鉄火場のアライグマ

株式投資がメイン、の予定だったのですが、いつのまにかマンション購入記、のつもりが建売住宅購入記になってしまいました・・・

放射線被曝

2005年07月17日 | Weblog
小学校に入って以来毎年行われている胸部X線健診がなくなる。

以前からその有効性に疑問が出ていたのですが、とうとう廃止する方向になったようです。
もちろん、業者(健康診断を稼ぎの中心にしている病院)が反発するのは当然でしょうけど(彼らは受診者の発ガンリスクより稼ぎ重視)、無駄な放射線被爆がなくなるのなら大歓迎ですね。
「エックス線被ばくの影響で発がんする人が延べ数万回から10万回の受診に1人」
ということは、全員が延べ50回の受診をするとした場合には、2000人に一人が発ガンすることになる?

それよりも、胃のX線検診の方が問題のような気が・・・
胸部X線写真の20倍以上の放射線を浴びるため、発ガンリスクはこちらの方がずっと高い。

 そもそも医者は放射線の使用に無頓着すぎ。
 医者が金科玉条のように言う言葉に、「見ること(で発ガンする)のリスクよりも見ないで病気を見逃すリスクの方がずっと高い」というのがあります。
 しかし、これは科学的に検証した結果ではなく、あくまでも感覚的なもののように見えます。
たとえば、転んで頭を打って意識不明になっている患者の頭部CTを撮ることについては誰も異議はないと思います。ただ、「ちょっと転んで頭を打ったので気になって来ました」という場合に果たしてX線CTを撮る必要があるのか?
この場合は確率の問題になりますが、医者としては
・撮らないで問題を見逃して後で訴えられるのはいや
・撮った結果として発ガンリスクが高まっても、それで医者が責められることはない
・撮れば高い診療費を取れる(CTの機械は高いのでなるべく稼働率を上げたい)
というふうに考えてもおかしくない。

いずれにしても、今後はきちんとしたデータに基づいて検査方法を選択する方向に向かうべきでしょう。

胸部X線:健康診断で廃止検討、有効性に疑問 厚労省
 胸の病気の早期発見を名目に毎年1回、職場の健康診断で実施されている胸のエックス線検査について、厚生労働省は法的義務付け廃止の検討に入った。検査の有効性を示す証拠がないためだ。すでに専門家による検討会(座長・工藤翔二日本医大教授)を設置しており、結論次第で来年度にも廃止する。しかし廃止で1000億円規模の影響が出るとみられる業界は、検討会で「有効だとの証拠はないが、有効でないとの立証もない」と猛反発。日本医師会の委員も同調しており、最終調整は難航しそうだ。

 エックス線検査は労働安全衛生法の規則が定める職場健診の1項目。同法は72年の施行以来、事業者に対し年1回の実施、労働者には受診を義務付けており、罰則もある。受診対象者は現在、約5900万人に上る。

 結核予防法も年1回の検査を義務付けていたが今年4月に義務は廃止された。見つかる結核患者が受診者1万人に1人未満と少なく、発見の利益よりエックス線被ばくの害が心配されるためだ。

 同省は当初、労働安全衛生法での義務も同時に廃止する考えだった。同省の阿部重一・労働衛生課長は今年1月、業界団体の「全国労働衛生団体連合会」(事務局・東京都港区)の幹部らに「4月から廃止したい」と明言。だが連合会の反対などで4月の廃止を見送り、検討会を設置した。

 検討会では矢野栄二委員(帝京大医学部教授=公衆衛生学)が、職場健診での肺がんの発見率は低く見落としが多い▽他の病気も検査以前に症状が出るなどで健診で探す意義は薄い▽エックス線被ばくの影響で発がんする人が延べ数万回から10万回の受診に1人出ると推計される--と指摘。利益と危険のバランスを考え、義務を廃して特に必要な人だけを検査すべきだと主張している。

 一方、連合会副会長の柚木孝士委員は、検討会に出した資料で「(個々の病気の発見法としては)優れた検査法とする根拠は乏しい」と認めながら「有効性が低いとする根拠は確立されていない」と存続を訴えている。

 職場健診の費用は全国で年間3000億円から4000億円と推定される。連合会の梶川清専務理事は「廃止は健診料金の大幅値下げや受診者の急減につながりかねず、死活問題だ」と言う。

 阿部課長は「従来は、とにかく検査するのは良いことだとやってきたが、今は有効性の証拠が求められる時代だ」と話している。【高木昭午】

毎日新聞 2005年7月17日 3時00分