1876to1945さんのツイート(2013年10月01日~)を順に紹介します。46回目の紹介
【フクシマ見聞録】
『A2-B-C』
福島健康管理調査の異常ありとされる判定結果を名に冠した映画
Akira Tsuboi@1876to1945さん 2013年11月25日のツイートから
福島行-コラッセふくしまの会場に戻る。エレベーターを降りると、
すぐ左手にこどもをあずかる部屋があり、2013年の3月11日の集会で
牛の扮装をした女性がひとりの女の子にむかって話しかけていた。
「何歳?」「8さい」「8歳だと何年生?ー」
そこをすぎて会場に入ると、すでに満席にちかいー
-状態になっていた。会場はガラス張りになっている。
席の並びに後方に種々の物販があり、その中に自分の絵本も置いてある。
壁のあちこちにポスターが貼られている。一枚の映画のポスターだった。
A2-B-C。福島健康管理調査の異常ありとされる判定結果を名に冠した映画だった。-
-150人ほどが居並ぶ席の前に事務の方が出てきて言った。
「始まる前にですね、皆様のお手元に配布させていただいた資料等々についてですね、
若干のご説明をさせていただきます。
当院の三つ折りのリーフレット、それから緑色がプログラムになっておりまして、
本日院長の報告と、-
-「それから崎山先生のご講演のホッチキスで取った二つの分厚い資料がございます。
それから、はじまる前にご記入いただきたいんですが、
アンケートが入っています。
このA2-B-Cという映画がですね、作られまして。
ご好意でこの報告会で流したらどうかと提案がありまして、-
-「せっかくでございますからこのA2-B-Cの予告編と、
それからこの映画を見たフランクフルトの方々の福島のお母さんがたへのメッセージ、
というダイジェスト版がビデオ化されております。
これを最初ご覧になっていただきまして、
それから院長の報告に入ってゆきたいと思います。-
-「よろしくお願いいたします。」
そうアナウンスされると会場の光が落とされ、暗くなり、
正面にさげられたスクリーンに映像が映し出された。
山下俊一氏が映っている。
どこかの講演会後のようでざわつくなか、カメラの方を向いている。
声。「こどもたちが癌になりませんていうのを公表できマスカ」-
-外国人の話す日本語の質問が山下氏にぶつけられる。
「「ごめんなさい」「ゴメンナサイでは足りない。ハッキリ言ってください」
言われると、山下氏の表情が真顔になる。
「言えない。確率論だから。絶対、ということは誰にも言えない。
絶対なんてことは誰にも言えない。-
-「しかし、安心してください、とお願いできる。
ここが大事。命令もできなければ、100%は科学にはありません。
可能性であるということだけ。」テロップ。
『A2-B-C』
この映画をとったのはアメリカ人の
イアン・トーマス・ラッシュという男で、
日本に来て13年目になるという。-
-それまでモデル業などしていたそうだが、
3.11後福島へ何が起きているのか一人でむかった。
当初は誰に話をきけばよいのか見当もつかないようでいたらしいのだが、
そうした彼を見て福島市の人間たちが実情を伝え始める。
この報告会冒頭の院長の話にもあった、福島県民健康管理調査での判定。-
-この映画は当初『A2』という題名で作られたと聞いている。
現在59名まで出ているこどもの甲状腺癌のもっとも小さな例は5.2ミリ。
これは二次検査対象者から出ているのだが、その二次検査は数日前に書いたように
”20.1ミリ以上の嚢胞、5.1ミリ以上の結節の有無”で決められる。-
-繰り返すが、わずか0.2ミリという微細な差で二次検査に回されず、
次回の二年先の調査まで放置されるこどもがいる。
A1は異常なしで、A2というのは、異常ありとされながら二次検査の必要なし、
と通知される判定。
この調査の検査方法の杜撰さも手伝って、福島で多くの子をもつ親の懸念の種と-
-なっている。その判定結果を題名にしていた。だが事態が進むうち、
実際に癌の子どもが出てきてしまい、
B,C判定の要素も欠かすわけにはゆかなくなったのだろう。
『A2-B-C』とうい題名に変えたそうだ。
映画は山下俊一氏に切り込んでゆく場面、福島県内の土壌汚染の実情、
子をあずかる学校の-
-教師、そして件のA2判定の子をもつ親、累積線量をはかる
バッジをつける子どもたちの様子を映し出してゆく。
そして、その危険性を訴える医療サイドとして
ふくしま共同診療所の営みが収められている。
『A2』段階の映像が挙げられていた。
https://www.youtube.com/watch?v=ZD9yGONdEUY
-録音を聞いて書いているのでイアン監督が山下氏に投げた言葉
「公表」は「保証:guaranteed」であった。
それまで柔和そのものだった山下氏の表情が変わる様子、
「-セシウムは100万ベクレル以上あるんです。
これはあの国ぐるみの隠蔽なんです。文部科学省で言ってるんですが-
-「文部科学省だけじゃありません。政府も内閣府も何もかも、
県も市町村も全部知ってると思います。
もちろん東京電力も-」と語る男性の言葉など見ることができる。
映像の最初のほうでこどもの甲状腺エコー検査をしているのが
ふくしま共同診療所松江院長になる。-
-チェルノブイリ後、ソ連という国は崩壊した。
日本という国も、3.11まで続いていた国の状態が崩壊しつつあるように思える。
この紹介映像を見て、あらためてその思いを感じる。
そのことに気づかない人間が多いのが日本のケースの特殊性なのかもしれないが。-
-映像はフランクフルトの女性たちからの言葉に移り、
福島の状態のひどさ、母親を応援する言葉が伝えられる。
会場に光がもどり、事務の方が言った。
「この作品はですね、今お手元の資料にも入っていますように
ぴあフィルムフェスティバルの参加作品でもあります。-
-「今のところ残念ながらアッシュ監督のビザが下りてないらしくて、
なかなか、、、。これから徐々に配給されてゆく面があるかと
おもいますけれども上映される機会があればぜひご覧になって頂ければと思います。」
ビザが下りないらしい。
彼にビザが下りるかどうか、ひとつの判断基準になるだろう。-
-11月28日に福島市で上映会があるそうだ。
福島市近郊にいらっしゃる方は観にいったらどうだろう。見聞記にもどる。-
※次回に続く
2016/12/12(月)22:00に投稿予定です。