原発問題

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【原発ホワイトアウト】第17章 再稼動 ※36回目の紹介

2014-08-21 21:00:00 | 【原発ホワイトアウト】

*『原発ホワイトアウト』著者:若杉冽  から何度かに分けて紹介します。36回目の紹介  

 現役キャリア官僚のリアル告発ノベル!

 「政財官の融合体・・・ 日本の裏支配者の正体を教えよう」

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カスタマーレビュー)から

救いがあるとすれば著者・若杉冽氏の次の言葉だ。

  「まだまだ驚くべき事実はたくさんあるのです。

  こうした情報が国民に届けば、きっと世論のうねりが起きる。

  私が役所に残り続け、素性を明かさないのは、情報をとり続けるためです。

  さらに第二、第三の『若杉冽』を世に送り出すためにも」(毎日新聞 10月22日)

読み終わって私は、このままでは本書の予言どおり原発事故は再び起こる可能性が高い、と思った。

そして、表紙とびらに引用されたカール・マルクスの次の言葉が本書の内容を言い尽くしていると気づく。

  「歴史は繰りかえす、一度目は悲劇として、しかし二度目は喜劇として」。

この国の統治のあり方を根本的に変えなければ「二度目は喜劇」を防くことができない、と私は考える。

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<過去に紹介した記事>

【原発ホワイトアウト】終章 爆弾低気圧 ※下の方に1~16回までのリンク一覧あり

【原発ホワイトアウト】第4章 落選議員回り ※下の方に17~21回までのリンク一覧あり

【原発ホワイトアウト】第13章日本電力連盟広報部 ※下の方に22~25回までのリンク一覧あり

【原発ホワイトアウト】第14章エネルギー基本計画の罠 ※下の方に26~32回までのリンク一覧あり 

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【原発ホワイトアウト】第17章 再稼動  ※36回目の紹介

-『原発ホワイトアウト』著者:若杉冽 「第17章 再稼動」 を紹介

前回の話:【原発ホワイトアウト】第17章 再稼動 ※35回目の紹介

 「だいだい原子力規制庁で審査を担当している役人たちは、電力会社や重電メーカーに入れなかった原子力学科の落ちこぼれですよ。原子力安全・保安員ができたころに中途作用された、他に行き場のない屑のような連中です。最新の技術についてわかるわけがありません。全部私達が書類の記載の意味を教えてやってんですよ。

 日本では審査ってのはフィクションなんです。国のお墨付きを得た、っていう儀式です。フクシマの事故は天災ですから、フクシマがあろうがなかろうが、原子力安全・保安員から原子力規制庁に同じ連中が移っただけで、メンバーはそのママなんだから、審査だって変わるわけ無いでしょ。連中が何十週間書類とにらめっこしたって同じですよ、結論は。

 アメリカのNRCみたいに4000人も職員がいて、職員の流動性があって、職員が最新の知見を持っているっていうなら別ですよ。でも、原子力規制庁の審査官は80人、しかもロートルだ。そんなアメリカみたいなことは無理ですよね」

 ・・・残念ながら、それは概ね事実だった。


 これで、日本最大の関東電力の新崎原発を含め、定期検査入りした大井と合わせれば、フクシマ事故後に稼動する原発が15基となった。

 逮捕された知事に代わって、職務代理者の筆頭副知事が早々に、新崎原発の再稼動に同意すると表明した。わずか十数ページの周辺住民の避難計画が併せて公表されたが、紙の上の計画通りに物事が進むか、その検証はなされていなかった。しかし、県議会や地元経済界は歓迎のコメントを出した。

 日村があらかじめ入念に描いていたシナリオ通りのスムーズな手続きの流れであった。関東電力にはビッグなクリスマス・プレゼントとなっただろう。

 さすがにワイドショーも、本命の再稼動に関しては大きく取り上げた。時期は冬であり、電力は足りている。

 「円安で輸入価格が高騰していて、もうこれ以上化石燃料には頼れません」というのが、新しく原発文化人に加わったコメンテーターの主張だった。

 円高のときには資源高と言い、円安になると輸入価格の高騰と言う。原油自体の国際市場価格はピークに比べて大きく低下していることには最後まで触れずじまいだった。

 日本電力連盟の作成した原発文化人用の説明資料には、常に電力会社に都合のよい事実しか触れられていない。

 ここで、日本最大の原発の再稼動を職務代理者の権限で認めることはできるのかーそれが法律上は重要な論点であった。

 地方自治法上、職務代理者たる筆頭副知事の権限は、原則として知事の権限すべてに及ぶが、知事たる地位または身分に付随する一身専属的な権限、議会の解散、副知事等の任免などはできないと解されている。

 合法か違法かというレベルでいてば、まあ違法とは言い切れないまでも、妥当か不当かといえば、日本最大の原発の再稼動に対し、知事の逮捕中、選挙の洗礼を受けていない副知事の判断でゴーサインを出すというのは、明らかに「不当」と言えた。

 知事が辞職して知事選が始まっていれば、選挙戦の最大の争点とされていただろう。しかし、知事は逮捕後も容疑を全面的に否認し、辞職していなかった。

 「辞職していない以上は、副知事が判断できるのではないでしょうか。知事が知事の椅子に居座り続ける限り電力供給が滞る、そんなことは許されません。これは新崎県にとどまらない全国の問題なんですっ!」

 と、別の原発文化人は吼えた。日村からの事前説明のとおりの発言だった。

 こうして年末の御用納めまでには、日本全国で15基の原発が稼動することになった。フクシマでの三度のメルトダウンを乗り越えた、原子力ムラのみごとな復元力だった。

 

「第17章 再稼動」の紹介は、本日で終了です。

『原発ホワイトアウト』著書の紹介、長かったですがこれで終了します。

・・・6000ページ以上もある申請書類、どうやって数週間で審査できるのか・・・日本での審査は国のお墨付きを得た、という儀式にすぎなかった・・・


*『原発ホワイトアウト』著者:若杉冽 から、「第17章 再稼動」の過去紹介のリンク

【原発ホワイトアウト】第17章 再稼動 ※33回目の紹介

【原発ホワイトアウト】第17章 再稼動 ※34回目の紹介

【原発ホワイトアウト】第17章 再稼動 ※35回目の紹介

 


<過去に紹介した記事>

【原発ホワイトアウト】終章 爆弾低気圧 ※下の方に1~16回までのリンク一覧あり

【原発ホワイトアウト】第4章 落選議員回り ※下の方に17~21回までのリンク一覧あり

【原発ホワイトアウト】第13章日本電力連盟広報部 ※下の方に22~25回までのリンク一覧あり

【原発ホワイトアウト】第14章エネルギー基本計画の罠 ※下の方に26~32回までのリンク一覧あり


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