米国の医療費が高い主な理由

2012-03-27 15:43:53 | Weblog
米国の医療費が高騰している事情と
その主な理由 

皆様のご清栄をお慶び致します。
さて、米国民による医療費負担が日本国民の場合の2.5倍と高額であることが、米国民に国境線を越えての医療サービスを求めさせるメディカルツーリズムの大きな原動力となっていると考えられますが、この事情は、米国社会制度の根幹に深く関わっているため、近いうちに変化する見込みは立っていないと言えるでしょう。
そこで、米国民を、医療サービスの質が良くてしかも安価な日本へのメディカルツーリズムにお誘いする事は「的」を得ていると言えます。
次に、その理由は詳細に調査します。

平成24年3月28日 水曜日
東京通訳アカデミー・理事長・岡村寛三郎
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                     記
(1)米国の病院設立・運営に必要とされる医師や看護師・事務スタッフの数は、日本の場合の約5倍!⇒⇒⇒≪資料(1)(2)≫
(2)その医療スタッフの給与水準も日本のほぼ「倍額」になっている。
⇒⇒⇒≪資料(3)≫
(3) 米国の手術件数が日本の約3倍(3.3倍)と多いことが、高い医療費と医療過誤トラブルが多発している一因かと思われる。⇒⇒⇒≪資料(2)★≫
(4)「極めて高額の賠償」を求めた(5)「医療過誤訴訟が頻発」しているから、医師や病院が
それらの賠償支払いに備えて、毎月、多額の損害賠償保険向けの掛け金を用意しなければならないので、この費用が治療費に跳ね返っている。
(6)しかも、医療過誤訴訟において、日本での裁判が、「真偽不明の場合は医師に有利に判断される」傾向が強く、医師・病院側敗訴が少ないのに対し、逆に、米国では、消費者主義の社会慣習が強いため「疑わしきは患者に有利に」判断され、医師・病院側の敗訴が多く、多額の損害賠償金を支払わねばならないことが多い。
(7)定期的に行われる医療機能評価機構の日米比較を行えば、日本では、国内基準の認証すら取得する病院数が約1/4でしかないのに対し、消費者主義・資本主義が広く社会の隅々まで行き渡っているため、米国内での医療施設認定合同委員会(JCAHO)による認証を取得する病院の率は90%近くに も達する上に、(8)その1回1回の認証取得に要する経費もかなり高額である。
⇒⇒⇒病院サービスの質の維持のための経費が高額になりやすい⇒⇒⇒≪資料(5)≫
(9)米国では、基本的に民間医療保険制度で多数の保険会社が乱立しているため、この制度自体の運営に多額の費用が掛かっている。⇒⇒⇒≪資料(6)≫
(10)しかも、その民間保険でカバーされている治療の種類が意外に少ないため、どうしても国民は、多くの治療をカバーしている保険に加入するためには、毎月より高額の掛け金を払わねばならない保険に加入しなければならない。
(11)米国では、緊急医療は、法律上「受け入れなければならない(=強制)」ことになっているため、救急車で搬入された患者については、例え無銭者であっても治療しなければならない。この場合の病院の損失分・赤字を、一般の受診者が負担しなければならない。
(12)米国では、(日本の病院にはない)上記の(11)の回収不可能な出費負担(7%)の他に、(寄付金に類する)「研究開発費」項目での出費も同じく7%もある。

★英国医療の行方・・・国民全員の医療費が無料という福祉政策(NHS)は、1948年・第二次世界大戦直後に導入された理想的な政策であったが、これが年数と共に止めどもなく肥大化し、遂に(約30年前~)サーチャー首相による「きつい引き締め政策」導入の原因となった。 然し、その引き締めによって、その医療政策は、国民に半年から1年半ともいわれるような長期の診療待機期間を強いるのみならず、とりわけ外科医や看護師などのサービスの悪さが目立つなど、際立つ不人気となった。
そこで、その引き締め過ぎを緩和する政策が、10年少し前より、ブレア首相やブラウン首相によって採用されてきた。ところが、昨年に保守派のキャメロン首相に変わってからは、またもや国家財政の窮屈さを理由に医療政策の転換が志向されている。
 即ち、国立大学の大幅な学費値上げ承認(現行の3倍までの許容)にも見られるように、国家財政改善目的での医療費カットが再度国民の関心をさらっている。
結局は、米国のように、大学の民営化と共に医療費の民営化等も進められる可能性が、英国民を不安に陥れている。
(2011年6月20日付のLos Angeles Times)