した。病院にしなかったのは、母親の勧めだった。助産所は、病院の助産師だった池上道子さん(51)が二〇〇五年一月、自宅に開所した。築二十数年の民家。超音波を使う診断機器を備えるが、産室は八畳の和室で、布団の上で出産する。取り上げた赤ちゃんは、自宅出産も含め、この男児で三十二人目だ。
助産師が扱うのは、医療行為が必要ない順調なお産に限られる。自然な出産は母親の満足感が大きいが、緊急時に備える必要は常にある。池上さんも、早産の妊婦を病院に緊急搬送したことや、多量の出血となった出産に医師と相談しながら対応したことがある。医療の連携は欠かせない。

減る産科医交渉に難しき
支え合う仕組み構築を


「入院」して出産できる助産所は、現在、県内に4ヶ所ある。人口動態調査によると、2005年に県内の助産所で生まれた子供汰h124人で。全体(1万8124人)の0.7%。全国平均より1%低いが、1997年の65人に比べると約2倍に増えている。「産科医は自分の仕事で手いっぱい。設備の整った病院が安心だと主張する医師も多い」。県内のある助産師は、こう心配する。実際、全国では助産所の嘱託を断られるケースがあり、猶予期限の来年3月以降。廃業する助産所がでる心配ある。
日本助産師会県支部長の保谷ハルエさん(57)は=長野市=は「「母子の安全性を高める体制は重要。だけど助産師が個人で交渉し、嘱託医や連携医療機関を確保するのは難しい」と話す。保谷さん自信、これまで嘱託医が小児科だったため、新たに産婦人科医の嘱託医を探さなくてはならない。「今後、大きな病院における集約化が進んでも、助産所で家庭的なお産を望む女性の選択肢はなくせない」と保谷さん。「これから開業する助産師のためにも、行政が医師側に『助産所をサポートして欲しい』と働きかけてほしい」と訴える。
医師側にも不安がある。「搬送されれくる患者に対し、助産所がどんな管理をしていたか、どこまで嘱託医の責任なのか、心配する医師もいる」。信大医学部講師の産婦人科医、金井誠さん(46)はこう言う。「形だけの嘱託ではなく、普段から医師と助産師が情報を共有し、信頼関係を築くことが大切だ」お産の主役、女性はどう受け止めているか。「お産は扱う病院や診療所が減っているのに、助産所までなくなるのは困る」「心あるお産を求める会」会長の村松道子さん(35)=上伊那郡中川村=は、行政が責任をもって助産所の嘱託医がや連携医療機関を確保するよう、全国約60の団代と署名活動に取り組む。
「安曇野のいいお産を作る会」代表の亀井智泉さん(40)=安曇野市=は、各地でお産を担う中心的な医療施設が、緊急事に適切な対応ができるよう、助産所でお産をする女性の健診をを受け入れ、さらに助産師に研修の機会を提供することを提案。「地域で多くの助産師が母子に寄り添い、それを高度医療が支える新たな仕組みができるのでは」とする。県医療政策課は「産科医が減っている現状では、助産所と医師が連携しなくてはどうしようもない」と認識も示す。医療体制の再構築に向け、医療圏ごとに話し合いを開始。「助産師支援検討会」を設け、院内助産所の開設を促すなど、助産師の力をより生かす方法を探る方針という。

嘱託医と連携医療機関の確保義務付け
医療法は、助産所が「嘱託医を定めておかなくてはならない」とだけ規定。このために産婦人科医ではい開業医は嘱託医になるケースも多かった。4月の改正医療法実施で、嘱託医は産科医か産婦人科医に限定。緊急時の搬送先となる産婦人科医と小児科を備えた病院・診療所も定めることが義務付けられた。分娩を扱う有床の助産所が対象で、猶予は来年3月まで。厚生労働省看護課は「母子の安心で安全な周産期の医療環境を整えることが狙い」とする。
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