NOAのスタッフがやって来た。
NOAの設計士とは、事前にいろいろやり取りをした上で中間検査を迎えた。
わざわざ沖縄から「ノアの箱家」担当設計士:T氏がやってきて下さった。
7月9日当日は、高槻市役所建築指導課から二人やって来て、構造担当のN氏から、いくつかのアンカーボルトのナットの不十分点を指摘されてしまい、改善後の写真を撮って市役所に届け出ることになった。
もうひとつ、
「建物位置に若干のズレがあるかもしれないので、完了検査までに敷地境界線に印をつけておいて下さい」とも。
図面上の敷地と実際の敷地では、土地に傾斜があったりする場合どうしても若干の誤差が生じてしまうことがあるとのこと。
さて、またもや未経験のことに挑戦だ。
私には測量技術などないので、実測図を元にメジャーなどで何度か測ることを繰り返して誤差を縮め、出来るだけ正確にということを心がけてポイントを打っていくしかない。
ま、何でもやりたがりなので、これも楽しみながら出来そう!
が、完了検査の時に市役所が測って食い違いがあったらどうしよう・・・。
現場監督である私の責任ということになる。
設計士のT士 敷地境界線からの位置測定 アンカーボルトを見る 軒の高さ測定
「現場監督のあなたがしっかりしなくちゃいけませんよ。」
と、設計士から言われてしまった。
「もしも工事に不行き届きがあったとしたら、職人が工事をしてはいても、それを見ていた現場監督の責任です」とも。
確かにその通り。
セルフビルドと言うのなら、それぐらいの気概をもって持って家造りに望んで欲しいということをT氏は言いたかったのだろう。
私ときたらとんちんかんなことばかり言い、やってきた。
自分が何を分かっていて何を分かっていないかも分からない。
そのような状態のまま、それでもやるしかなかったからやってきたのだが、
建築家からすれば、「素人だからといって甘えなさんな。」というところなんだろう。
NOAには迷惑と負担ばかりかけてきた。
まこと、ストレートで厳しい意見ではある。
「家は設計士や職人が造っているのではなく、結局は施主が作っているのです。」
その通りだと思う。
自分で業者を選択した以上は、もはや他の誰の責任でもない。
自分の意思と姿勢の反映として工事の結果があるのだ。
だから、「この工事はあなたがしたんです。」
という設計士の言葉は正しい。
自己責任だ。
自己責任と思えば誰を恨むこともないので、かえって精神的に楽だ。
T氏は「もっともっと勉強して頑張りなさいよ」と言いたかったのだろう。
セルフビルドは、とにかく大変。
中途半端ながら実際にやり始めて思い知った。
水道・電気・大工・鉄工所・基礎屋・ネット発注の設備や資材発送業者との連絡、設計士・市役所などのやり取りだけでも精神的にコマ切れ状態になるので、全く落ち着けない。
工事業者とのやり取りにもかなり気を使い、ハラハラ・ドキドキの連続。
山歩きは完全ストップ。(私の場合、20km以上歩かないことにはストレス発散にはならない。ノルアドレナリンの化学的分解は、きっとこの過程の中でおきてくるに違いない。)
日課だった闇夜の中で檜の香りを深呼吸することも、月を眺めることも、朝靄の中で屋外コーヒーを楽しむゆとりもなくなった。
畑や庭は草ぼうぼう。
隣家の畑と比べると、ジャガイモの大きさが2分の一程度にとどまってしまった。
毎朝、現場で思いをめぐらしたり肉体労働をしてから仕事に向かう。
帰宅がたまたま早いと夕方も肉体労働。
深夜になって、設計士にメールで工事過程の報告とブログによる建築記録。
寝て起きてのその日ぐらしの繰り返し。
肉体的にはかなりタフな私もこの2ヶ月、土日の休みなしでくたくた。
とにかく身体がだるい。
眠い。
その上、持病の膝痛が再発。
右足を曲げると激しい痛みでブックリ腫れ上がってしまった。
先が思いやられるな、こんなんじゃ。
セルフビルドをしている人たちの勉強量は並大抵ではない。
工事の何年も前から勉強をし、時には二級建築士・電気技術士・ユンボ運転資格・ボイラー資格まで取って家を建てている。
そこまでして家を建てたいというのは、何故なんだろう?
とにかくものすごい執着心だ。
私の場合はそんな執着心や熱意はない。
単にお金がないという窮地に追い詰められてやっているに過ぎない。
あと数百万円のお金があったら、充分人任せにしていたはずだ。
今も、人任せにしたいと思っているというのが本音。
だが、楽しい。
実に楽しい。
これは巨大な工作だ。
巨大な造形作品、空間彫刻だ。
遊びだ!!
自分と比較できないぐらい巨大なマンモスに素手で向かっていき、打ち倒そうとしているような感覚。
征服してやるんだ、勝ってやるんだという感覚が生じてくるから不思議だ。
特に排水浄化システムについては、現場に発想の理解者がいないので自力で実験しては作りなおしてきたので、思い入れはどうしても強くなる。
雨が降るたび現場に駆けつけ、じっと様子を眺めてきた。
廃棄風呂とコンクリートブロックと盛り土にまみれて、雨の中でも掘っては埋め掘っては埋めを繰り返しているおばちゃんを村人達が不思議そうに見ている姿を見るのも快感だった。
「あんた、ずっと何してまんねん?」
説明しても伝わりにくい。
雨水の影響からいかにシステムの機能を低下させないか・・・いろいろと工夫点がまだまだあるし・・・。
出来てから語る方が早い。
ここだけは絶対誰にも触らせない、自力でやり遂げたい。
沖縄の野郎達に大阪のおばちゃんの底力を見せて野郎。
木枠窓作り
中間検査の翌日の土曜日は、建具作り。
南側4m大ガラス戸と中庭1・8メートルガラス戸2枚の計3枚は、出来るだけ安上がりにということを心がけ、解体現場から出てきたサッシ窓のガラスをリサイクルすることにした。
右がNOAのT氏 バイク仲間3人
木枠を造ってガラスを嵌めていく作業には、NOAのT氏も参加。
途中からは、印刷屋までツーリングがてらやって来て手伝ってくれた。
「ノアの箱家」作りには、どういうわけか○○屋さんという人たちがたくさん関わってくれている。
そうこうするうち、電気温水器が現場に届き、だんだん家らしくなってきた。