
ベルク/「ルル」組曲・R. シュトラウス/「サロメ」から終景 LP (1973 左下隅の白文字は Charles Woods 写真とある)。 中央は『ルル』全曲 (76)。 『ヴォツェック』全曲 (79)。 全て シリヤ (S) とドホナーニ指揮 VPO による。
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あるアマオケ事務局から3年ぶりの演奏会の招待状が届きましたが、曲目を見てがっかりしました __ メンデルスゾーン5番・『カルメン』組曲・『サムソンとデリラ』からバッカナーレです。 メイン曲目がメンデルスゾーンの不人気曲ですから、この演奏会はプログラム・ビルディングからして失敗が約束されたようなものです (私なら人気曲の4番『イタリア』と3番にします)。
これで『行きたい!』という音楽ファンが大勢いるとでも考えたのでしょうか。 でも演奏者側では、「もう『運命』は飽きたよ」だったのかも知れません。 難しいですね 演奏者側と聴衆側の希望が一致するのは。 当日の客席よりも舞台上の人数が多くない事を祈ります。 でも わざわざ招待状を送るというのは事前予想聴衆数が …
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さて 英デッカ社は、パイロット的な単発 LP 録音を制作し、評判を見て 全曲録音に挑むという傾向があるように感じます。 それは 冒頭左の「ルル」組曲 ・「サロメ」終景の1枚もの LP を発売後、それぞれの全曲盤を同じ指揮者 VPO で制作したからです。
私は冒頭左の (預言者の首を乗せた皿の前で歌う場面の) おどろおどろしい1枚 LP を “ジャケ買い” しましたが、全曲ものは購入しませんでした。 全曲もののジャケよりも、この LP の写真・デザインの方が格段に素晴らしい。 狂気のサロメをよく表現していると思います (全曲ものジャケは詰まらないのでネットから拾いませんでした)。
デッカ盤の代わりに ベーム指揮の『ルル』『ヴォツェック』全曲 (DG 3枚 CD セット) を購入して聴いてみましたが、あまり馴染めませんでした。 楽しいメロディがないのです。 (ムスッとした顔の)『ヴォツェック』ジャケ (冒頭右) を見ても、楽しそうな内容を感じさせませんよね。 ベームの『サロメ』(G. ジョーンズ主演) LP 盤は良かったですよ。
冒頭左の1枚もので十分 そのエッセンスが入っているように思います (但し 有名な “7つのヴェールの踊り” は収録されていません)。 アニャ・シリヤ Anja Silja とドホナーニ Christoph von Dohnányi はどちらかというと前衛ものオペラに関心が強いらしく、『ルル』や『ヴォツェック』は人気作品ではありません (『サロメ』は人気作だと思います)。

『サロメ』 LP、『ルル』CD、『ヴォツェック』LP。 全てベーム指揮による。 どれにも D. F.=ディースカウが参加し、ジャケにも登場しています (が 勿論『サロメ』の皿の首は作り物です)。『ルル』ジャケからは退廃的なイメージを感じます。
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すると 一般的なドホナーニ人気は高くないと想像できます。 だからなのか 80年代に デッカが2つ目のセッション録音に挑んだドホナーニ指揮による『指輪』4部作は前半の2作でプロジェクトが中止となった、つまり “売れなかった” のでしょう。 私も買う気が全くありません。 “前衛もの” というのは話題は振り撒くが、人気は博さないものです。
今日はここまでです。