鉄火場のアライグマ

株式投資がメイン、の予定だったのですが、いつのまにかマンション購入記、のつもりが建売住宅購入記になってしまいました・・・

最近の嫌な雰囲気について

2011年07月03日 | Weblog
最近は、関東地方、東北地方に加えて、あまり関係のなさそうな関西や九州まで、原発の稼動がどうのこうのということで節電一色になっている。

元々は、関東と東北で、地震による発電所(原子力と火力)の被災によって電力の供給力が不足したことにより、電気が足りないので大停電にならないように、ということでこのような話が出てきて、実際に様々な対策が取られている。

タイトルの「嫌な雰囲気」というのは何かと言うと、、、

最近は、どこにいっても「節電合戦」のようになっており、冷静に考えれば意味のないことを皆が一生懸命に(我慢しながら)やっているという、客観的に見ると「アホか?」と言いたくなるようなことが起こっており、そのことを「アホか」と言えないような雰囲気が出ていることだ。

3月の地震直後にも国内では「自粛合戦」が始まったのは記憶に新しい。
イベントを自粛したからといって東北の地震の被害が減るわけでもなく、復旧が早まるわけでもなく、単に「この時勢に目立ったことをしたら叩かれる」という空気が蔓延してあのようなことになったのだと思う。
さすがに、自粛の無意味さを理解した一部からは自粛はやめようとの話が出たが、場合によってはあのまま自粛合戦が続いていたかもしれない。

今回の電力不足の実態を簡単にまとめると、

・足りないのは電力の「供給力」、すなわち発電機の容量である。従って、電力のkWのピークを削ることが必要。
・足りなくなるのは、7月~8月の最も暑い時期の数日に過ぎない
・ピークが出るのは昼間の午後1時~3時であり、その他の時間帯はあまり関係ない

ということになっている。

そこで、国(経産省)は東北、東京電力の両管内において電気事業法27条による強制電力削減命令を発動し、大口の需要家(契約電力が500kW以上)に対して、昨年のピーク需要比で15%の削減を求めている。

これは法律に基づく命令であり、違反すると1回(1時間超過当たり1回とカウントされる)当たり100万円の罰金が科せられる。

現在の状況と法律による対応を考えた場合、何をしなければならないか?というと、

・夏の暑い時期の昼間の電力を削減する→ピーク時の電力を昨年比で15%下げる

これだけだ。

それ以外のことについては無駄ということになるのだが、どうもそうではない。

・8月の最も暑くて電力需要が逼迫する時期以外は関係ない。したがって、その時期以外にエスカレーターやエレベータを止めたり照明を切ったり空調温度を上げても意味がない
・朝夕は電気が足りているので、この時間帯にはピーク日であっても何もしなくても良い
・サマータイム(始業時間を1時間早める)は、今回の問題には100%意味がない

ということのはずだが、実際には上に書いたようなことと反対のことをいろんなところでやっている。

本来は、夏季のピーク時の電力の需給の問題であるはずなのに、いつの間にか全体的な省エネに問題がすり替わっている。

前にも書いたが、今やっていることは省エネではなく、節約・我慢である。

なぜこんなことになってしまったか?を考えたのだが、日本人お得意の「空気を読む」習性によるものではないかと思っている。

原発事故後の計画停電を経て、「電気が足りない」=「電気を使わない」という動きが一部で始まり、それを見た他社も「あそこがやっているのならうちもやらないとマズいだろう」ということで流れに乗り、「あそこがあの程度やっているのなら、うちはもっと・・・」とその動きが加速する。一方で、周りがやっていることをやっていないと「あの会社は何もやっていない。けしからん」などと陰口を叩かれるので、それが恐くて担当者は何かせざるを得なくなる。。

要するに、一度大きな流れが出来てしまうと、本心はおかしいと思っていてもそれに逆らえずに流されてしまう、という日本人が古来から持っている(かどうかは知らないが)習性がモロに出ているように見える。

日本は、65年前に同じ習性によって国全体が酷い目にあったはずなのだが、どうも今でも同じことをやってしまうようだ。


進歩がないと言えばそれまでだが。。。