里山悠々録

里山の家と暮らし、田んぼや畑、そして水墨画のことなどを記録していきます

冬のクヌギの林を歩く

2020年01月18日 | 野山

 今年はすこぶるの暖冬で雪がほとんど降っていません。久しぶりに近くの里山に入ってみました。


この山は傾斜が緩く林と言った方がいい山です。この周辺の広葉樹で最も多いのはナラの木ですが、ここは特異的にクヌギの多い山です。


 普通、雑木は20~30年で伐採し、新しい芽を吹かせるのですが、この山は両親が健在の頃から、落ち葉を集めるため伐採せず残していました。現在ではクヌギは相当な大木となっています。そのため下草が少なく、一面落ち葉のじゅうたんのようになります。


 落ち葉は集めようと思えばいくらでも集められる条件にあります。
 昔は、落ち葉を大量に集めて運び、それを苗を育てる温床の熱源資材として使ったのです。つまり落ち葉が腐れるときに出る熱を温床として利用し、苗を育てたわけです。そして、熱源として利用した後は腐葉土として再利用するのです。今はこの辺りでも苗を育てる温床を作るときは全て電熱です。電気や石油がなくても自然の材料だけで熱を得ていたのですから、先人の知恵とは素晴らしいものです。


 例年なら今頃一面が雪になっていても不思議ではないのですが、今年は一面の落ち葉しか見えません。


 両親健在の頃は、一緒に落ち葉集めを手伝ったものです。このように少し寄せただけで沢山集まります。


 できることなら、私も落ち葉を集めて腐葉土や畑の土づくりに利用したいとは思いますが、容易ではありません。集めるよりも運び出すのが大変です。言うは易く行うは難し、です。


 それでも、この林に入ると気分転換になります。普段林の中をゆっくり散策するような余裕はないですが、冬のクヌギの林の中を落ち葉を踏みしめて歩くのも悪くありません。