今朝のラジオ深夜便で人間国宝の金工家、大角幸枝さんが、今の日本人はアイロン掛けの楽しみを知らないという話をされた。アイロン掛け不要の生地の衣服にしたり、クリーニングに出して、アイロン掛けの時間を愉しむことができなくなっていると。結果だけを求めるのではなくて、その時間の過程も大事ではないかというお話を聴いて身につまされた。
カミさんは生前、僕のワイシャツとハンカチにアイロンを掛けてくれていた。僕一人になった後、ワイシャツはクリーニングに出し、ハンカチはアイロン掛けせずにたたむだけに変わった。カミさんはアイロン掛けしながら何を考えていたんだろうと想像してみる。のどかな時間を愉しんでいたのだろうか。
今の僕の生活はすべて、結果重視になっていて、時間を愉しむゆとりがなくなっているかもしれない。現役サラリーマンとして毎日時間に追われていることもある。でも便利さを追求するのもほどほどにして、時の流れにゆったりと身を委ねる生活にシフトダウンしたいものだ。今僕が持っているものは残り少ない時間しかないのだから。