シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

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女声の魅力がタップリ聴けるオペラ

2013年07月19日 | 独オペラあれこれ
R. シュトラウスの代表作「ばらの騎士」は最高のオペラの1つだ。 3人のソプラノが活躍する様は、モーツァルトの「フィガロの結婚」を連想させるが、作曲者がそれを意図して制作したから当然だ。 ただしフィガロの役回りに相当する役柄がない。 オックス男爵は徹底して憎まれ役に描かれ、「フィガロの結婚」の中の誰に相当するかというと、(少し違うが) アルマヴィーヴァ伯爵かも。
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ウィキペディアから__『薔薇の騎士』(Der Rosenkavalier) 作品59 はリヒャルト・シュトラウスの作曲したオペラである。 主要な4人に次ぐ役が3、4人おり (ただし比重は4人に比べて格段に低い)、ソロ又は重唱で歌う役は名の無い役も含め28人を数える。 そのほかに黙役のオックス男爵の庶子等も必要である。 _※追加1へ

「カラヤンの2つの “ばらの騎士” 」(音楽サロン)_※追加2へ
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私が好きな場面は2幕で、その冒頭 ”ばらの献呈の場” で新興貴族の娘ゾフィーが歌う場面が特に素晴らしい。 裏声を駆使して非常に高い声を小~中音量で歌うが、当然 歌唱力のある歌手が歌うから 普通の発声にスムーズに繋がる。 1960年のローテンベルガー (映像)、71年のポップ (LP)、84年のペリー (CD)、そして94年のボニー (映像) はすべて絶品だ。

ペリーはコロラトゥーラを得意にしているようで、昔購入した LP「売られた花嫁」(75年クロンプホルツ指揮 Eurodisc 盤) でも旅芸人の踊子エスメラルダ役を歌って、高い声を披露していた。 ローテンベルガー、ポップ、ボニーはコロラトゥーラではないが、リリコの声で叙情的な役が多い。

オックス男爵も全幕に登場し、オクタヴィアンに次いで登場が多いから、憎まれ役とはいえ主役の1人だ。 これは喜劇俳優的な性格のバスでないと演じ切れないだろう。 あんまり生真面目な声、演技だとふさわしくない。 憎まれ役がいるから、ゾフィーはいっそう可憐な娘役として、またオクタヴィアンも颯爽とした青年貴族として対照的に印象づけられる (実際はオクタヴィアンはメゾ・ソプラノが歌うから “宝塚の雰囲気” かも)。

喜劇として面白い場面は2幕の終わり近くにもあり、怒った男爵が「お嬢さん いうことがあったら仰いよ」__これをゾフィーに代わってオクタヴィアンが、「Die fraeulein このお嬢さんは …」を5回も繰り返すから、男爵は「Die fraeulein, Die fraeulein, Die fraeulein, Die fraeulein!」と4回も怒鳴り返し、やっとオクタヴィアンが「このお嬢さんは、要するに あなたが嫌いなんです」といって、剣を交えるところ。

私の愛聴盤は、カラヤンの60年ザルツブルク音楽祭の映像・モノーラル音声 (主役3ソプラノ シュヴァルツコップ/ユリナッチ/ローテンベルガーとエーデルマン) だが、このほど 84年録音の CD (同 シントウ/バルツァ/ペリーとモル) も聴いてみた。 極上の仕上がりなのだが、なぜか各歌手の個性が60年ものに比べ 薄いように感じた。 また これから聴き込んでいけば、違った感想も浮かぶかも知れない。

それにつけても カラヤン指揮の CD は3種、映像は2種も発売されているが、他の指揮者からすれば何と記録物発売に恵まれていることか? 驚くことに オケはフィルハーもニア管の1つ (EMI 盤) を除いて、他はすべてウィーン・フィルばかりだ。 他の指揮者の場合は、生涯に1つでも発売できるかどうかだろう。 それだけ多くの音楽ファンが、カラヤンの記録物を待ちこがれていることの証しで、ちょっとでも違う歌手なら聴いてみたいという気にさせるのか?

なお カルロス・クライバーも得意にしていたが、CD は残さなかった。 代わりに映像ものを2つも残した。 父のエーリヒはモノーラル録音を残しましたね。
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写真左はカラヤン指揮の CD3種。 ”ばらの献呈の場” 3態の中上は、オッター (オクタヴィアン) とボニー (ゾフィー) でクライバーの1994年映像。 中中は、ユリナッチとローテンベルガーでカラヤンの60年映像。 中下は、ジョーンズとポップで71年バーンスタインの録音。 右上は、デラ・カーザとローテンベルガーによるハイライト LP。 右中は、エーデルマン (オックス男爵) でカラヤンの60年映像。 右下はバーンスタインの LP。

以上


※追加1_1幕に登場するテノール歌手は端役ではあるが、場合によっては特別にスター歌手を呼び舞台に華を添える事もある。 このオペラは長大で難しいため、上演のみならず録音でもしばしば慣習的にカットが行われている。

1911年 ドレスデン宮廷歌劇場で上演され、未曾有ともいえる大成功を収めた。 すでに作曲家としての地位を確立していたシュトラウスの新作に対する世間の期待は高く、ウィーンからドレスデンまでの観劇客用特別列車が運行されたほどである。 引き続き50回におよぶ再演が続けられたほか、ベルリン宮廷歌劇場、プラハ歌劇場、バイエルン宮廷歌劇場、ミラノのスカラ座など主要な歌劇場でも立て続けに上演され、いずれも好評をもって迎えられた。

シュトラウスの代表作と見なされているばかりか、ドイツ圏の主要歌劇場や音楽祭において最も重要なレパートリーの一つに数えられる。 大作であり歌手への要求項目も多いため、水準の高い上演は容易ではないが、各歌劇場がこぞって意欲的に取り組むこともあり、録音や録画でも多くの演奏が残されている。 海外でも人気は高く、比較的小規模上演の可能なモーツァルト作品や『こうもり』などに伍して最もよく上演されるドイツオペラのひとつである。
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※追加2_ カラヤンは時代を先取りをする指揮者だった。 大プロディクトを展開し、演奏収録を積極的に行った。 そのこともあって商業主義に傾いた音楽家と評されたが、そのお陰で今でも彼の多くの収録映像を視聴することができるのもたしか。 ただ残した収録映像はフィルムやヴィデオテープによるもので、現在のデジタル画像収録とは一線を画してはいる。 音については優れた録音技術を生かすことには吝かではなかったが、アナログ時代に生きた人だった。 一つの歴史の足跡とみると興味深い存在である。 そうした中でとびきりの名品2つをご紹介する。

それは「ばらの騎士」で、1960年版と1984年版の2つの DVD である。 前者は早くから劇場で公開され、まだ本格的な舞台が観られない我が国で大きな刺激を与えた。 後者はレーザーディスク=LD 時代に発売され、筆者などは飛びついた。 ともに美しい舞台画像と演奏で魅惑されたものだ。 特に前者は20世紀中頃の名歌手、シュヴァルツコップなどが演じており、話題をさらったものである。 舞台装置家とライヴ収録劇場は同じでも、舞台装置についていえば、後者は前者より優れているように思う。

以上

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