Jun日記(さと さとみの世界)

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ダンスは愉し 12

2019-02-04 12:00:09 | 日記

 会場の外に出ると、世話役の男子学生の1人が彼女達の後を追って出て来ました。

「その辺まで送って行くよ。」

彼は言うと、にこやかに愛想のよい笑顔を作り、やはりそんな彼ににこやかに応じる橙さんと、屈託なく話し始めました。鈴舞さんはそんな和やかな雰囲気の2人の傍らで、少し遅れるような感じで歩を進めると静かに歩き出しました。

 『何だか…。』

橙さんと連れの男性のごく自然で親し気な雰囲気に、鈴舞さんは何時もの2人とは違う気配を感じ取るのでした。『この2人、こんなに親しかったかしら?』そう彼女が思うのも道理、今迄、この2人がこんな風ににこやかに笑顔で話し込んでいるのを、鈴舞さんは全く見た事が無かったのでした。今目の前で見るこの2人の親密さを鈴舞さんは怪訝に思いながら、彼女がふと振り返ってダンスパーティーの会場を見ると、出口から同期の女子学生が2人出てきたところでした。2人がこちらを見るので、鈴舞さんはにこやかに手を振って合図しました。彼女にすると一緒に帰ろうという感じでした。後から出て来た2人は、すぐにそれと気付くと、ぱたぱたと鈴舞さん達の所へ走って来ました。

「遅くなっちゃった。」

と2人。時間を間違えてね。あら、私達もよ。そんな事を同期3人で話し合いながら、にこやかに橙さん達先輩に続くと、ふいに橙さんが後輩達に振り返りました。

「私達、ちょっと用があるから。」

あなた達3人で帰ってくれる。という事でした。橙さんはそう言うとにこやかに連れの男性と歩を速め、3人の歩く目的のバス停を通り過ぎ、足早に去って行ってしまいました。

 「あの2人。」

誰かが言うと、連れもそうだよね、と、やっぱりねと目配せしました。鈴舞さんはそんな2人に、もしかすると橙さん達の事かと尋ねるのでした。鈴舞さん気が付かなかったの?今まで。全然?と連れの2人に聞かれて、うんと頷く鈴舞さんに、他の2人は驚かされるのでした。

 


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