Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

土筆(42)

2018-04-09 20:06:41 | 日記

 さて、施設の門の傍で、私はまた1人で従姉妹のお姉さんを待つことになり、じっとしている事が出来なくなって、そわそわと行ったり来たりしてみました。今回は広場で何が起こっているのかがとても気掛かりだったのです。

 『…ちゃん、自分一人で文句を言いに行ったんだろうか。』『…ちゃん、私を巻き添えにするまいと、1人で喧嘩をしに行ったんじゃないだろうか?』と、そんな事ばかり考えていました。上に男兄弟がいるだけに、従姉妹も結構威勢がよく、勝気な性格だということを私は把握していました。

 「私も行こうかな。」

思い余ってそう呟くと、私は従姉妹が向こうで私の加勢を待っているような気がして居た堪れなくなりました。私には彼女が私の事を気にして、無理して虚勢を張っているのでは無いかとばかり思えて来るのでした。『ここで待たずに向こうへ行こうかな。もしかすると…ちゃんも向こうで私の事を待っているんじゃないかな。いやきっと待っているんだ。』そう独りよがりに判断すると、私は広場へ向かって1歩2歩と歩みだし、そして遂には走り出しました。

 …ちゃん、そう声に出して呼び掛けてみます。広場はもうすぐに目の前でした。建物の角まで来ると、視界に広く広場の敷地が見えて来ました。従姉妹と、近所の男の子、年下の男の子、そして、広場のかなり遠い場所にも3人程の男の子がいました。

 不思議な事に、後姿の従姉妹は、私には何だか笑っているように見えました。『喧嘩しているんじゃ無いのかな?』そう私が意外に感じたのと時を同じくして、

「来たぞ!」

「来ると思った。」「俺あいつ苦手なんだ。」「行こう、行こう。」そんな声が広場の向こうの男の子達から聞こえて来ました。一瞬私は自分の事を言われているのだろうと思いました。今広場に走り込んで来たのが私だったからでした。


土筆(41)

2018-04-09 19:53:33 | 日記

 「何とか姪の衣の裾に取りすがり、我が家も兄の一家と同様に栄華の裾野に入りたいものだ。」

と、自分の一人娘を何かと器量良しの姪に近付けては、何とか取り入らせようとしていたのでした。共に幼い小さな頃から親しませて置けば、長じてからも向こうはこちらに情けを掛けてくれるだろう。顎を撫でながら内心そんな旨い事を考えていました。

   そして、彼はまた一方ではあまり器量が良くない自分の娘に、あれこれと英才教育紛いな事をしてみては、盛んに知恵付け様と画策していました。

『今からの女性は職業婦人として社会に出て、独立して生きるのが当たり前の世の中だ。』

そんな事も考えていたのです。自分の娘に高い学歴をつけさせようと、盛んに勢い込んであれこれと娘の教育に打ち込んでいました。彼は自分の子供の生末について、多方面での幸せを図っていたのでした。

 彼は娘は勿論、誰に対しても外国小説のイプセンの「人形の家」を引き合いに持ち出すと、「自分は学生時代にあの小説を読んだ。ノラが可愛そうだった。娘にはあんな女性になってもらいたく無い。」と、自由で独立した女性が現代の女性像であり、女性の幸せであると自分の理想論を打つのでした。裕福な親戚を持ち、自分自身も自らの職業で収入を得て生活する、これが自分の娘の理想の未来像である。彼はそう信じていました。


石の上にも3年

2018-04-09 19:27:28 | 日記

 どうしても緊張してしまうので、「先は長いから落ち着いてのんびりとやりましょう。」でしょうか。

 私の新入社員の頃を思い浮かべると、3が一つの区切りだというような事を教わりました。3日、3週間、3カ月、でそれなりにする事に慣れて、余裕が持てる区切り、という話でした。3年、石の上にも3年というから、辛抱して3年はいようね。そんな話もされました。

 最初の会社には頑張って1年以上いました。次の会社には3年程いました。同じような職種でしたから、職種だけで言えば3年以上は勤務していましたね。