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シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

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“隠れた” 名曲?『低地』

2023年08月24日 | 独オペラあれこれ
左から ザノテッリ指揮ベルリン響 (63年 オイロディスク盤)、ヤノフスキ指揮ミュンヘン放響 (83年 ACANTA 盤)・同 (ARTS MUSIC 盤)。
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よく解らないまま CD 中古店棚にあるダルベールのオペラ『低地』を2組も買ってしまっていました (上記左と右)。 オイロディスク盤は1963年制作の TV 用サントラ盤らしいです。 ジャケ写真左の R. ショック (当時48歳?) のカツラが妙にフサフサで盛り上がり、違和感がタップリですね。 2幕 130分余りのオペラ。

ジャケ買いだったのかも知れないと思いつつ、聴いてみたら “名曲” (?) ではないが、そこそこ聴けるメロディーがありましたが、日本語解説が付属してないので、なかなか理解が進みませんでした。

低地 Lowland というと “ネーデルラント (Netherlands / Low Countries)” が頭に浮かび、現在のベルギー・オランダ・ルクセンブルクの3か国ですが、”低地ドイツ語 (Niederdeutsch)” となるとドイツ北部の言語群を指します。 このオペラはドイツ語台本なので、ドイツの話しかと思ったら、登場人物がスペイン系の名前ばかりなので 混乱します。 台本にある場所はスペインです。
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オペラは筋が解らないと、メロディーだけで聴き通すのはツライものがありますよね。 ちょうど ACANTA 冒頭写真中央の新発もの (?) が出たときの批評 (1989年10月 レコ芸 佐川吉男評) を見つけ、参考になりましたので転記します __

「ドイツのヴェリズモ・オペラの代表作 (1903年) として知られている。 外題 (Tiefland) 本来の語義は、海抜 200メートル以下の低い土地のことなのだが、ここではスペインのピレネー山脈中の人里離れた高い奥地に対して、村落のある低い地方のことを意味している。

物語は、その低地で 身上を潰しかけた悪徳地主が、金持ちの娘を妻に迎えて立て直しを図ろうとし、邪魔になった内縁の妻を雇い人の羊飼いと表向き結婚をさせ、その後も女には自分との関係を続けるように強いる。

しかし 紆余曲折を経た末に 若い羊飼いとその女との間に芽生えた真の愛情は、それまで地主に飼い慣らされてきた女を自立した女性として目覚めさせ、おとなしい若者を 主人と決闘してでも 自らの自由と解放を勝ち取る 強い男に変身させる。 村の長老から 地主を殺した罪の許しと祝福の言葉を貰った2人は、彼方の山奥での新生活に入るべく、2度と戻ることのない この低地を旅立って行く。

ダルベールがこれに付けた音楽は、イタリアのヴェリズモ・オペラにワーグナー風の和声やライトモチーフを隠し味として添えたようなものとでもいえようか。 だから 部分的にプッチーニに近づいたり、『トリスタン』が思い出される個所もある。

主役は E. マルトン (マルタ)、R. コロ (羊飼いペードロ)、B.ヴァイクル (地主セバスティアーノ)、K. モル (長老トマゾ) など」



左から ウェルザー=メスト指揮チューリッヒ歌劇場のテレビ映像。 レーヴライン指揮バンベルク響 ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団/ボルク/アルダ/ホップの「低地地方 ハイライト盤」。 ド・ビリー指揮ウィーン放送響。
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上記 3本のジャケを眺めると、暗いイメージですね。 ドイツ・オペラにはこのように暗い内容・深刻めいた筋のものが多いようです。 これがお国柄なんでしょう。 もっとも 仏オペラの「カルメン」も最後はヒロインが殺されますが …

カラヤンも若い頃 (1931年ウルム歌劇場/36年・38年アーヘン歌劇場) このオペラを指揮した記録がありますから、ドイツ語圏の歌劇場ではレパートリーの1つになっているのでしょう。 (衣装や舞台装置などをストックしてある) レパートリーの1つなら 振らないわけにはいかないですし、毎年『フィガロ』や『椿姫』ばかりだったら、観客も飽きてしまいますからね。

カラヤンの録音が残っていたら、世の中の認知度も今とは違ったものになっていたかも …
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オイゲン・ダルベール (Eugen Francis Charles d'Albert 1864~1932) は、スコットランド出身のピアニスト・作曲家。 もっぱらドイツで活躍し、帰化もしている。

本名ウジェーヌ・フランシス・シャルル・ダルベール Eugène Francis Charles d’Albert としてグラスゴーに生まれる。 父親はドイツ生まれのイタリア系フランス人のバレエ音楽の作曲家シャルル・ダルベール。 父方の祖先にイタリアの作曲家ジュゼッペ・マッテーオ・アルベルティならびにドメニコ・アルベルティがいる。 母親はイングランド人であったが、英語はなかなか上達しなかった。 音楽は独学であったにもかかわらず、神童として奨学金を得て、ロンドンの王立音楽大学に入学後、若くしてウィーン音楽院に留学する。 その後フランツ・リストに入門。

名ピアニストとして演奏と録音の両面で活躍、恩師リストのピアノ曲を、レコードや自動演奏ピアノに録音した。 ベートーヴェンやリストを得意とし、力強く情感こまやかな演奏によって、ウィーン・デビューに接したブラームスを震撼させたと伝えられている。

作品には、交響曲、2つの弦楽四重奏曲、2つのピアノ協奏曲、チェロ協奏曲、代表作『低地』(Tiefland) などの歌劇、歌曲、ピアノ独奏曲がある。
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今日はここまでです。

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