Jun日記(さと さとみの世界)

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日帰り旅行

2018-02-05 20:15:25 | 日記

 風邪で休んでいた下宿の友人は、よく私にしつこい程にサークルの誰が好きか?と聞いて来たものです。それが余りにしつこかったので私には段々彼女の事が不審に思えて来ました。最初は気楽にサークルの彼等の好感度等話していたのですが、途中から気を置いて、用心する事にして当たり障りのない人物の名前を挙げて置く事にしました。そして、その後ほぼその人に据え置きしておきました。私はその事だろうと思い付きました。

   確かに、元々の好意自体が自発的な物では無く、自然な成り行きで抱いた訳でも無い好意だっただけに、四の五の、あれやこれやと、下宿の彼女の話に合わせてみたりはぐらかしてみたり、時には別の人の名前を挙げてあの人もいいわね等言っていたものです。その様な訳で、好きと言ってはいても全く告白する気のない私でした。その話を聞いたのでしょう。彼女にすれば確かに私は優柔不断で曖昧な態度の人間に思えた事でしょう。成る程と思いました。私はその事だろうと合点しました。

 そう考えると目の前の彼女の考えは、好きなら好きで一直線、ドーン!と歯切れよく行けばよいじゃないのという事のようでした。私はその時、内心というより感情がすんなりと表に出てしまい、彼女の前で満面苦笑いでした。そうお、という感じです。そして、私の知らない所で彼女達はそんな話をしているのだと、初めて気が付き目の覚めるような驚きを感じました。こうやって気にかけてアドバイスしてくれたくらいです、私の話題が彼女達の重要な話のネタになっているのだとよく理解出来ました。

 えっ!、えー!、でした。私が慎重に構えて適当に発していた言葉が、他の人々に伝わりその人達に真面目に受け取られていたとは。何が誰に如何伝わるか分からないと気付くと、これでは冗談も言えません。そして、彼女達の間でそこまで深刻に私のロマンスが語られていた事、しかも本人を他所に真実も湾曲されて語られていた事に困惑しました。カムフラージュしていた私が悪いと言えば悪いのかもしれませんが、大切なもの程心の内の奥底に秘めておきたい、そう願う純真で複雑な人間の心理は誰にも理解されていなかったようです。しかも、人伝、間に入った人間の主観を経て伝わっているのです。そして、伝わった相手に対して私は不信感を全然抱いてい無かっただけに、思いがけず彼女を欺いたような結果になってしまい、酷く罪悪感めいたものを彼女に感じたのでした。

 


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