Jun日記(さと さとみの世界)

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土筆(66)

2018-05-11 09:22:27 | 日記

 実のところ、彼女の睨む目には非常に凄味があり、睨まれた相手にとてもよく効果を発揮するのでした。彼女に睨みを利かされると、兄でさえも一瞬背筋が凍りつき、ぶるっと震えが来ました。

 しかし、流石に兄です。妹に睨みを利かされたとあっては、今後の事を考えても対外的に面目丸潰れです。背筋が凍る恐怖心をぐっと堪えると、さも何でもないというように口を一文字に結んで妹の顔から眼を逸らし、こちらが打って出る頃合いを見図るのでした。

 さて、そんな兄妹のやり取りを近くにいて目前で見ていたのが私です。日頃見慣れている親しい筈の兄妹同士の喧嘩に、目をぱちくりして唖然としていました。兄の従兄妹の方は、年代が自分より少し遠いせいもあって余り遊んだ経験がありませんでしたが、自分の親戚だという事は把握していました。年上の従姉妹に付いては、よく遊ぶ仲の良いお姉さんのような存在でした。2人共自分の親戚であり、その上、2人は兄妹です。自分の間柄より2人の間柄の方が近しい事も分かっていました。仲よくするべき筈の兄妹同士が如何して喧嘩をするのか?、ましてや兄妹は他人とは違うものだから、仲睦まじいのが当たり前、寧ろ仲良くしなければならないものなのに、何故その2人が喧嘩するのだろう?。目の前の出来事が私には意外な事であり、信じられない事なのに、それが実際に起こり繰り広げられているのです。この事が事実であるという事が信じられず、現実が理解出来ないのでした。

 「これは夢ね!」

私は思い付きました。お昼寝をして夢を見ているのだ!。現実をそう判断したのでした。『今日はいとこが2人も自分の夢に出て来てくれたのだ。夢の中でいとこ達と遊ぶ事が出来るなんて…。』一人っ子の私は何だかほのぼのとしたものを感じると、嬉しくて感動してしまいました。私は常日頃、年上の従姉妹の事を兄弟がいて羨ましいと思っていたのです。生まれてから初めて夢の中で出会ういとこ達、夢に出て来てくれた嬉しいいとこ達、私は2人が争う姿をにこにこして観戦していました。


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