迷建築「ノアの箱家」

ひょんなことからNOAに選ばれし者として迷建築「ノアの箱家」に住むことになったKOKKOの笑ってあきれる自宅建築奮戦記

セルフビルド考⑬(モバイルホテル)

2010-12-09 20:36:30 | セルフビルド考

モバイルホテル

三年どころか毎年寝てやるんだ君が、モバイル住居計画についてブログで書いていたのを見て、思い出した。

石山修武氏の「SELF BUILD」に車を改造して造ったモバイル住居(しかも折りたたみ)のことが書かれていた。

曽木幹太「ASAKUSA STYLE」には、リヤカーの上に作られたホームレスのホーム。

さらに坂口恭平君の「ゼロから始める都市型狩猟採集生活」には、長さ1m60cm、高さは寝てぎりぎり、奥行きも寝てぎりぎりという段ボールたった四枚で出来た家も。

坂口恭平君の「ゼロから・・・」については、ネットで「ホームレスのすすめにしかすぎない」と評している人がいたが、それは浅読みだろう。

生活をしていく上で、「僕らひとりひとりの思考を転換させ、新たなる視点を加えること。それが本書の狙いである。」とある。

とある芥川賞作家の「田舎暮らしに殺されない方法」という本と同じように、比喩をこめた過激?な表現をしているのだ。だが、盲点を見事に突いている。

 

さて、毎年寝太郎君は、モバイル別荘を考えているようだ。

八ヶ岳のマイホームからシャトル住居が飛び出していく日はいつだろう。

楽しみだ。

毎年寝太郎君のライフスタイルは、多くの人の関心を呼んでいる。

単なる珍し物見たさでクリックしている人も目からうろこの人もいるだろうが、いつひっくり返ってもおかしくない貨幣経済の状況から、今後の日本のライフスタイルのあり方についての、大きな問題提起として作用するはずだ。

(阪神大震災で神戸港は世界のハブ港の地位から脱落した。それが日本経済に与えた影響は大きい。東海・東南海・南海地震がおきれば、日本の太平洋側はノックアウトだ。都市機能どころか国家機能そのものが大きな打撃を受ける。物の流通は滞り、職を失う者も多い。よほどの金持ちならともかく、なまじのお金はただの紙切れと化す。自力で創意工夫して生き抜いて行かねばならなくなる。)

彼自身がHPに書いているようにBライフは10年後には広辞苑に載るに違いないとさえ思う。

 

 あらら、肝心のモバイルホテルのこと書くのが後になっちゃった。

私の車は、トヨタのトレノ。赤いスポーツカーだ。

カッコイイから買ったのではなく、富山で前の車が故障してしまい、明日からすぐにでも車が必要だから、近くにあった中古車センターで安いのを探したら、それしかなかった。スポーツカーというのは、その後、人に言われて知った。

前の持ち主は3年間で3000キロしか走っておらず、ほぼ新車状態。それを12年間使ってきた。20年間は使うつもりだ。(何せ製造打ち切りになったから、珍しい車)

12年間、全国を車で走り続けたが、子ども二人を乗せていつも車がホテルだった。

背の低い車なので、布団を突っ込んで三人が寝ると、車外からは布団しか見えない。実に怪しい車になる。

伊豆の松崎町の倉庫の陰では警察に通報され、職務質問を受けた。

和歌山の紀伊勝浦港では漁師にライトで照らし出された。

宮城の長者ヶ原パーーキングエリアでは、黒塗り車・黒服のヤクザ集団約100人に取り囲まれて目が覚めた。

新潟の小国町では、縫製会社の駐車場に止めていて、社長に保護された。

栃木の日光東照宮裏では、吐く息が窓ガラスで結露凍結し、車中につららが出来ていた。

 

だが、一番たくさん止めた場所は、一流ホテルの駐車場(ここなら、万が一の場合は駆け込める)。

二番目にたくさん止めたところは、公園(トイレ・水・個室が確保されているから、着替えもできるし、個室でペットボトルの水を使ってのシャワーや、洗面・洗濯・炊飯・充電もできる)。

 

ホームレスの人たちもおそらく、「家が無い」「お金が無い」から、無くてもやっていける方法を考えて創意工夫しているうちに自然にあのようなスタイルに行き着いたに違いない。おそらく、一般人とは都市の見え方が全く違うのではないかと想像する。

たくましきかな。