メディカルツーリズム現況

2010-07-07 10:31:45 | Weblog
メディカルツーリズムの現況

お陰さまで、最近ではテレビや新聞での報道回数も増えてきましたので、メディカルツーリズムの名前や内容も多くの方々の間で知られるようになりました。
実際にも中国人を始め外国人顧客を日本の病院や観光地にお招きする仲介業務に成功する企業も増えてきている様子で、旅行業者さんのみならず中国との間で商品やサービス、あるいは情報提供の取引ルートを持つ企業さんも参入しておられることが明らかです。
そこで、東南アジアでのメディカルツーリズムの年々の活況を思えば、我が国でも大きく伸びる芽を持っていることは容易に推察できます。
経済力が目覚ましく成長している巨大人口数の中国大陸のすぐそばに位置している好条件を活かしての中国人向けのメディカルツーリズムの将来性については、とりわけ大きな期待を持てますが、ここでも、具体的にどのような方法で顧客をお招きするか、勧誘の手立てに一層の工夫が求められます。ただ、中国は国土も大きいし、国民各層の様子も大きく異なるため、それぞれに対応した多種類の異なった方法での勧誘が功を奏する可能性があります。
既に、勧誘に成功しつつある異種類の企業がいくつもあることから推察しても、今のメディカルツーリズム誕生期の段階では勧誘法に定型的な「定石」はなく、仲介業を志す各企業や各起業家において自由な発想で挑戦して良いということでしょう。
他方、メディカルツーリズムで大成功を収めているタイランドのバンコク病院セールスマンの田中耕太郎さんによれば、同病院では、20人ものセールスマンが常時世界中を飛び回って顧客獲得に他国や他の病院との間でしのぎを競って(成功して)いるとのことですから、この手法を参考にすることも考えられます。ただ、問題は、このような大々的かつ集中的活動を、まだ誕生期の我が国ではどの企業や病院に於いても急には為し得ない厳しい事情があります。
そこで、先ずは、一個一個の仲介業者による少数の顧客獲得からスタートしつつ、将来は、それらの企業の連携・合併や、勝ち残る企業による寡占化進行へとメディカルツーリスト誘致産業の成熟と発展の道をたどることになるのでしょう。
それにかかる時間は数年から十年は掛かるでしょうが、やむを得ません。タイでも、メディカルツーリズム・スタート以来十余年を経過しているのです。
しかし、ここで注意をしなければならないことは、メディカルツーリズムのマーケッテイング対象国を決して一地域や一国に絞らないことです。
今は確かに、中国を対象国にするのが最善策でしょうが、時代は、一個人や一企業の予測や努力の範囲を越えて、絶えず大きく変化していきます。
欧米各国の状況は、正に金融・経済危機の真っただ中にありますが、こう云った経済サイクルは、いつの時代にも不可避のものですから、10年20年後…あるいはもっと早い時期に、復活と再成長期に差しかかる可能性もあるのです。
そう云った経済変動の波の到来を思えば、メディカルツーリズムに於いてもマーケッテイング対象国を、地道に欧米関係でも開拓する努力が必要でしょう。
従って、世界の標準語とされている英語の現実的な重要性を無視できません。
我々は、タイランドのバンコク病院・田中耕太郎さんが指摘されておられる「日本でのメディカルツーリズムは、病院スタッフに於いて英語力が不足しているため、大方は成功しないであろう。」という事実を厳しく胸に受け止め、英語・医療通訳士の養成にも,中国語医療通訳士養成と同じレベルの情熱と努力を払うべきでしょう。
皆様のご理解とご支援をよろしくお願いします。

更に、この医療通訳士育成に於いて重要なことは、語学力でのハイレベルな達成や幅広い医療知識の獲得などもさることながら、医療現場での通訳ミスを防ぐための様々な予防策の徹底化、安全策の確立程に重要なものはありません。
当アカデミーでは、医療通訳の仕事前の準備から仕事中の注意点、仕事終了後での記録簿作成の作業確保に至るまで、各段階に於いて徹底的な予防策が講じられることを受講生に指導しています。
どうか当アカデミーの医療通訳士養成についての上記のような方針をご理解戴いて、今後ともご支援戴けますようによろしくお願いします。

平成22年7月7日 水曜日
東京通訳アカデミー・学院長・岡村寛三郎






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