Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

土筆(52)

2018-04-22 09:07:39 | 日記

 『本当に喧嘩しているんだ!』と私はハッとしました。

 2人が離れて行き、楽しそうに遊具の側で話し始めた時、私は彼等のにこやかな様子に、当初感じた殺気立った雰囲気は私の全くの杞憂であり、単なる取り越し苦労だったのだとほっと安堵しました。そこで私は2人を傍観していたのですが、その後も心配していた仲違いの兆候が全く見られ無かったので、私の方はすっかり安心し切って、何時しか石碑の側で言う事を聞かない年下の子の世話をする事に没頭してしまいました。

 そこへ従姉妹の大きな怒鳴り声が響き、見ると彼等の何となく緊張した雰囲気が伝わって来たものですから、それと知った私は注意して2人を見守っていたのですが、とうとう彼女が泣き出した時には、彼等の間の仲が相当険悪な状態に迄陥ったのだと悟ったのでした。

 『何時も大層仲良しの遊び仲間同士なのに、その中の2人が喧嘩をするなんて…本当に有る事だろうか?』と、それ迄半信半疑で楽観的な観測をしていた私は、彼女の最初の怒鳴り声がした時2人の仲はかなり険悪な事態なのだと感じました。その時私は注意深く考えてみて、従姉妹と、私と同い年の子の喧嘩ならば…と、従姉妹にとっては年下が相手だから、それなら彼女1人で十分に喧嘩の相手は出来ると判断しました。また、もし私が直ぐにも従姉妹の加勢に加われば、それこそ普段から仲の良い遊び相手に対して不公平という物だとも考えました。その為私は従姉妹の怒鳴り声がしても暫くは2人の様子をその場で見守ったまま、じいっと身動きせずに待機していました。

 その後、2人の間で静かに話は続いていたようでした。ところが、突然、わーんとばかりに従姉妹が声を上げて泣き出したのですから、これには相当物に鈍感な私でもびっくり仰天したのでした。すわ、従姉妹の一大事!とばかりに一刻の猶予も持てないと、石碑の傍に年下の子を1人残したまま、急いで広場の隅の遊具が置いてある場所に駆けつけると、駄目よとばかりに2人の間に割って入りました。