原発問題

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【原発ホワイトアウト】第17章 再稼動 ※35回目の紹介

2014-08-20 21:00:00 | 【原発ホワイトアウト】

*『原発ホワイトアウト』著者:若杉冽  から何度かに分けて紹介します。35回目の紹介  

 現役キャリア官僚のリアル告発ノベル!

 「政財官の融合体・・・ 日本の裏支配者の正体を教えよう」

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カスタマーレビュー)から

救いがあるとすれば著者・若杉冽氏の次の言葉だ。

  「まだまだ驚くべき事実はたくさんあるのです。

  こうした情報が国民に届けば、きっと世論のうねりが起きる。

  私が役所に残り続け、素性を明かさないのは、情報をとり続けるためです。

  さらに第二、第三の『若杉冽』を世に送り出すためにも」(毎日新聞 10月22日)

読み終わって私は、このままでは本書の予言どおり原発事故は再び起こる可能性が高い、と思った。

そして、表紙とびらに引用されたカール・マルクスの次の言葉が本書の内容を言い尽くしていると気づく。

  「歴史は繰りかえす、一度目は悲劇として、しかし二度目は喜劇として」。

この国の統治のあり方を根本的に変えなければ「二度目は喜劇」を防くことができない、と私は考える。

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<過去に紹介した記事>

【原発ホワイトアウト】終章 爆弾低気圧 ※下の方に1~16回までのリンク一覧あり

【原発ホワイトアウト】第4章 落選議員回り ※下の方に17~21回までのリンク一覧あり

【原発ホワイトアウト】第13章日本電力連盟広報部 ※下の方に22~25回までのリンク一覧あり

【原発ホワイトアウト】第14章エネルギー基本計画の罠 ※下の方に26~32回までのリンク一覧あり 

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【原発ホワイトアウト】第17章 再稼動  ※35回目の紹介

-『原発ホワイトアウト』著者:若杉冽 「第17章 再稼動」 を紹介

前回の話:【原発ホワイトアウト】第17章 再稼動 ※34回目の紹介

 「・・・原子力規制委員会が『安全です』っていうポーズさえキッチリ決めてくれれば、あとは自分たちだけが矢面に立つってことにならなければいいんです。仙内、戸鞠、高花、大井、井形の五箇所同時であれば、脱原発の連中の勢力も5分の1ずつに分散しますから」

 こう調子よく語る日村は、まさに人生の絶頂にあると言えた。原発の再稼動を叶えたあとは、その功績を引っ提げて経産省本省の枢要な局長ポストに戻る。もちろん事務次官も目の前だ・・・。

 そんな日村の内心を知ってから知らずか、赤沢はこう言って電話を切った。

 「君、しかし、あまり急ぎすぎるなよ。慢心こそ最大の敵だと言うじゃないか」


(42)

 -日村の告げたとおり、原子力規制委員会は、仙内1・2号機、戸鞠1・2・3号機、高花3・4号機、大井3・4号機、井形3号機の規制基準への適合を、12月初めの一回の審議で決めた。事務方でわずか5ヶ月審査しただけだった。

 その性急さに、戸惑いと驚きの声がマスコミを賑わしたが、

 「新しい規制基準の考え方自体は、公表の半年も前から示されておりましたので、事業者がそれに合わせて入念に準備された結果だと思います。予想よりも早く終わりました」

 と、委員長は平然と語っていた。

 原子力規制委員会のゴーサインに合わせる形で、間髪を入れずに、地元の知事と町長も、それぞれ地方議会の全員協議会を経たうえで、再稼動に同意を表明した。

 数年前の計画停電騒ぎはもう風化していた・・・「電力不足だから原発を動かします」という再稼動をもくろむ当初のロジックは破綻していたが、再稼動に対する国民のアレルギーも、同時に風化していた。

 ワイドショーが一通り騒ぎはしたが、「世界最高水準の規制基準に適合した安全なものは動かす」「電気料金の値上げも困る」ということで、一年半前の大井原発の再稼動ほどの騒ぎにはならなかった。


 第二弾は、厳海3・4号機、嶋根2号機の申請がなされ、それに加えて、当初は想定されていなかったが、なんといっても本命の関東電力の新崎原発6・7号機の再稼動の申請がそれに続いた。7月の段階では申請自体に意義を唱えた伊豆田新崎県知事は、逮捕拘留されてしまい、もう娑婆にはいない。

 第一弾を巡る世の中の反応を、電力会社も、原子力規制委員会も、そして日村も、よく見据えていた。

 「潮目が変わった」「大衆は喉元を過ぎて熱さを忘れた」というのが日村の認識だった。潮目の変化が起きたときには、誰よりも先にその流れに乗らなくてはならない。

 日村の読みどおり、原子力規制委員会は、今度はさらに審査速度を上げて、わずか数週間後に、規制基準にすべて適合との発表がなされた。

 原子力規制委員長は、
 
 「第一弾で審査した事項と同じ事項については、当然、同じ判断になります。したがって、審査のスピードは速くなりました」

 と、さらりと記者会見で述べる。

 6000ページ以上もある申請書類を、どうやって数週間で審査できるのか、と多くの人が疑問に感じていたが、内容が専門的すぎるため、突っ込みの入れようもない。

 日本電力連盟原子力部長は、原発再稼動に肯定的な保守系新聞社の論説委員との懇談の席で、次のように述べて理解を求めた。

 

8/18から「第17章 再稼動」の紹介中です。(毎日 21:00ぐらい)

・・・6000ページ以上もある申請書類、どうやって数週間で審査できるのか・・・日本での審査は国のお墨付きを得た、という儀式にすぎなかった・・・


<過去に紹介した記事>

【原発ホワイトアウト】終章 爆弾低気圧 ※下の方に1~16回までのリンク一覧あり

【原発ホワイトアウト】第4章 落選議員回り ※下の方に17~21回までのリンク一覧あり

【原発ホワイトアウト】第13章日本電力連盟広報部 ※下の方に22~25回までのリンク一覧あり

【原発ホワイトアウト】第14章エネルギー基本計画の罠 ※下の方に26~32回までのリンク一覧あり


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