バングラデシュ版父子鷹と言うべき物語。
母国でのチェス競技において無敵な少年・ファヒム。父が反政府的な動きをすることで、有名人である息子も狙われることに。
危険回避のため、父子でフランスへ難民として渡ることになる。もちろん2人とも仏語など話せない。
難民受入れ施設に身を寄せながら、居住権の申請に通う。難民となった理由のインタビューを重ねるが、通訳はインド人、自国難民の申請を優先させる意図で、父子を不利にするデタラメなインタープリター。
その間、息子はパリのチェス道場に通い、仲間の子どもたち中で、フランス語が達者になるには、時間を要さなかった。
通訳の嘘を見破るが、時間切れで父は不法滞在者となり、宿無し。法的に息子は施設での生活を許されるが、チェス友の家を順に泊まり、チェスの腕と語学力を上げていく。
ネタバレのオンパレードも、ここいらで止めるが、
濃いいのは、50代のチェスの師匠、全仏レベルの実力者だが、とにかく偏屈者。だが、同年輩の道場経営者に恋をしている模様。
そして何より胸を打つのは、父の自己犠牲のあり方である。
我が国ではあり得ない方法で、居住権を得るまで、悲惨な毎日を送るさまに、希望を見出す余地はなかったのだが。
チェス道場生は全て少年少女。
IQが高そうな面々は皆癖ありだが、
ライバル同士が助け合う様子が微笑ましい。
見どころ満載で、劇的展開にハラハラするトゥルーストーリー。