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近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

漆工作業その4

2015年06月30日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 古代から塗るという作業は、生活のために必要な行為であったのであろう。矢に毒を塗って、獲物を捕獲する。身体に色を塗って、儀式や、グループの違いを際立たせる。山野で、草木が出す樹液が固まる。等自然の生活の中で、人間が生きていく過程で発見し、利用されてきた。漆の利用は青森県の八戸市是川遺跡で発掘された縄文時代後期の出土漆器といわれている。漆塗りの椀、鉢、壺、高坏(たかつき)等の容器、腕輪、櫛などの装身具、弓、太刀などの装備品であるが、椀には木地に内側に黒漆、外側は朱漆が塗られていた。壺、高坏等の容器は竹で編んだかごに漆が塗られた、らん胎漆器であった。他の品も漆が塗られていたという。

 

 中国伝来説があるが、現在にも使われ、長い時代を継承された唯一の塗料といえる。英語でJapanといえば漆のことを指し、漆製品を指す場合もある。chinaといえば陶器を指す様に、国を代表した物である。そのことをご存じの方も少なくなったことは残念であるが、グローバル時代にこれぐらいのことは自信を持って紹介しても良いであろう。

 

 塗る意味が、最もポピュラーなのは、女性にとって毎日行う化粧である。塗装と同じであるというと嫌な顔をされるのは必至であるが、塗装工程は素地調整→下塗り→上塗りと進めるが、化粧も同様である。皮膚の凹凸をならすため、ファウンデーションを使う。上塗りはきめの細かい粒子を使う。口紅、マニュキュアも顔料や染料を油脂や樹脂に混ぜた物で、マニュキュアはラッカー塗料そのものである。

 

 漆工作業においても素地調整は大切な工程で、表面の異物を除き、荒研ぎを行う。油脂が就いている場合があり、これを取り除く工程が脱脂で、シンナーで拭き取る。素材の吸収を抑えるために下塗り塗料を薄めて、漆ならば生漆をテレピン油で薄めて吸い込み止めを行う。乾燥した後、凹みについてはパテを埋め込む。漆作業では、「こくそ」といって、木材を鋸引きしたときに出る鋸屑に糊と生漆を混ぜた「こくそ」をへらで飼い込む。凸部は小刀で削り取るかサンドペーパーで削り取る。

 

 次ぎに素材の狂いを最小限に抑えるために、布着せ、紙着せを行う。素材が木材であり、接合部は通常に皮が用いられていたので、経時変化によって膠に接着力が落ちて素材の狂いが発生する。最近は尿素樹脂系(ボンド)接着剤を用いているので殆ど狂わなくなっている。接合部はノミでV字型に削り取り、同様にこくそを飼い込む。こくそが乾燥すれば、サンドペーパーで表面を平らにする。凹みが残っていれば同様の作業を繰り返す。