昨日の「つぶやき」の文字移し版です、
日本記者クラブの会見(1日)で「羽生さんの今年1年を漢字一字で表すと?」と問われ、即座に「早」と答えました。
「もう12月です。とにかく1年が早かったと感じています」
無理もありません。現役の棋士として対局をこなしつつ、日本将棋連盟会長として創立100周年のかじ取りを担っています。
「8月に会長に就任してから、いろいろな関係者にお会いしました。 将棋がこんなにも多くの人に支えられている、と実感しました。 藤井聡太八冠の活躍で、新しいファンも増えました。そういう人のニーズも取り入れ、これからの100年をいい形で次の世代につなぎたい」
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羽生さん自身、25年前に全タイトル七冠制覇を達成しました。 あれは自分だけの力ではなかったと言います。
「周囲の期待や応援といっしょにたたかっている、という感じでした。七冠は自分で成し遂げたという感覚があまりありません」
今年初めの王将戦で、藤井八冠と初めてタイトルをかけて対局しました。2勝4敗で敗れたものの「一局一局、作戦やテーマをあらかじめ決め、それをぶつけた」と振り返ります。
「うまくいったケースも、いかなかったケースもあります。 総合的には、細かい勝負どころで微妙な判断を誤った。(藤井八冠に勝つには)細かい精度を改良しないといけない」
タイトル戦で藤井八冠を倒すのは誰―。「今のところ想像がつかない」と苦笑します。
しかし〝藤井「一強」は将棋界にとってマイナスでは?〟という質間には、きっぱり答えました。
「藤井さんの出現で、棋士全体のレベルが底上げされているのは間違いない。100メートル走でも、誰かが10秒の壁を破ると、次にも同じ壁を破る人が出てくる。ほかの人も頑張って盛り上げていくのが大切です」
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家でも将棋の戦法や局面を調べ始めると、食事を忘れ、何時間も熱中する将棋好きです。
でも40年近くトップ棋士として活躍できたのは、「好き」だけではありません。
「何十年も高いモチベーションを維持するには、あえて経験のないことや、あまり知らない世界に触れることが大事です。さまざまな分野の人と対談したり、自分が取材したりすることは、将棋へのモチベーションをあげるいい機会になっています」
犬3匹とウサギ2羽を飼っています。
「動物が間近にいるとくつろげます。おかげで癒やしの環境です」
北村隆志記者
はぶよしはる=1970年生まれ。85年、プロ棋士に。 96年に七冠制覇。 永世七冠、 国民栄誉賞。 タイトル獲得通算99、 公式戦1552勝はともに歴代1位(2位は大山康晴15世名人の80期 1433勝)
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