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映画【IDENTITY】

2004-11-23 16:38:08 | 映画
IDENTITY
2003
ジェームズ・マンゴールド(James Mangold)


休日の昼間っからサイコサスペンスです。
学生時代にバイトしていた近所のビデオ屋で、当時からいまだにそこでバイトしている方に「なんかオススメ無いですか?」で、オススメされた映画です。
大オチがヤバイ!とのことでした。
同ジャンル大オチ系代表といえば「サイコ」か「ユージュアル・サスペクツ」でしょう。

それほどでも無かったなぁ・・・、というところでした。せっかく血眼で各登場人物のつじつまを追い、何かトリックは?と探りまくっていたのが災いしました。
だだのサイコサスペンスだと思って観た方が良かったですね。

この手のサスペンスやホラーに出てくる心優しく無駄にエロい女に目を奪われてしまったのが敗因でしょうか。それを追い続けるのも一つの見方として乙なのですが、途中で意外なほどあっさり死んでしまうので終盤へかけての集中力が暴落することが多々あります。昔のアニメで「崖を登る主人公、次に手をかけた岩の色がまわりと違うと必ず崩れる」ことに気付いてしまった時くらい悲しい事実です。

10年くらい前に流行ったテーマですが、新しいタイプのオチでした。が「そりゃ無いでしょ」に近い反則っぷりです。それに素直に驚くか、憤りを感じるかの違いです。できれば素直に観た方が楽しめます。
もっと見方を変えていけば・・・、とか後で考えても後のカーニバルです。
「最近の仕掛けだらけの映画にうんざり」な貴方、以外とそういう映画ではないので楽しめるかもしれませんよ。
根性がひん曲がってよじれて途中で枯れている様な疑り深い人は空気投げを食らいます。


本【BIRTHDAY STORIES】

2004-11-23 01:20:54 | 本読み
BIRTHDAY STORIES
2002
村上春樹


だいぶ前に購入して、村上春樹作の短編を読んで以来ほったらかしになっていました。
こういう「後は自分で勝手に創造してください」という類の小説を好んで読むようになったのはここ数年でしょうか。以前はゴリゴリの結末が待つSF小説が大好きでした。今でももちろん好きです。
元々が文学少年的な幼少時代では全くなかったので、もやっとした結末が本当に苦手でした。「ズバッと行けよ、コノヤロウ」でした。

相変わらずその類を読んでみても意味不明なところは多々ありますが、想像してみるということが楽しいです。
こういう作家さんって文体らしい文体が見あたらない。淡々と緻密な描写。そして、一番大事なキーの部分を隠し続けて想像させる。こういうのは映画ではあまり無いですよね。見えちゃうし。
ほぼ関係ないことですが、スティーブンキングの「IT」小説がありましたが、あれ、どうやって映画化したのでしょう。見てません。あまり見る気にもなりませんし。「リヴァイアサン」みたいにやっちゃったのでしょうか。

見えないものは見えないままで自由に想像させるという金八先生みたいなことを言い出しかねないスタンスですが、それも良し。やっぱりそれって大事よね。SF(小説)好きにしても結局本なので見えていないものを想像したり。オカルトも好き。あれも結局想像上だしなぁ。
音楽もそう。「お前が好きだぜ~、イェ~」なんての聞いても笑いが起きるだけで、なーんにも残りはしません。何度も出てきますが、キリンジの「エイリアンズ」はやっぱり名曲です。あれにちなんだ「エイリアンズ」という本を先日見かけました。宮台真司×宮崎哲弥といういけ好かない二人の著書ですが、同じものを好きだとちょっと好感が持てます。読んだ方、感想をお聞かせ下さい。

この本はタイトル通り誕生日にまつわるストーリーという縛りのみでチョイスされているため全てがハッピーなストーリではありません。ただ、誰かの身にはこういう誕生日はあるかもしれないなぁ。そのへんの影みたいなのが書かれていたりもします。


この短編集の最後をしめくくる村上春樹の「バースデイ・ガール」という短編があります。最近結婚した友人方、あなた達を見ていながらもう一度読んでみたら、ちょっと分かった気になりました。