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本【海馬 脳は疲れない】

2004-11-30 01:54:55 | 本読み
海馬 脳は疲れない
2002
池谷裕二 x 糸井重里


先日、仕事の帰りがけに六本木の青山ブックセンターへふらふらと吸い込まれ、ぶらぶらと見回していて、何故か目にとまった本書を購入。まだ読んでない本が幾つかありますが、どうにも気になったので先行して読んでみました。「読んでみました」なんて物言いは偉そうですが、気分は「どれどれ、読んでみようか」なんて程度でした。

テーマはタイトル通りの「脳」なのですが、おそらく今まで読んだことのある脳関連の本とはアプローチというか切り口というかスタイルというか、全く違いました。さわりだけ立ち読みして「こりゃ面白そうだ」って買ってるわけですし。
対談形式ですのですらすら読めちゃいます。
理学書系ではありません。マンガみたいです。

どうしてこの人たちはこんなに分かりやすく物事を伝えられるのだろうということに終始うならされます。
言葉の錬金術師:糸井マジックでしょうか。
ジブリ作品のコピーを全て(?)この人がやっていると知って以来大好きです。
「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです」コレ!

池谷裕二という方は東大の先生です。現在ではコロンビア大学の研究院をされているそうです。権威服従型の私としてはウハウハです。実際、とても面白かった。

読み進めれば目から鱗がぼろぼろと滝のように落ちては流れ。
ある程度知ったつもりでいるということの馬鹿さ加減。
私が要約するのもおこがましいので完全に私見あるいは小学生の感想文だと思ってください。

この本から受ける印象は森の哲学者オランウータンがさらに羊の皮を被ってが話している様子を覗いているよう。
悪意が全く感じられません。通常、こういった知識人が本を出したら「オレはこんな事を知っているんだぜ。お前ら知らなかっただろう。ゲヘヘ」みたいなスタイルで、読んでいくうちに嫌な気分になるのですが、全くありませんでした。
それよりも、全くジャンルの異なる二人が話すとこうも幅が広がった奥深い話しになるのだな、と。
全く違った音楽の趣味を持つ二人の会話みたいなものです。
ロック好き君「オレ、コレ好きよ、どう?」
ジャズ万歳君「聞いたことないわ。お、ベースがヤバイね。良いわ、これ。コレ好きだったらコレも好きじゃない?」
ロック好き君「うぉ!このフレーズ、黒人全開だな!もっとなんかないの?」
スミマセン、例え下手です。
それを否定することに始まらないで、まず聞いてみる。そしてどう思ったことを言ってみる、嘘無しで。嘘つくことの馬鹿馬鹿しさを知っている。知識をひけらかすでもなく、実感のみで話す。
「朝まで生テレビ」みたいな不毛さナシ。
ファッションの様にいろいろな思想や知識をパーツとしてのつぎはぎだらけ鎧などいらん。

私の主な読書タイムは通勤電車なんですが、今日はコレ読んでいて本来降りるべき駅を通り過ぎてしまいました。

考えざるを得ない。でも、体が軽くなる。思考はまだまだこれから。そんな本です。
脳って凄ぇ。
頭ってやっぱり使ってこそですわ。


オススメ。一読あれ!