Jun日記(さと さとみの世界)

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美湾

2017-12-24 16:50:04 | 日記

 『勿体なかったかな。』

あんな綺麗な人と話す機会などもう無いだろうと思うと、私は一寸後悔の溜息が出ました。海外旅行自体2度目、しかも最初の渡航から既に15年が経っていました。当時私の住む地方にも外国人は多くやって来るようになっていましたが、私自身は殆ど彼等と話をする機会などありません。しかも、あんなに奇麗な人は海外でも珍しいのではないかと想像すると、やはりウルルでの出来事を思い出してしまいます。

「奇麗だったな。」

私は自然ににやけてしまいます。恥ずかしいですね。中年のおばさんにするとあの僅かな光景は夢の時間というものです。今こうやって静かに回想出来るようになってみると、暫しでも有頂天になりたくなるのは当然かもしれません。何もない海と空を目前に相好が崩れっぱなしになっている自分に気付くと、みっともない事だと自覚するのでした。

   『ふふふ、若い男性を思ってやたらににやけているなんて、やはりこれは不謹慎だ』と思うと、つい浮き足立って舞い上がって仕舞っている自分を抑えようと思うのですが、容易にこの躁状態は抑えがたいのでした。そこで美とは反対の事を考えて精神的な均衡をとろうと考えました。そんな時に私が一番に思いついたのはあの大トカゲでした。

   あれは凄かったわね、と私は思いました。今度は美湾に背を向けて、防波堤に背中を持たせかけると、人生で嫌だった事をあれこれと思い起こしてみます。この時浮かんで来たのは直近の出来事というよりも、過ぎ去った過去のある場面でした。


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