シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

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Blu-ray 化された “指輪” が1枚に

2018年12月13日 | 独オペラあれこれ
ショルティ指揮ウィーン・フィルによる Blu-ray『指輪』とカラヤン指揮ベルリン・フィルによる Blu-ray『指輪』(※)。
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とうとう『ニーベルングの指環』全曲が1枚のメディアに収まることになりました。 1つは何年か前の既発なのですが、最近 気が付いたので取り上げてみたいと思います。

かつては 4話合わせて十数時間を超え、LP 19枚を要した世界最長のオペラ4話ですが、技術の発達は凄まじく、CD 以降 収録密度がどんどん増えていって、今ではブルーレイ・ディスク1枚で収録できるようになったのです。
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私が初めて購入したワーグナーものというか 初オペラはショルティ指揮「タンホイザー」LP 4枚組でした (ロンドン盤)。  (大げさにいうと) “給料から思い切って割いて” 買い求め、慎重に LP 盤を扱い、ひっくり返しては盤面のホコリを拭いながら、身を入れて聴いたものです。

指輪シリーズは、先ずカラヤンの DG 盤「ヴァルキューレ」5枚、続いて「ラインの黄金」3枚から聴き始め、「ジークフリート」5枚「神々の黄昏」6枚はもう LP をひっくり返すのが億劫で入手せず、出始めたオープンテープのショルティ指揮による「ヴァルキューレ」「ジークフリート」「神々の黄昏」(ロンドン・DECCA 盤) を購入してテープデッキで再生して聴きました。

それでも あんまり長いので、途中で居眠りする事も度々でした __「ジークフリート」なんて眠らずに聴き通すのも大変です __ 1人で30分も歌ってるんですから。 70年代 ベーム指揮バイロイト実況盤も LP (PHILIPS 盤) で出ていましたが、サンプル LP を買って聴くと あまり音質がよろしくないので、購入を諦めました。

1980年代に 日本コロムビアが乗り出して大胆にもドレスデンで4作を PCM 録音しましたが、ヤノフスキーという知名度の低い指揮者のせいか演奏のせいか話題にならず、あまり売れなかったようです。 私は後々「神々の黄昏」CD を購入して聴いてみました。

また 80〜90年代 ブーレーズという現代音楽作曲家・指揮者を起用したバイロイト実況盤も CD と LD の映像ものが出ました。 サヴァリッシュ指揮の映像ものも出ましたが、これらは評判になりませんでした。 今 発売されているかどうか__

唯一 好評を博したのが、90年代 レヴァイン指揮メトロポリタン管演奏の DG 盤の CD と LD です。 私は「ラインの黄金」を除いて3作の LD を購入しました。 「ラインの黄金」LD はすでにカラヤン指揮のもので保有していました。

80年代 EMI はハイティンク指揮で4作を録音しましたが、これも評判になりませんでした。 DECCA はドホナーニ指揮クリーヴランド管で「ラインの黄金」「ヴァルキューレ」から録音し始めましたが、売れなかったのでしょう … その後が続きませんでした。
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これほど『指環』制作は難しいのですね。 1960年前後に DECCA が初めて4作を録音した時は、(失礼ながら) 無名に近いショルティをよく起用して続けたものだなと感心してしまいます。

映画の世界での 経営難だった MGM が社運を賭けて制作した『ベン・ハー』に匹敵とまではいいませんが、レコード会社も売れるか売れないか分からない『指環』4作の録音を1958年から65年まで よくも続けたものです。 恐らく プロデューサーの J. カルショーの制作への執念が強く、LP の売れ行きも良かったのでしょう。
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重量級歌手を揃えたショルティ DECCA 盤に対し、軽量級歌手で対抗したカラヤン DG 盤ですが、肝心要の主役歌手を統一できず、ジークフリートに2人の歌手 (J. トーマス「ジークフリート」と H. ブリリオート「神々の黄昏」) を起用、ブリュンヒルデには R. クレスパン (「ヴァルキューレ」) と H. デルネシュ (「ジークフリート」「神々の黄昏」) を起用しました。

ショルティ DECCA 盤では W. ヴィントガッセンを (「ジークフリート」「神々の黄昏」) 2作に、ブリュンヒルデには B. ニルソンを (「ヴァルキューレ」〜「神々の黄昏」) 3作に起用できたことが成功の大きな要因の1つでしょう。

それにしても『指環』が1枚のディスクに入るとは … 1作だけでも聴き通すのは大変です。 数十年前 LP をひっくり返しながら試聴していたのとは雲泥の差ですね。

テクノロジーは発達しましたが、演奏の世界では いまだに上記2つの半世紀前の録音がもて囃されているのを見ると、どうなのでしょうか。 今は 指揮者・歌手による演奏解釈・表現よりも 演出で聴衆に見せる時代になってきているのと無関係ではないのかもしれません。 
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リニア PCM __ これを単に PCM とする場合もある。 LPCM とも。 リニア量子化を使用し、非可逆圧縮は一切しない。 CD-DA、DVD-Audio、一部の DVD-Video、BD-Video、PlayStation 3 用ゲームソフトなどで用いられている。 サンプリング周波数が高く量子化ビット数が多いほど高音質(オリジナルに近い)となる。 非可逆圧縮で見られる音質の劣化やダイナミックレンジ (特に高周波帯域) の低下がない。 DVD-Audio __ 次世代 CD 規格の1つ。 サンプリング周波数は最大 192kHz、量子化 24bit。 チャンネル数は 2ch ステレオのものが一般的。 12cm ディスクの記録容量は、23.3GB〜128GB (ウィキペディアから)。

※)「ショルティ “指輪” の新リマスター版」(kesera のページ 2012年12月25日) __ 英デッカよりショルティの生誕100年記念として「ニーベルングの指輪」2012年新リマスター版が発売されています。 注目すべきはブルーレイ・オーディオとして指輪全曲 (CD 14枚分) が 48kHz/24Bit のリニア PCM で BD ディスク1枚に入っている点です。 Amazon Music ¥ 10,031。

 ※)「カラヤンの “指環” 全曲 24Bit/96kHz 最新リマスター・ハイレゾ音源を BDA1枚に収録!」(タワーレコード 2017年5月8日) __ 最新リマスターが施された世紀の名盤をブルーレイ・オーディオ・ディスクに収録。 Amazon Music ¥8,952。
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今日はここまでです。

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