原発問題

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【原発ホワイトアウト】第14章エネルギー基本計画の罠※31回目の紹介

2014-08-08 21:00:00 | 【原発ホワイトアウト】

*『原発ホワイトアウト』著者:若杉冽  から何度かに分けて紹介します。31回目の紹介  

 現役キャリア官僚のリアル告発ノベル!

 「政財官の融合体・・・ 日本の裏支配者の正体を教えよう」

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カスタマーレビュー)から

救いがあるとすれば著者・若杉冽氏の次の言葉だ。

  「まだまだ驚くべき事実はたくさんあるのです。

  こうした情報が国民に届けば、きっと世論のうねりが起きる。

  私が役所に残り続け、素性を明かさないのは、情報をとり続けるためです。

  さらに第二、第三の『若杉冽』を世に送り出すためにも」(毎日新聞 10月22日)

読み終わって私は、このままでは本書の予言どおり原発事故は再び起こる可能性が高い、と思った。

そして、表紙とびらに引用されたカール・マルクスの次の言葉が本書の内容を言い尽くしていると気づく。

  「歴史は繰りかえす、一度目は悲劇として、しかし二度目は喜劇として」。

この国の統治のあり方を根本的に変えなければ「二度目は喜劇」を防くことができない、と私は考える。

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★過去紹介した記事>>【原発ホワイトアウト】終章 爆弾低気圧 ※下の方に1~16回までのリンク一覧あり

★過去紹介した記事>>【原発ホワイトアウト】第4章 落選議員回り ※下の方に17~21回までのリンク一覧あり

★過去紹介した記事>>【原発ホワイトアウト】第13章日本電力連盟広報部 ※下の方に22~25回までのリンク一覧あり

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【原発ホワイトアウト】第14章  エネルギー基本計画の罠  ※31回目の紹介

-『原発ホワイトアウト』著者:若杉冽 「第14章  エネルギー基本計画の罠」 を紹介

【登場人物】
 小島 厳 日本電力連盟常務理事 関東電力総務部長を経て日本電力連盟に出向
 日村 直史 経済産業省資源エネルギー庁次長
 赤沢 浩一 保守党資源・エネルギー戦略調査会長
 山野 一郎 保守党一匹狼議員

前回の話:【原発ホワイトアウト】第14章エネルギー基本計画の罠※30回目の紹介 

(36)

 私設秘書の通行証で合同会議に入室していた日本電力連盟の職員が、必死に議事メモを取っている。議員の私設秘書に対する国会への通行証の発行は、極めて甘い。私設秘書は資格要件もないので、議員の希望次第で何枚も発行できるのである。

 日本電力連盟は、気脈を通じた議員から何枚も私設秘書としての通行証を横流ししてもらっており、永田町のどこに日本電力連盟の職員が潜んでいるかわからない。

 この議事メモは、やがて議員に対する政治献金やパーティー券購入の査定の材料となる。そのためか、次々と若手議員が発言する・・・。

 「赤沢先生のお話には、たいへん感銘を受けました。やはり国の指導者は、理想論に溺れることなく、冷徹なリアリストにならなくてはなりません。途上国を含め世界中で産業の競争が激化しているなか、電力の小売自由化も結構なことではありますが、自由化によって原発の推進にマイナスがないよう、資源エネルギー庁には十分配慮していただきたい」

 「フクシマの事故で日本の原子力産業のイメージが国際的に悪くなっていることを非常に危惧しています。韓国勢やフランス勢に勝つためには、事故前以上に政府が本腰を入れて、総理以下全閣僚がセールスに力を入れていただきたい」

 「私は、大学の原子力工学科の入学希望者数の低迷が気になります。再生可能エネルギーに頼れない以上は、原発に頼らざるを得ない。原発の安全性のためにも、良質な人材が供給されることは絶対的に重要であります。1つ思い切って、原子力工学科に文科省の大学予算をドンと付けていただいて、原子力工学科に入れば教育環境や研究環境がバラ色だ、って具合になるようにお願いしますよ」

 「発送電分離は将来の話だと思いますけどね、1つ注文しておきます。原子力は安全性が第一なんだから、やはり競争にははじまない、と思いますよ。送配電と原子力発電を電力の重要インフラとして一体的に、これはやはり現在の地域の電力会社にお委ねして、火力や再生可能エネルギーは思いっきり競争して効率化を進めていただく・・・こういうバランスが大切だと思いますよ。これも、また、1つの選択肢として視野にいれていただく、ということを当局にお約束いただかないと、このエネルギー基本計画と電力小売自由化の報告は、お認めするわけにはいきません」

 同じ時間帯に国土交通部会や農林部会、水産部会も開催されている。保守党では各部会のメンバーは固定化されておらず、議員はどの部会に顔を出してもよい。既得権益にアピールすることができる大事な商売の書き入れ時に、国土交通部会や農林部会、水産部会を欠席して、わざわざ経済産業部会に顔を出して、時間を費やしているのである。

 -その労力に見合った対価を得ようと、若手議員は必死だった。

 電力会社の既得権を擁護し、電力システム改革を少しでも後退させ、福島の事故の前にすべてを復元させる-こうした姿を標榜するかのような発言が怒涛のように続く。

 この場での様子がマスコミにオープンになっていれば、国民の目を気にして、ある程度の抑制が働くのだが、国民の監視から離れた密室の議論なので、そういう箍が外れているのだ。

 各常任委員会の理事会が開催される9時50分近くまで、延々とサンドバッグのように資源エネルギー庁にパンチが打ち込まれた。行政の側には反論は認められていないので、対等で建設的な議論とはならない。日本電力連盟常務理事の小島厳が若手議員に仕込んでいた弾薬は、すべて着火し炸裂した。

 こうしたやりとりも、すべて計算の範囲内である日村にとっては、この合同会議は通過儀礼だった。しかし、政治的にこなれていない秀才タイプの長官や随行している若手課長補佐からすると、この会は、未開の地での野蛮人による公開処刑のように感じられた。

 

※「第14章  エネルギー基本計画の罠」は、8/3~ 紹介中です。

・・・既得権益側が国会議員を使って行政に圧力をかけ・・国民に見えないところで、こうしたことが当たり前に行われている・・・


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